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平成22年度施政方針

 施政方針は、平成22年度の郡上市における市政運営に関する所信と基本的施策であり、平成22年第2回郡上市議会定例会において市長より表明したものです。

 本日は、平成22年第2回郡上市議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位にはご参集いただき、厚く御礼申し上げます。
 定例会の開会に当たり、市政運営に関する基本的な考え方と新年度予算の編成方針、またこの予算案に盛り込みました主要施策や主要事業、さらには条例改正等の各議案の概要につきましてご説明申し上げ、議員各位並びに市民の皆様方のご理解、ご協力を賜りたいと存じます。
 私が市政を担当させていただいてから、早くも2年が経とうとしております。この間、本市の抱えている様々な課題に取り組み、「ふるさと郡上づくり」に全力をあげてまいりました。
 そして、本年は、すでに合併並びに市制施行7年目に入っております。本市の財政状況は依然として厳しいものがあり、財政健全化への努力を引き続き進めながら、「安全、安心、活力、希望」の理念のもとに市政運営に努めてまいりたいと考えております。
 さて、昨年を振り返りますと、わが国における政治・経済は、まさに激動の1年でありました。9月には、政権交代がありました。経済は、依然として厳しい状況が続いております。また、新型インフルエンザが瞬く間に世界中に広がり、郡上市内にも大きな影響を及ぼしました。
 こうした状況の中で、政府は、平成22年度の日本経済の見通しについて、追加経済対策や子ども手当導入などにより、個人消費の押し上げなどが図られ、景気は緩やかに回復していくとし、国内総生産は3年ぶりのプラスと見込んでおりますが、雇用情勢の一層の悪化、デフレ圧力の高まりによる需要の低迷など、楽観を許さない状況にあります。
 一方、県は、向こう3年間の行財政改革の取り組みとして、3年間で920億円にも上る構造的な財源不足を解消するための「行財政改革アクションプラン」を定めました。県の危機的とも言える極めて厳しい財政状況は、市町村等への県単補助金の削減、投資的事業の見直しなどを余儀なくさせているところであります。
 こうした中で、郡上市としてもまず急がなければならない対策として、先般2月の補正予算による「緊急経済対策」として取りまとめました5億6,300万円余の身近な基盤施設整備等の諸施策の鋭意実施をし、引き続き、新年度予算でも地域経済の活性化と市民生活の安心を確保するため、切れ目なく、対策の実施に取り組んでいく所存であります。
 

市政運営の基本的方針

 市政運営の基本的な方針につきましては、まずは市民の暮らしの安全・安心を確保することに重点を置きつつ、活力と希望のある郡上づくりを一層推進してまいります。そして、そのためには地域の力を引き出す「ふるさと再生・コミュニティの活性化」に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、市では、平成18年度から平成27年度を計画期間とする「郡上市総合計画」に基づき、「みんなでつくる郡上-人と自然が調和した交流文化のまち-」を目指して各種の施策を進めてまいりました。平成22年度で計画期間の前半を終えるにあたり、今年度は、総合計画審議会をはじめ市民の皆様のご提案やご意見を伺いながら「後期基本計画」(平成23-27年度)を策定してまいります。
 行政組織の強化策としては、市長公室企画課内に新たに「地域振興担当課長」と「行政改革担当課長」という2つの「担当課長」ポストを置き、本庁、支所間の連携を図りながら、地域振興、行政改革を積極的に推進できる体制を整えます。
 また、幹部・若手職員の自治大学校派遣研修をはじめとする人材育成を推進するとともに、職員の能力開発や業務改善を進め、組織全体での意識改革を図ります。
 財政面においては、個人所得の大幅な減少や企業収益の急激な悪化等により、地方交付税などの原資となる国税収入が大幅に落ち込むことが予測される中、平成22年度の地方財政対策によって、地方の自主財源の充実、強化を図るために地方交付税総額が特例的に前年度比で1兆733億円増額されました。これによって、郡上市の歳入の柱である地方交付税も平成22年度は増額を見込むことができました。しかしながら、この特例措置は必ずしも安定的なものではなく、しかも本市においては、合併支援措置が段階的に縮減し始める平成26年度以降は普通交付税が減少し始め、平成31年度には、人口減少による減額分も含めると約30億円減少する見込みであります。
 一方、歳出では公債費がここ数年は高い水準で推移するほか、高齢者、障害者福祉などの社会福祉費の大幅な増加と学校施設の耐震化及び改築費の増大、多額の施設管理経費に加え、県の行政改革に伴う県単補助金の減少による市負担額の増大などにより、市財政は厳しい状況が続きます。また、平成20年度の実質公債費比率は21.8%であり、依然として高い水準にあるため、起債(通常債)発行額の抑制と繰上償還を柱とした「公債費負担適正化計画」に沿った財政運営を求められております。こうした状況から、今後も財政の健全化を最重要課題として取り組んでまいります。
 

予算編成

 平成22年度の予算編成におきましては、昨年に引き続き公債費負担適正化計画で示した起債(臨時財政対策債を除く通常債)発行額28億円以内を堅持しつつ、(1)安全で安心できる環境の整備、安心して子育てができる環境づくり、生活弱者が安心して暮らせる社会づくり、安心できる保健・医療体制の充実に主眼を置いた『安全・安心の地域づくり』、(2)産業振興、雇用の確保、地産地消の推進、社会基盤整備の充実、文化・教育・人づくりを主眼に置いた『活力、希望のある地域づくり』、(3)市民自治、市民参画のまちづくりを主眼に置いた『市民主体の地域づくり』の3つを予算編成の柱と位置づけるとともに、景気低迷に対処すべく可能な限りの(4)『緊急経済・雇用対策』を行うこととし、同時に(5)『身の丈にあった財政規模への取り組み』、知恵と工夫で特段の予算を用いずに市民サービスを提供する(6)『ゼロ予算事業』にも引き続き積極的に取り組むこととしました。
 こうした柱によって編成した結果、性質別歳出では、普通建設事業に前年度対比4.1%増の45億4,366万円、扶助費に28.5%増の27億5,516万円、人件費に0.8%増の48億2,462万円、公債費に0.3%減の60億538万円、物件費に1.4%減の39億7,647万円を計上しました。
 歳入では、景気の低迷により個人市民税が前年度対比6.1%、1億48万円の減額、法人市民税が23.9%、6,405万円の減額、固定資産税は電力会社等の広域に設置された償却資産等の増により5.2%、1億3,617万円の増額となりましたが、市税全体では0.8%、4,066万円の減額で48億6,696万円となりました。地方交付税については、国において「地域活性化・雇用等臨時特例費」の創設などにより交付税総額において1兆733億円が増額されたことを受けて、前年度対比2.1%、2億6,900万円増の128億1,400万円を計上しました。国庫支出金は、子ども手当制度の創設に伴い、前年度対比40.9%、5億8,454万円増の20億1,326万円となりました。一方、臨時財政対策債を除いた市債(通常債)は、前年度対比5.3%、1億4,730万円減の26億4,590万円を計上し、公債費負担適正化計画の28億円以内を堅持しました。
 国の地方交付税特別会計の財源不足を補うために発行する臨時財政対策債は、前年度対比19.9%、2億4,928万円増の15億円を計上し、市債全体では前年度対比2.5%、1億198万円増の41億4,590万円といたしました。以上の結果、平成22年度の当初予算は、市税が減少しましたが地方交付税や臨時財政対策債が増加したこともあり、財政調整基金を繰り入れることなく編成することができました。

 このような方針に基づき編成した平成22年度予算規模は、
 一般会計 284億8,600万円
 特別会計 149億4,124万9千円
 企業会計 47億8,242万6千円
 合計 482億967万5千円
となり、平成21年度当初予算に比べ、一般会計は3.1%の増、特別会計は0.1%の減、企業会計は2.9%の増となっております。
 

 続きまして、予算編成方針で申し上げました5つの柱と重要施策につきまして、項目ごとの内容をご説明申し上げます。

1.安全、安心の地域づくり

 最初に一つ目の柱である『安全、安心の地域づくり』についてであります。
 まず、環境衛生の一般廃棄物の処理に関する事業では、クリーンセンター施設の修繕事業費1億6,985万円、環境衛生センター施設の修繕事業費5,469万円などを計上し、施設の適切な維持管理に努めます。
 ゴミの減量化については、生ごみ処理機購入助成を継続するとともに、引き続きダンボールコンポストの普及、推進に努め、生ごみの堆肥化、減量化により、循環システムの確立を目指します。
 また、美しい郡上市の環境保全のために、不法投棄の根絶を目指し、緊急雇用創出事業(不法投棄防止対策149万円)及び環境団による監視パトロールと回収を実施するとともに、啓蒙活動を行い市民の不法投棄防止への意識を高めていきます。
 市内には利用していない可燃物焼却場が残置され、その取壊しが課題となっておりますが、まず八幡町にある中部清掃センターの事前調査(調査業務861万円)を行ってまいります。こうした環境対策推進事業には12億1,710万円を計上しました。
 安全・安心の確保のための基盤整備として、今年度は、白鳥地内の曽部地川改修工事が完成の見込みとなっております。
 また、美並地内における長良川の河川改修事業や急傾斜地崩壊対策事業など、県の河川事業の促進、危険箇所の防災工事の促進を図るとともに、市としても、道路環境、治山・治水、急傾斜地整備事業に1億4,600万円を計上しました。
 鳥獣害防止対策事業では、恒久的な獣害防除柵等の設置に対する支援など、2,651万円を計上し、事業推進に努めてまいります。消防・防災対策につきましては、消防ポンプ自動車や防火水槽、また、音声告知放送システムの更新(2億4,675万円)をはじめとした防災体制の充実事業に、6億2,161万円を計上しました。
 児童生徒の安全を確保するための学校施設の整備につきましては、今年度完成予定の西和良・和良統合中学校(7億1,108万円)の建設、新たに白鳥中学校改築事業(4億6,416万円)に取り組んでまいります。
 学校教育環境の充実につきましては、平成21年度に行いました耐震診断の結果に基づき計画的に補強工事を進めます。本年度は、大和北小学校の屋内運動場をはじめ川合小学校の屋内運動場、石徹白小学校の校舎棟の実施にむけて、2億2,163万円を計上しました。また、小川小学校の老朽校舎についても、修繕工事(2,100万円)を行うことといたしました。
 安心して子どもを生み育てる社会構築に向けては、子育て支援センターが核となり、子育て支援団体等との連携を強化し、より良い環境づくりを進めます。さらに、出産早期に難聴を発見して適切な療育につなげるための「新生児聴覚検査支援事業(90万円)」、乳幼児の細菌性髄膜炎を予防するための「ヒブワクチン予防接種」の公費助成制度を創設(59万円)します。
 子どもの医療費についても、通院に係る医療費助成を中学校3年生までに拡大することで乳児から義務教育終了時までの学童に対する通院及び入院医療費をすべて無料にする(乳幼児医療費助成事業[県・就学前]6,279万円、乳幼児等医療費助成事業[市・義務教育]8,561万円)ことといたしました。こうした保健医療の体制の充実に2億317万円、国民健康保険特別会計繰出金をはじめとする保健医療対策の推進事業に5億200万円を計上しました。
 子育て支援の取り組みとして、子ども手当(7億9,950万円)や子育て支援金の創設(730万円)、私立保育園(認定こども園保育園部)の施設整備支援(1億1,400万円)、認定子ども園幼稚園部整備支援(9,000万円)など子育て支援の充実を図ります。これらの子育て支援の充実として、18億3,305万円を計上しました。
 次に、障がいのある方や高齢者の方が安心して暮らせる施策については、県補助金等が削減される中、従来のサービスを継続実施するとともに、新たに障害福祉サービス事業所試用支援事業(73万円)の創設や郡上市ケーブルテレビ放送施設使用料助成の拡大をいたします。
 施設整備については、八幡町小野地内に保健センター及び児童療育機能を有する保健福祉施設の建設に向けた実施設計に着手します。
 また、郡上市介護保険事業計画に基づき、特別養護老人ホームを増設(20床)する社会福祉法人に対する「施設整備補助金」を創設(700万円)します。こうした、後期高齢者医療、介護保険や生活保護扶助経費をはじめとした高齢者、障がい者など生活弱者サービスの充実や介護者に対する支援の拡大に28億2,258万円を計上しました。
 特定健診・特定保健指導の実施にあたっては、制度の周知活動を強化するとともに、受託医療機関の拡大や個々の健康状態に即した保健指導など受診環境の更なる改善を図り、受診率の向上をめざします。
 また、女性特有のがんである子宮・乳がん検診は、特定年齢の受診料免除措置を引き続き講じます。そのほか、全国の年間自殺者数が平成10年度以降連続して3万人を超え、本市では、自殺死亡率が国・県平均を上回っていることから、自殺予防対策協議会を設立し関係機関と連携し自殺予防対策(事業費82万円)に取り組みます。
 直営診療所群を構成する地域医療センターは、へき地医療の第一線を担うとともに、保健や福祉を包括的に展開することを目的として、引き続き特定健診や介護予防事業にも積極的に係わってまいります。
 公立二病院では、市民の命と健康を守るため、一次・二次医療の充実はもとより、救急や周産期医療体制の維持に努める一方、公立病院改革プランに掲げる目標の達成をめざすとともに、新たに設置した地域医療確保検討委員会の意見や提言を踏まえ、民間医療機関との連携のもと、地域医療を安定的かつ継続的に提供するための体制整備に向けた取り組みに力を注ぎます。
 

2.活力、希望の地域づくり

 次に、二つ目の柱であります『活力、希望の地域づくり』についてであります。
 農業振興の分野では、昨年の政権交代により、これまで約40年間実施されてきました米の生産調整に代わって戸別所得補償モデル事業が導入されることにより、農業政策の歴史的な転換期を迎えております。こうした農業を取り巻く情勢が変化する中で、昨年策定しました農業振興ビジョンの実現に向けて、農業の持続的発展とその基盤である農村の振興を図っていく必要があります。
 集落や農地の多面的機能を確保するための中山間地域等直接支払制度や、農村の環境保全を図る農地・水・環境保全向上対策事業及び恒久的な獣害防護柵等の設置に対する支援を予定しております。また、地域農業の活性化に向けて、地産地消を積極的に推進し、地元農産物の学校給食への提供や青空市場間の連携を強め、安心安全の意識徹底のため研修会の開催及び農薬の自主検査を行なうことにより、質の高い農産物としての地位を確立し、消費拡大が出来るよう努めてまいります。
 畜産振興につきましては、畜産農家の経営環境が厳しい中で、個々の農家の繁殖・肥育技術の向上、病気の予防や死廃事故の低減、自給飼料生産の拡大によるコスト低減等、総合的な施策や支援の実施により、飛騨牛及び乳用牛の生産の振興を図ります。また、有機質堆肥の利用の拡大を図り、耕畜連携を推進するとともに、市営牧場の放牧事業拡大及び農家支援のため放牧料金の値下げを実施します。
 森林・林業については、引き続き造林事業、特に間伐事業を積極的に推進し、水源のかん養や山地災害防止等、森林の持つ機能を発揮させ、良好な自然環境と市民の安全な生活環境の創出に取り組んでまいります。また、郡上産材の活用促進と定住化を図るために、新築住宅建設に対する支援制度(郡上市産材住宅建設等支援事業500万円)を創設します。これらの、農・林・畜産・水産業振興には、6億3,214万円を計上したところであります。
 次に、商工振興についてでありますが、先般、取りまとめました郡上市商工振興ビジョン「郡上の強みを活かした内発的産業の創造」を目指し、郡上が持つ特性・強みを最大限活用し、産業構造の転換促進と振興事業に取り組んでいくこととしております。特に商工業の分野では社会企業家、次世代の起業家を育成するためのセミナーや、現在の厳しい経済環境を乗り切るための経営改善並びに技術強化への支援を行うとともに、本市の強みである豊富な地域資源と多くの交流人口を市内消費の拡大に繋げるため、「食」を切り口に各種事業を展開してまいりたいと考えております。こうした商工業振興事業には、1億7,006万円を計上しました。
 観光振興につきましては、今般策定しました郡上市観光振興ビジョンでは「訪ねたい、滞在したい郡上づくり」を基本理念として取り組みを強固に推進することとしました。
 特に国内については、東海北陸自動車道の全線開通効果を最大限に活かすため、郡上市観光連盟と連携して継続的なキャンペーン事業を実施します。また、長良川鉄道の利用を軸とした、より地域色の出る旅行企画(郡上市への着地型旅行)を推進します。国外については台湾、シンガポール、オーストラリアを中心に誘客事業を実施し、民間事業者と連携したより効率的な活動を行ないます。東京都港区や三重県志摩市などとの観光物産交流も進展させていきます。新規事業としては、「(仮称)郡上藩凌霜隊140年祭」の開催を計画いたしました。なお、明宝温泉「湯星館」、高鷲「湯の平温泉」に指定管理者制度を導入し、民間のノウハウを最大限に活かしてくこととしております。
 日本まん真ん中温泉「子宝の湯」についても引き続き指定管理者制度導入へ向けて検討してまいります。
 こうした、観光振興事業には、2億3,285万円を計上しました。
 次に、交通対策につきましては、市内の公共交通体系を総合的に見直すため、各地域公共交通検討会の意見に基づく「郡上市地域公共交通総合連携計画」の策定を進めます。市民の日常生活における通院、通学、買い物等の移動手段の確保に向けて、地域の実情に適した方策の確立を目指します。
 また、広域交通対策として、長良川鉄道、路線バスの財政支援を行ってまいります。これら、市民の足を確保する公共交通対策には、1億9,651万円を計上しました。
 基盤整備につきましては、政権交代に伴い、「コンクリートから人へ」のキャッチフレーズの下での事業仕分けや制度改正など、大きな変革の中にありますが、郡上市においてはこれまでの安全・安心の確保と地域活性化に向けた基盤整備を着実に推進する必要があると考えております。道路基盤整備には20億3,645万円を、土地改良等の農業基盤整備には1億590万円を林道等の林業基盤整備には2億1,780万円をそれぞれ計上したところであります。なお、今年度は、八幡・美並間の羽佐古トンネルが開通の見込みとなっております。
 郡上市の生活と活力を支える最も重要な社会資本の一つである東海北陸自動車道の四車線化は現在保留状態となっておりますが、早期事業着手に向け関係団体と連携し積極的に働きかけてまいります。
 道路基盤整備事業の中のまちづくり交付金事業については、これまで大和、八幡、白鳥地区において事業展開してまいりましたが、平成21年度をもって大和地域は完了予定であり、本年度は八幡地域、白鳥地域について事業を進めてまいります。また、策定中の郡上市景観計画につきましては、郡上市景観百景プロジェクト事業(300万円)に取り組みながら、具体的な景観施策を進めてまいります。
 住宅施策については、現在保有している市営住宅、特定公共賃貸住宅、市有住宅の39団地、608戸の適正管理に努めるとともに、市有分譲宅地である美並「円山の里」、白鳥「寿賀丘団地」について積極的に販売を進めてまいります。
 次に、水道事業につきましては、5年間の経過措置を経て、平成21年度より水道使用料金・加入分担金は統一となりましたが、市内には66箇所と多くの水道施設があり、この維持管理費が経営面で大きな負担となっていることから、徹底したコスト削減と効率的な水道施設統合を目指します。
 また、有収率の低い施設を中心に、計画的に夜間等の漏水調査を実施し、漏水箇所の把握を行うとともに、布設替え等の修繕による有収率の向上に努めます。
 新年度における事業として、平成18年度より事業着手しております和良統合簡易水道事業(3億5,134万円)は、最終年度を迎え全区域の完成に向け推進してまいります。また、八幡地域では、相生農業集落排水事業に併せて老朽管の布設替えを目的に、相生簡水基幹改良事業(1億1,242万円)を実施し、大和地域では、水道未普及地域解消事業として、平成21年度に変更認可申請を終えた中神路の一部と下古道の一部の未普及地域を対象とした神路簡水拡張事業(6,111万円)に着手し、早期供用開始に向け推進してまいります。
 また、簡易水道統合調査事業(300万円)に着手し、老朽施設を中心に効率的な統廃合の基礎調査を行い、財政状況も勘案しながら計画的に統廃合を進め、安全・安定供給による持続可能な事業形態と健全経営の確立を目指します。
 下水道事業は、市民の皆さんの快適な住環境の整備とともに、公共用水域の水質保全に欠かすことのできない重要な生活基盤事業であり、今後とも事業の積極的な推進を図ってまいります。
 新年度の事業として、継続事業の美並中央処理区の建設事業については、平成21年度に面整備を終了し、処理場増設(5,408万円)に着手します。
 八幡相生地区においては、平成20年度より着手しております農業集落排水事業の早期供用開始に向け、積極的に推進(2億5,574万円)してまいります。
 また、大和地域では、加入対象件数の増加により大和処理区建設事業として、処理場増設(6,210万円)に着手します。
 下水道使用料金の統一につきましては、市内34箇所と多くの下水道施設があり、この維持管理費が水道事業と同様、経営面で大きな負担となっておりますが、効率的な運用とコスト削減の徹底を図り、合併後の市民負担の地域格差を解消すべく、適正な下水道使用料金、負担金・分担金の早期統一を進めてまいりたいと考えております。
 次に、学校教育につきましては、生命と人権の尊重を基盤とした「自立・共生・創拓の教育」を推進するとともに、子どもたちが、ふるさとへの誇りと愛情を持ち、心豊かでたくましく「生きる力」をより一層育むことができるよう努めてまいります。また、保育園・幼稚園と小学校、小学校と中学校、中学校と高校が連携し、基礎的・基本的な学習内容の定着や個性・才能の伸長を図るとともに、家庭や地域とも連携し挨拶や家庭学習等の基本的な生活習慣が定着するよう努めてまいります。なお、本年度より白鳥中と郡上北高校による連携型中高一貫教育をスタートさせます。学校教育には、7億8,976万円を計上いたしました。
 社会教育では、歴史や文化を大切にし、支え合って共に生きようとする地域社会を創造していきたいと考えております。
 そのため、どの地域でも活発な生涯学習と地域活動が展開できるよう新公民館体制の定着と公民館活動の充実を図ってまいります。
 また、郡上市についての理解と認識を深めるための「郡上学講座」(277万円)をはじめ、「郡上かるた」(111万円)の作成、「白山文化フォーラム」(95万円)など、市民の一体感を高める「郡上学」の計画的な推進を図ってまいります。
 文化、芸術の振興につきましては、短歌や俳句などの文芸を郡上市民の特色ある文化活動として市全体に広げ活動の充実を図るとともに、市民一人が一文化に親しみ、生活を豊かにできるよう文化活動団体の育成や活動支援を行ってまいります。
 また、ふるさとの歴史文化の認識を高める文化財につきましては、保護等の現状を的確に把握し、保護・活用の体制を確立していくとともに、大学等との連携で、町並み(景観)や伝統的建造物の調査(350万円)を行い、その保存や活用の具体策を構想します。
 図書館事業では、市民の読書活動の充実を図るため、市民が利用しやすい図書館の体制づくりや図書館活動を推進していきます。 スポーツ振興では、「市民1人1スポーツ」の推進を目標として、市内のスポーツ施設の有効活用を図り、市民へのスポーツ機会の提供、青少年スポーツ活動の活性化、競技力向上のため各競技団体の育成強化を推進します。
 「2012年ぎふ清流国体」については、推進体制を整え、組織的な活動とともに、国体PR活動としての市民スポーツイベントを推進します。これら、文化振興事業やスポーツ振興事業に、4億5,722万円を計上しました。
 

3.市民主体の地域づくり

 次に、三つ目の柱であります『市民主体の地域づくり』についてであります。昨年7月に「郡上市市民協働指針」を策定しました。
 この指針をもとに、さらに市民協働を推進していくために、「団体提案型協働事業」を実施するための制度を創設しました。この制度は、事業を提案された団体と郡上市の「協働」によるきめ細かで質の高いサービスの提供により、市民満足度を高めるとともに、幅広い市民協働の実践につなげていこうとするものです。なお、平成21年度に試行実施しました大和振興事務所の窓口業務につきましては、平成22年度には「行政提案型協働事業」としまして、実施することといたしました。こうした事業には466万円を計上しました。
 また、行政と市民が地域の課題に協働で取り組むための母体となる自治会や地区公民館等の市民組織について、「自治会組織等活性化検討会議」を設置して、活性化方策を総合的に検討します。
 さらに、本年度も昨年に引き続き「郡上市集落総点検・夢ビジョン策定モデル事業」(385万円)を継続し、集落の維持・活性化対策を推進します。市における男女共同参画の推進につきましては、平成21年度に策定した「郡上市男女共同参画プラン」に基づき、推進会議やフォーラムの開催など男女共同参画社会の形成に向け推進事業を展開いたします。
 次に、国内における自治体交流につきましては、友好都市交流協定締結により、青少年交流、文化交流など、さらに東京都港区との交流を積極的に行ってまいります。また、三重県志摩市などとの交流についても引き続き交流のあり方について調査研究を行います。国際交流は、市民による自主的な相互理解や多文化共生推進の活動を引き続き支援してまいります。
 ケーブルテレビ事業につきましては、行政情報番組の充実に努めるとともに、今年度からサービスを開始する自主放送番組のデータ放送による行政情報の提供について、積極的な活用を図ってまいります。
 

4.緊急経済・雇用対策

 次に、『緊急経済・雇用対策』についてであります。
 地域経済を取り巻く情勢は、郡上市でも製造業をはじめ公共事業の縮小に苦しむ建設業など、広い分野で依然として厳しい経営環境が続いております。
 こうした中で、市の雇用対策協議会や商工会等の関係団体と緊密に連携し、経済対策、雇用対策を推進し、地域経済の活性化を図ってまいりたいと考えております。平成22年度へ繰り越しをいたしました国の「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」の諸事業は地域経済への効果が大きいものであり、速やかに効果が表れるよう推進してまいります。新年度の主な事業といたしましては、商工会事業に対する支援を引き続き実施するとともに、新たに国の緊急経済対策による融資で信用保証承諾が得られた資金利息に対する補給制度の創設(1,300万円)や市内消費を喚起するため商工会が行う市内共通商品券発行事業へのプレミアム上乗せ支援(1,100万円)、工業分野では事業者が大学等の試験研究機関と共同で取り組む新技術・新製品の研究開発に対する支援などに積極的に取り組みたいと考えております。
 また、雇用面では引き続き、観光案内事業などの緊急雇用創出事業に964万円(11人)、交流移住推進事業などのふるさと雇用事業に1,428万円(5人)、合計2,392万円(16人)を計上しました。
 

5.身の丈に合った財政規模への取組み

 予算編成にあたっては、可能な限りの経費削減に取り組んだところであります。人件費については、定員適正化計画により14人の削減を行い、1億3,040万円の削減効果がありましたが、その一方で、共済費負担率が増加したこと等により人件費総額では3,737万円の増加となりました。
 公債費では、公債費負担適正化計画により1,813万円の減となり、徐々にではありますが、起債残高の縮減が償還利息の減少となって表れつつあります。平成22年度末の起債残高は、481億4,000万円となり平成21年度末に比して10億6,715万円減額する見込であります。
 その他として、温泉施設2施設について、今年度より指定管理を導入することなどにより、管理運営経費が9,127万円の減額となったほか、社会福祉協議会活動事業補助金について、補助基準の見直しを行い、1,289万円の減額となりました。
 

6.ゼロ予算事業への取り組み

 次に、『ゼロ予算事業への取組』として、過疎地域人材派遣事業支援、介護予防一般高齢者施策事業(介護予防体操指導事業)、女性の雇用環境向上事業、観光振興対策事業(市内観光奨励事業)、生涯学習振興事業(出前講座事業)など、今年度も39事業を実施することといたしております。

 以上、平成22年度の市政運営に対する指針や予算編成の考え方などを申し上げました。激動する厳しい経済社会情勢なればこそ、一つひとつの施策に希望を持って、粘り強く、一歩一歩着実に前進させていきたいと考えております。議員各位のご指導と、市民の皆様のご理解とご協力を心からお願いするものであります。


 平成22年3月5日

 

郡上市長 日置敏明

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お問い合わせ先

郡上市役所市長公室秘書広報課

0575-67-1147

〒501-4297 岐阜県郡上市八幡町島谷228番地
FAX:0575-67-1711
E-Mail:kouhou@city.gujo.lg.jp

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