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令和6年度施政方針

 施政方針は、令和6年度の郡上市における市政運営に関する所信と基本的施策であり、令和6年第1回郡上市議会定例会において市長より表明したものです。

冒頭あいさつ

 本日、「令和6年第1回郡上市議会定例会」を招集いたしましたところ、議員各位には、ご参集いただき誠にありがとうございます。今定例会の開会に当たり、ご審議いただきます諸議案の説明に先立ち、今回提案いたしました新年度当初予算の編成方針、また、この予算に盛り込みました主要な施策や事業等についてご説明申し上げ、議員各位並びに市民の皆様方のご理解、ご協力を賜りたいと存じます。
 さて、郡上市は、平成16年3月1日の合併・市制施行から満20年を迎えようとしています。議員の皆様、市民の皆様をはじめ、20年の道のりを支えていただいた関係各位に心からの御礼を申し上げます。3月2日には、「郡上市合併・市制施行20周年記念式典」を郡上市総合文化センターにて挙行いたしますので、多くの皆様にご来場いただければと存じます。
 また、本来ならば、ここで新年度における市政運営の基本方針なども申し上げるべきところではありますが、これについては4月に入ってからの新しい体制のもとでお示しいただけるものと存じますので、よろしくお願いいたします。

令和6年度の予算編成について

 それでは、はじめに予算編成の方針についてご説明申し上げます。
 令和6年度当初予算は、一部の政策的経費の計上を差し控える、いわゆる「骨格予算」として編成をいたしました。ただし、帯状疱疹ワクチン接種に係る助成制度の新設や小規模事業者に対する新たな支援制度の創設など、議会からのご提言もいただき、市民生活に密着した重要な事項や社会への早急な対応が求められる事業等については、今回の当初予算で計上いたしました。また、予算編成に当たっては、物価高騰の影響により光熱費、委託料などの経常経費が依然として多額となることが予測されるなか、可能な限り歳出削減に取り組むとともに、多様化する市民ニーズに応える施策を展開するために必要な財源の確保に努めることを基本としました。
 一方で、新型コロナウイルス感染症の影響で医療機関の経営状況は、かつてないほど厳しいものとなっております。郡上市民病院においても例外ではなく、ここ数年、運転資金の不足が生じる状況に陥っており、令和5年度においても同様の傾向が続いております。地域医療の確保のため、当病院に対する繰出し額の見直しを行うとともに、臨時的措置として追加的な支援を行い、経営の健全化に取組んでまいります。
 こうした考えに基づき令和6年度の当初予算案を編成いたしました。その結果、一般会計の性質別歳出のうち、「投資的経費」の「普通建設事業費」では、耐用年数を超過した高機能消防指令センター出動車両管理装置の更新等を行う「消防施設整備事業」、最終年度を迎える白鳥ふれあい創造館の第3期空調設備更新を行う「社会教育施設改修事業」等を計上する一方、原則、大規模事業、新規・拡大事業の計上を差し控える骨格予算としたことにより、前年度対比48.1%、25億402万円減の27億222万円を計上いたしました。「災害復旧事業費」については、市道鍛冶屋洞線の地すべり災害復旧等の完了に伴い86.0%、2億3,260万円減となる3,780万円を計上いたしました。「義務的経費」の人件費については、令和5年の人事院勧告に鑑みた一般職に係る給与改定に伴い5.2%、2億4,176万円増の49億1,399万円、「扶助費」は4億839万円増の33億6,134万円、「公債費」は2.1%、7,341万円増の36億2,328万円となりました。「その他の経費」の中で「物件費」は、新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業の皆減等により4.9%、2億3,401万円減の45億32万円、「補助費等」は、郡上市民病院への補助金・負担金について、総務省が定める繰出基準までの引き上げに加え、臨時的措置として経営健全化分3億円を支援することとした等の理由により12.8%、4億8,338万円増の42億7,115万円、他会計への「繰出金」は3.3%、6,944万円増の21億4,245万円を計上いたしました。
 一方、歳入のうち「市税」では、国の施策による「個人市民税」の定額減税で減収が見込まれますが、減税分については全額国費による地方特例交付金で補填されます。「固定資産税」については、3年に一度の評価替えが実施されることでの減収を見込みましたが、「入湯税」は、コロナ禍からの回復による増収を見込み、「市税全体」では47億2,363万円と、前年度に比べ3.5%、1億6,969万円の減額となる税収額を計上いたしました。「地方交付税」については、国において地方交付税総額(出口ベース)を前年度対比で1.7%、3,060億円増額し、18兆6,671億円とすると計画されております。従って「普通交付税」については、「合併特例債」、「過疎対策事業債」等の公債費(元利償還費)の需要額算入減少の要因もありますが、国の「臨時財政対策債」総枠の大幅な減少と「地方交付税総額」の増額分を考慮したことにより、前年度と同程度の108億5,000万円を計上いたしました。また、「特別交付税」については、近年の最終決定額の推移を勘案して前年度と同額の8億円を計上し、「地方交付税全体」としては0.4%、5,000万円減の116億5,000万円といたしました。
 「市債」におきましては、「通常債」で11億1,730万円を計上しました。令和4年4月に郡上市全域が過疎地域に指定されたことを受け、「過疎対策事業債」の積極的な活用を図ることとして7億2,330万円を計上し、特にそのうち過疎ソフト分については活用可能限度額いっぱいの2億270万円を計上いたしました。「臨時財政対策債」は、国の総枠の大幅な減少に伴い61.2%、6,360万円減の4,040万円を計上し、「市債全体」では57.8%、15億8,870万円減の11億5,770万円を計上いたしました。
 以上の結果、令和6年度当初予算の一般会計の予算規模としては、歳入歳出それぞれ269億9,100万円で、前年度当初予算と比較して5.7%、16億3,200万円の減となっております。なお、「長良川鉄道支援対策事業」「観光振興対策事業」等の財源に充てるために「地域振興基金」から2億円、ケーブルテレビ伝送路更新費の償還財源に充てるため「ケーブルテレビ事業整備基金」から1億1,752万円、「郡上ふるさとコイン推進事業」「商工会活動事業」等の財源に充てるため「過疎地域活性化基金」から1億5,620万円などを繰り入れることとし、「財政調整基金」からは一般財源の不足を補うために2億9,100万円を繰り入れることにより、予算を編成したことを申し添えます。
 また、財政調整基金については、令和5年度最終の専決補正予算において、歳入歳出の決算見込み等を勘案しながら令和5年度の取崩しを可能な限り減額し、基金残高の確保に努めたいと考えております。
 このような方針に基づき編成した令和6年度当初予算の規模は、一般会計269億9,100万円(5.7%、16億3,200万円の減)、特別会計112億8,121万円(1.0%、1億973万円の減)、企業会計115億7,477万円(1.9%、2億2,582万円の減)、総合計498億4,697万円(3.8%、19億6,756万円の減)となりました。

分野別施策

 続きまして、「第2次郡上市総合計画」の柱立てに沿って、7つの分野別施策における項目ごとの主な内容をご説明いたします。

1.産業・雇用(地域資源を活かして産業を育てるまち)

 最初に1つ目の柱である『産業・雇用』についてであります。
 基幹産業である農業では、高齢化などによる農家の減少など厳しい状況にありますが、新年度に全地域を対象に策定する「地域計画」について、農家、非農家も含め地域全体で話し合いを重ねて策定し、その計画に市の施策を重ねつつ、中山間地域の特性を活かした多様な取組みを進め、持続可能な農業・農村を目指します。また、産地の維持・発展のため、「元気な農業産地構造改革支援事業」、「スマート農業技術導入支援事業」、「産地強化団体支援事業」等の推進により、振興作物である米、だいこん、トマトなどの基幹施設整備、生産活動を支援します。さらに、新規就農者等の参画を支援し、地域農業を担う人材及び組織の育成を進めるとともに、地域課題の解消に努めます。
 森林・林業については、森林環境譲与税を活用し、森林経営管理制度によって災害防止を目的とした森林整備を進めるとともに、人材育成、木育の推進など多様な取組みを実施し、森林の公益的機能向上と地域住民の安全・安心の確保に努めます。特に新年度においては、「森林管理道等緊急整備事業」を新たに展開し、人工林の伐採・植え替え後の育林など森林管理のために継続的に利用される森林管理道等の開設を支援します。また、林道網の計画的な整備、点検結果を踏まえた林道橋及びトンネルの修繕工事の実施、治山対策事業による山地荒廃防止対策など、安定した森林づくりのための基盤整備事業を推進します。
 畜産振興については、後継者確保や自給力向上を目的とした畜産公共事業を推進し、持続可能な畜産経営のため生産基盤の強化を図ります。酪農では、優良な雌牛の確保を進め、和牛については、「飛騨牛」の生産に不可欠な繁殖牛の確保と肥育技術向上のための指導と支援を行います。また、豚熱や鳥インフルエンザなど家畜伝染病の防止のため、防疫体制の強化に努めます。
 続いて、商工振興についてであります。コロナ禍による社会情勢の変化や昨今の物価高騰、エネルギー高騰の影響により、市内の商工事業者は経営面でのダメージが続いており、経営の安定化を図るためには急速な変化に適合したビジネスモデルへの対応や転換が必要となります。市内商工事業者の約75%を小規模事業者が占めるなかで、経営改善に向けた新規顧客の獲得や販路開拓などのために、新規事業の追加や既存事業の発展などの新しい取組みを行う小規模事業者に対してその費用の一部を支援する「ビジネスチャレンジ小規模事業者支援事業」を新たに創設し、商工会や産業支援センターと連携しながら商工事業者の事業継続支援に取り組みます。また、市内での消費喚起や経済効果の拡大を図るため、導入して2年目となる市独自キャッシュレス決済システム「郡上ふるさとコイン」の利用者や利用店舗を増加させ、地域経済の活性化及び市内経済循環の拡大を目指します。
 観光振興については、通常開催に戻った「郡上のおどり」をはじめとした、魅力ある観光資源の積極的な情報発信を行うとともに、北陸新幹線の敦賀延伸や2年後の中部縦貫自動車道開通など、新たな観光導線の形成に対応するため、広域的な連携によるキャンペーンを進めるほか、郡上おどりを未来へと継承していくための郡上おどり保存活用計画を策定します。
 観光立市郡上の実現に向けては、引き続き、郡上市観光連盟のホームページの活用を図るほか、外国人個人観光客の受け入れ体制強化のため、3年間かけて育成した英語ガイドを活用し実践活動を行います。また、国際競争力の高いスノーリゾートづくりを実現するため、継続してスキー場と連携した豪州への誘致活動を実施します。
 以上、『産業・雇用』の施策に21億9,476万円(一般会計21億9,476万円)を計上いたしました。

2.環境・防災・社会基盤(美しい水と緑を守り、暮らしの基盤が整う共生のまち)

 次に、2つ目の柱である『環境・防災・社会基盤』についてであります。
 郡上市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)に掲げた温室効果ガス削減目標を達成するための一環として、この1月に市が出資する自治体新電力会社を設立いたしました。この自治体新電力会社では、民間資金を活用しながら市内の資源を活かした再生可能エネルギー発電所を整備し、地産地消のグリーン電力を市内に安定した価格で届けるエネルギー需給モデルの構築を目指します。同時に、その利益を活用して市内の農地や森林、河川等の再生と保全、各産業の支援、自然環境保全型観光事業の推進と人材育成を行うために、官民が連携して地域課題を解決する体制と仕組みづくりを目指します。
 廃棄物処理事業については、郡上クリーンセンターほか2施設における施設運営の適正管理及びコスト削減に努め、安全で効率的な廃棄物の処理を実施します。また、郡上クリーンセンターと北部クリーンセンターの統合による施設更新計画も推進してまいります。
 水道事業については、安全安心な飲料水を供給するため、施設の適正な維持管理に努め、老朽管路の更新・耐震化事業及び八幡上水の濁度問題対策に取り組みます。また、下水道事業については、施設の適切な運用により公衆衛生の向上・公共用水域の水質保全に努め、下水道施設長寿命化事業や下水道処理施設の統廃合による事業のスリム化を推進します。これら上下水道事業の推進に当たっては、国庫補助事業を効果的に活用してまいります。
 次に消防・防災についてであります。常備消防では、高機能消防指令センターの適正な運用を確保するため、出動車両管理装置及び無停電電源装置の更新を行います。また、経年により緊急走行や現場活動に支障を来たす恐れのある車両については、随時更新を行い緊急対応能力の強化に繋げます。非常備消防では、消防団員の招集及び情報管理体制の構築と出動記録を一元的に管理することを目的に、消防活動支援システムを導入します。これに併せてアナログ移動系無線は廃止します。また、消防団再編計画に基づき消防団組織の再編を進めるとともに、再編に伴い消防団車両、小型動力ポンプに余剰が生じる場合は再配置を検討し、更新計画との調整を図ります。
 災害対策においては、引き続き備蓄食料の食物アレルギー28品目対応品への更新を計画的に進めます。このほか、交通安全対策では、危険箇所へのガードレール、カーブミラー等の設置や、交通安全協会、道路管理者、警察及び鉄道と連携した安全対策・啓発を実施することにより、交通事故のない安全な地域を目指します。
 続いて社会基盤整備について、国道156号「郡上大橋」「大島歩道」、濃飛横断自動車道「堀越峠道路」「和良工区」の整備促進を関係機関へ強く働きかけるとともに、市事業においては国県補助事業並びに起債を活用した道路整備を推進します。また、経年による損傷が確認される橋梁・トンネル等についても補修等の適正な管理に努めます。さらに、想定外の豪雨等による山腹の土砂崩壊や河川護岸の損傷に対応するため、災害復旧事業はもとより急傾斜地崩壊対策・河川改良といった予防保全型の事業にも取り組んでまいります。
 住環境整備については、建築物の耐震化などに対する助成を行い、安全・安心な住環境の形成に努めるほか、八幡市街地における歴史的建造物の修理・修景や道路舗装の美装化などを行い、景観に配慮したまちづくりを推進します。また、市営住宅については、公営住宅等長寿命化計画に基づき大規模改修と適正な維持管理に努め、良好な住宅環境を提供します。さらに、空き家の適正管理に関する啓発や利活用・解体撤去に対する助成を行い、空き家対策を推進します。
 公共交通については、「郡上市地域公共交通計画」に基づき、八幡町有坂地区への新たな交通手段の導入の検討・協議を進め、年度内の運行開始を目指すほか、利用促進に向けた取組みも推進します。また、長良川鉄道については、安全な運行の確保のため老朽化対策等の取組みへの支援とともに、同鉄道の将来のあり方について関係機関とともに引き続き検討を進めます。
 以上、『環境・防災・社会基盤』の施策に32億9,977万円(一般会計27億1,189万円、特別会計35万円、企業会計5億8,753万円)を計上しました。

3.健康・福祉(支えあい助け合う安心のまち)

 次に、3つ目の柱である『健康・福祉』についてであります。
 結婚支援については、令和5年度、専門事業者による相談日の開設など相談体制の充実を図ったところです。新年度もこの体制を継続し、公設の結婚相談所として結婚を希望される方への支援に努めます。また、住宅の賃借費用や引っ越し費用などを経済的に支援する「結婚新生活支援事業」も引き続き実施します。
 子ども・子育て支援については、「こども家庭センター」を設置し、虐待への予防的な対応から個々の家庭に応じた切れ目のない支援など相談支援体制の強化を図ります。また、放課後児童クラブの開設や子育て中の親子が気軽に交流できる「郡上市子育て活動拠点施設」の活用を推進します。
 社会福祉については、包括的な相談支援体制の構築に向け、引き続き重層的支援体制整備移行準備事業を実施するほか、生活に困窮されている方に対して適切な支援を行ってまいります。
 障害福祉については、第7期障がい福祉計画・第3期障がい児福祉計画に基づき、障がいのある方の地域生活を支援します。また、子ども発達支援センターでは、関係機関との連携を強化し、途切れのない療育支援体制のもと児童とそのご家族を支援します。
 高齢福祉については、深刻化する介護職員の不足問題に対応するため、引き続き介護職員の奨学金返済の支援や初任者研修受講費用の助成を実施するほか、「ねんりんピック岐阜2025」の開催に向けて実行委員会を設立し、プレイベント等の取組みを進めます。
 郡上偕楽園の移転整備については、令和5年度、実施設計に着手しているところですが、今後は、関係の皆様や機関との協議・調整等を十分に行い、早期にかつ円滑に事業が進められるよう取り組んでまいります。
 続いて、健康づくりについては、健康寿命の延伸を目指し、健康診査・がん検診等の受診率向上や、健康な食事や運動ができる環境づくりとして、企業等と連携し「健康づくりプロジェクト事業」や「バランスの良い食事・減塩への取組み」を実施するほか、自殺予防対策、望まない受動喫煙防止対策に努めます。また、心身のストレス等による免疫力の低下から発症が懸念される「帯状疱疹」については、ワクチン接種費用の一部助成制度を新設し、発症の予防に努めてまいります。
 感染症対策については、国の方針を踏まえ、予防接種等を実施します。
 公立2病院では、医療サービスを安定的に提供するため、医療従事者の確保、計画的な医療機器の整備・更新を進めるとともに、オンライン診療をはじめとする医療分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進します。また、アフターコロナなどの社会情勢の動向に伴う医療需要の変化や岐阜県地域医療構想を踏まえ、市内の民間医療機関を交えた相互の適正な役割分担、病床機能や規模の見直し、急性期医療やへき地医療にも配慮した医療体制づくりなどについて引き続き協議・検討を行ってまいります。
 国民健康保険は、健診事業などの予防活動や健康づくりの推進と啓発を図り、市民の健康維持や医療費抑制に努めます。また、現在の経済状況に鑑み国保税率を据え置くとともに、国・県による一層の公費負担の確保に努めます。
 以上、『健康・福祉』の施策に125億5,648万円(一般会計33億1,886万円、特別会計91億315万円、企業会計1億3,447万円)を計上しました。

4.教育・文化・人づくり(香り高い地域文化と心豊かな人を育むまち)

 次に、4つ目の柱である『教育・文化・人づくり』についてであります。
 本市の教育は、「第3期郡上市教育振興基本計画」に基づき様々な施策を実施しています。新年度は本計画の最終年度となることから、これまでの取組みの成果と課題を把握・検証するとともに、多様な個性を尊重しながら個々の能力を発揮できる教育を推進するため、学校・家庭・地域・関係機関が連携した次期「郡上市教育振興基本計画」を策定します。また、現在、整備の最終段階となっている大和小学校については、関係の皆様のご協力のもと4月6日に開校を迎えます。子供たちが新しい学び舎で安心して学ぶことができるよう、地域の皆様のご協力を得ながら学習環境の充実に努めてまいりたいと思います。このほか、「郡上市学校規模適正化計画」に基づく今後の学校の適正配置についても検討してまいります。
 学校教育では、生命(いのち)と人権の尊重を基盤として、「ふるさと郡上を誇りに思い、未来を切り拓く、たくましく共に生きる郡上人の育成」を目指すべく、確かな学力と豊かな心を育む教育を引き続き推進します。教科、道徳、特別活動等において積極的にタブレット等のICT機器を適切に活用し、学びの活性化と最適化を図り、知識・技能の習得、思考力・判断力・表現力の育成、学びに向かう力・人間性の涵養に取り組むほか、地域の魅力をSDGs等の観点から探究的に学ぶ「郡上学(ふるさと体験学習・キャリア教育)」を推進し、持続可能な社会や郡上市の担い手の育成を目指します。また、フリーカリキュラムクラスや適応指導教室などの多様な学びの場・居場所を活用した教育支援と「命の教育カリキュラム」を活用した道徳教育の推進による不登校やいじめの未然防止と早期発見・早期対応のための事業を推進します。
 社会教育については、地域・家庭・学校が連携し、児童生徒の地域活動への参加や安心安全な学校活動を支援する「地域学校協働活動」を推進するとともに、地域の集いの場、学びの場である公民館による各種行事・講座等の開催や、郡上学講座の開催、地域の魅力を再発見する郡上かるたの普及などにより「地域づくり」「人づくり」を推進します。このほか、より豊かな子どもの読書活動を目指し、園や学校、PTA等と連携して、読書の楽しさを家族で共有する「家読(うちどく)」の推進やリスキリングなど、市民の学習を支援する図書館を目指します。
 文化振興については、令和6年10月14日から11月24日の42日間にわたり岐阜県内を会場に、第39回国民文化祭、第24回全国障害者芸術・文化祭(統一名称は「清流の国」ぎふ文化祭2024)が開催されます。本市の事業としては、全国の短歌愛好家から作品を募る短歌大会や、和歌文学をテーマにした講座などから成る、『清流の国ぎふ「短歌の祭典」古今伝授の里・郡上』の開催、また、ユネスコ無形文化遺産「風流踊」をテーマとして、本市の地域文化である「風流踊」の発信と次世代への継承を目的に、市内外の「風流踊」を披露する「風流踊フェスタ~次世代への継承~」の開催や、障がい者、健常者の区別なく全ての市民の皆様を対象として、日頃の創作活動の紹介や自己表現、芸術文化を通じた交流の機会を提供する「市民芸術文化展」の開催を予定しています。それぞれの催しが多くの方に楽しんでいただけるよう、準備を進めてまいります。
 文化財関係では、大和町の国名勝東氏館跡庭園及び県史跡篠脇城跡の調査報告書の作成が完了することから、文化庁に文化財指定に係る意見具申を行い、一体的な「国史跡指定」を目指します。また、白鳥町長滝の県指定重要有形文化財若宮家住宅及び周辺施設ついては、整備に向けた調査等を行いながら、改修に係る実施設計及び後世の増築部分の解体などの施設整備を進めます。この他、文化財の適切な保存管理等の支援、市民の皆様が文化財及び伝統文化に関心をもち理解を深めていただける機会の充実を図ります。
 スポーツ振興では、ライフステージに応じて自発的に健康や体力の保持増進を図ることができるよう、引き続き「1市民1スポーツ」を推進します。少年スポーツの推進については、スポーツに触れる機会を増やすことで、スポーツへの興味・関心を高め、青少年の健全育成を図ります。また、休日の学校部活動を地域クラブ活動へ移行するため、地域クラブ活動のあり方や運営・活動等を検討し、誰もが等しくスポーツが続けられる環境を整備します。スポーツツーリズムの推進については、スポーツコミッションによるワンストップサービスを充実することにより、本市の豊かな自然とスポーツ施設を活用したスポーツ大会や合宿の誘致に繋げ、交流人口の拡大と地域経済の活性化を目指します。
 以上、『教育・文化・人づくり』の施策に7億4,017万円(一般会計7億1,533万円、特別会計2,484万円)を計上しました。

5.自治・まちづくり(市民と行政が協働でつくるまち)

 次に、5つ目の柱である『自治・まちづくり』についてであります。
 市民と行政の協働によるまちづくりのために、市民協働センターと連携した地域づくりを進めるほか、魅力ある地域づくり推進事業補助金を見直すことで市民活動団体等に対する更なる支援の充実を図ります。
 関係人口の創出・拡大と、移住・定住の促進を図るため、関西圏や中京圏での関係人口構築事業の検討を進めます。また、SNS等を活用して効果的な情報の収集や発信を行うことで、地域づくりの新たな担い手として期待できる関係人口の獲得や、将来のUターン候補である市内出身の若者世代との新たなつながりづくりに努めます。
 移住者の獲得や定住支援に向けては、移住支援補助金制度の見直しを行い、同補助金の対象者が市内で就職や起業をした場合に一定額を加算することにより、UIターン者の市内就職の促進と定住を目指します。このほか、「ひと・まちづくり推進事業」では、新たに高校と協働したプログラムを実施するなど、将来の郡上を担う小中高生を対象とした人材育成を進めます。
 次に男女共同参画については、計画的かつ効果的に事業を推進するため、第4次となる男女共同参画プランの策定に着手します。策定にあたっては、市民アンケート等によって現状把握と意見収集に努めるとともに、市民サポーターとの意見交換や審議会における協議を通じて、男女がともに個性や能力を発揮できる社会づくりに向けた事業の構築を目指します。
 都市交流推進事業では、市民間交流の新たな展開と幅広い友好関係の構築に向け、自治体間のつながりを深めてまいります。また、本市の知名度向上に向けて、東京都港区有施設「札の辻スクエア」の活用により積極的な情報発信を行います。
 国際交流推進事業では、国際交流団体と協働し外国人市民の言葉の支援にかかる各種事業を継続して行います。また、生活全般の支援に向けては、庁内各分野相互の連携、体制づくりを進めます。
 以上、『自治・まちづくり』の施策に1億9,621万円(一般会計1億9,621万円)を計上しました。

6.地域振興(個性あふれる地域づくりを推進するまち)

 次に、6つ目の柱である『地域振興』についてであります。
 「過疎地域持続的発展計画」に基づくソフト事業では、住民主体の地域づくりを推進するため、地域の課題解決に向けた活動を支援する「小さな拠点推進補助金」を創設するほか、白鳥地域では産業・観光振興につながる体制づくりを行う官民連携の事業を推進します。また、地域づくりの指針となる7地域の「地域振興計画」や地域協議会での協議等を踏まえ、地域課題を明らかにし、地域づくりにつながる取組みを実施・支援します。

7.行財政運営(健全な行財政運営を実行するまち)

 最後に、7つ目の柱である『行財政運営』についてであります。
 昨年12月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の地域別将来推計人口」では、2050年の本市の総人口は、現在より約4割減少し21,763人になると予測されています。このため、地方創生に関する様々な取組みを推進しつつも、人口減少を前提とした行財政基盤の安定強化に向け、「第3次郡上市行政改革大綱(令和6年3月改訂予定)」に基づく行財政改革を推進し、持続可能なまちづくりに取り組んでまいります。また、公共施設の適正配置については、個々の施設の再編・再配置を実行するための「行動計画」を市民の皆様と共有し、理解を得ながら着実に進めてまいります。特に、小学校統合により廃校となる校舎等については、サウンディング型市場調査による民間活用や地域利用も含め、効果的かつ効率的な活用方法について検討を進めます。
 行政のデジタル化については、国の計画に基づき、令和7年度を目途に住民記録や税、福祉情報等の基幹システムを全国共通のシステムへ移行するため、移行計画の作成や端末整備などの取組みを進めます。また、契約事務においては、電子契約システムを導入し、事務の効率化、コスト削減、コンプライアンスの強化を図ります。斎場管理においては、使用予約システムを導入し、Web上において予約状況確認及び予約を可能にすることにより、利用者の利便性の向上と円滑な斎場運営に努めます。
 マイナンバーカードについては、引き続きカードの未取得者に対する取得促進を図るとともに、図書カード機能との連携やオンライン申請への活用など利用可能サービスの拡大を図ります。
 正職員の職員給与費については、令和5年人事院勧告に鑑みた給料やボーナスのプラス改定により増となったものの、新規採用者が退職者数に満たなかったことや経験年数の長い職員の退職等に伴う若年層職員との入れ替わり、退職手当組合負担金の負担率の減などの理由により、一般会計では6,899万円減の35億4,915万円、特別会計では98万円減の7億131万円となりました。また、公営企業会計においても同様の理由により4,127万円減の24億9,959万円となり、全会計を通じては1億1,124万円減の67億5,005万円となりました。職員の給与については、民間給与や国家公務員給与等との均衡の原則、職務と責任に応じて支給する職務給の原則を踏まえ適切に措置するとともに、職員の確保及び定年延長を踏まえた適正な定員管理に努めてまいります。
 また、会計年度任用職員の給与費については、正職員の給料表の改定に伴う時間額報酬等の改定及び地方自治法の改正に伴う勤勉手当の支給を新たに行うことなどの理由により、一般会計では2億1,167万円増の10億3,363万円、特別会計では4,799万円増の2億6,117万円、公営企業会計では8,392万円増の6億892万円となり、全会計を通じては3億4,358万円増の19億372万円となりました。
 正職員と会計年度任用職員の給与費の合計は、一般会計では1億4,268万円増の45億8,279万円、特別会計では4,701万円増の9億6,248万円、公営企業会計では4,266万円増の31億850万円となり、全会計を通じては2億3,235万円増の86億5,377万円となりました。
 一般会計における公債費では、元利償還金は36億2,328万円で、令和5年度当初予算からは7,341万円の増となっています。これは、借入条件の見直し(据置期間の短縮)を行ったことによるものであり、この見直しによる公債費の増は過途的なものと考えております。令和6年度末の市債残高見込額は、「肉付予算」の前の数字ではありますが、262億6,323万円となり、令和5年度末見込みと比較して23億6,294万円の減少となり、ピーク時の平成17年度末の市債残高538億4,108万円と比べて51.2%、275億7,785万円の減少となる見込みです。
 これらの、『行財政運営』の分野の施策に、給与費、公債費、施設管理費等を除く政策的及び投資的経費として2億4,583万円(一般会計2億4,583万円)を計上しました。
 なお、冒頭に来る3月2日に「郡上市合併・市制施行20周年記念式典」を行うと申し上げましたが、新年度においても国民文化祭開催事業である「風流踊フェスタ」や「短歌の祭典」などをはじめとして、各分野において開催される数々のイベントを「郡上市合併・市制施行20周年記念事業」として位置付け、一年間に亘って実施する計画であることを申し添えます。

 以上、令和6年度の予算編成に当たり、市政運営の基本的な考え方と重点施策の概要について申し上げました。持続可能な郡上市の未来に向けて市一丸となり取り組んでまいりたいと思いますので、議員の皆様並びに市民の皆様には今後とものご支援とご協力をお願い申し上げます。


令和6年2月20日

郡上市長 市長:日置敏明

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0575-67-1147

〒501-4297 岐阜県郡上市八幡町島谷228番地
FAX:0575-67-1711
E-Mail:kouhou@city.gujo.lg.jp

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