本日ここに「令和五年郡上市二十歳(はたち)を祝う会」を挙行するにあたり、式辞を申し上げます。
　ご来賓の皆様方には、大変寒い中、そして公私ともご多用の中、ご臨席を賜りまして誠にありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。
　20歳を迎えた皆さん、おめでとうございます。本日晴れて「二十歳を祝う会」を迎えられましたのは、南部（八幡会場）207名、北部（白鳥会場）248名の合計455名です。郡上市民を代表して心よりお祝い申し上げます。
　また、皆さんを今日まで慈しんで育ててこられましたご両親をはじめ、ご家族の皆様にもお慶び申し上げます。学校においてご指導いただきました諸先生方や、温かく見守っていただきました地域の方々にも、改めて敬意と感謝の念を表したいと存じます。
　本来でありましたら、ご家族や地域の皆様にも、本日の式典に大勢ご出席いただくところですが、新型コロナウイルス感染防止対策の観点から、人数を制限させていただきましたので、どうぞご理解のほどよろしくお願いいたします。
　今年の「二十歳を祝う会」にご案内させていただいた皆さんは、平成14年4月2日から翌15年4月1日までに生まれ、平成30年3月に中学校を卒業された方々であります。
　民法の改正により、令和4年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、令和4年度に限ってはこの1年間に新たに満18歳、19歳、20歳になる人たちのすべてが、つまり3つの学年に亘る人たちが一遍に「新成人」となることとなりました。このような法改正を受けて、郡上市では「成人式」のあり方の検討を重ねた結果、「18歳を対象とした場合は、受験や就職の準備と重なり負担が大きくなる」という声もあることなどから、今後もこれまで通りの20歳を対象年齢として、名称を「成人式」ではなく、「二十歳を祝う会」と改めて「おとな」への節目の機会として、お祝いの会を開催することといたしました。
　20歳になるまでは、飲酒・喫煙など、なお若年ゆえの制限がありますが、20歳からはそうした制限も無くなり、社会の中で一人前の「おとな」として扱われます。「おとなになる」ということはどういうことでしょうか。お一人おひとりが自分自身にそのことを問いかけてみてください。そして、これまで生きてきた20年を振り返りながら、今日を節目として「自分はこれからどう生きるのか」を考え、決意し、新しい第一歩を踏み出していってください。
　今、わたくしたちの頭上には、依然として続く「コロナ禍」や世界の平和を大きく揺るがす国際情勢など、不穏な黒い雲が垂れ込めていますが、決して真っ暗な空ではありません。郡上のことで言えば、昨年3年ぶりに開催された夏の風物詩、「郡上おどり」「白鳥おどり」「白鳥の拝殿踊り」の会場には、地域の人々や待ちに待ったおどりファンが数多く押しかけ、久しぶりにまちにお囃子と下駄の音が鳴り響きました。また、11月末に、「ユネスコの無形文化遺産」に、「郡上踊」と明宝の「寒水の掛踊」を含む全国41の民俗芸能が「風流踊」として登録されました。これらの踊りが後世に遺すべき貴重なものであること、地域社会の連帯感を形成し、困難を乗り越えるための助けとなるものであることが世界的に認められました。このような嬉しい出来事の数々がわたくしたちの行く手を照らす光となって、未来へ進む勇気と希望を与えてくれています。
　歴史あるこの郡上には、豊かな自然や、長く受け継がれてきた文化、歴史、伝統があり、その良さに改めて目を向け守っていこうとする若い人たちがいます。一方、少子高齢化や人口減少により、これまで受け継がれてきた伝統的な行事や地域活動を続けていくことが困難になったり、人と人との結びつきが薄れ、地域社会の活力の低下が懸念されたりもしています。こうした中で、市では「みんなで考え、みんなでつくる郡上　ずっと郡上　もっと郡上　」を理念として、「ふるさと郡上」を持続可能な地域として守り続けるために各種の施策に取り組んでいます。「郡上人」が持つ温かさ、優しさ、強さは、次代を担う皆さんにもきっと受け継がれていると信じます。一人でも多くの人が、これからの「ふるさと郡上」に関わっていただくことを期待しています。
　今日の佳き日に当たり、皆さんのご家族だけでなく、多くの郡上市民の方々が皆さんを祝福しています。そして、これからの国や地域社会を担う若い皆さんの力に大きな期待を寄せています。本日お配りしました記念品の中に「国際ソロプチミスト岐阜-郡上」様からのお祝いとして「オリジナルコンビニエコバッグ」があります。このバッグは、美並町にある障がい者福祉施設「すみれ作業所」の皆さんが、一つひとつ心を込めて作られたものです。皆さんに少しでも環境や福祉について関心を持っていただきたいとのメッセージが込められています。その他にも、郡上地区交通安全協会様、郡上食育応援隊様などの団体から数々のお祝いの品や資料をいただいております。これらの品々には、周囲の方々の温かな見守りの気持ちと、皆さんへの熱い期待が込められていることを忘れないでください。郡上の『企業ガイドブック』などの各種資料にも、ぜひとも目を通していただきたいと思います。
　また、本日の二十歳を祝う会を挙行するに当たっては、昨年9月から、皆さんの友人で構成される実行委員会のメンバーが中心となって準備を進めていただきました。今日までのご尽力に対し、御礼を申し上げます。
　結びに当たり、若い皆さんに一つの言葉を贈ります。戦中、戦後の郡上の歴史に大きな足跡を残し、昨年の暮れ、岐阜県男性最高齢の107歳の天寿を全うされた高鷲町ひるがのの福手豊丸さんの、「ひるがので100歳を迎えて体感したこと　生きることハ　むづかしい生きることハ　たのしい生きることハ　貴い」という言葉です。皆さんが、これからの人生で何かがあったときに繰り返しこの言葉を思い出して、かみしめて、更に前進をして欲しいと思います。
　皆さんの洋々たる前途に幸多からんことを祈念し、併せて、ご参集の皆さまのご健勝をお祈り申し上げ、私の式辞といたします。

令和5年1月8日

日置　敏明