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平成23年 郡上市成人式 市長式辞

 平成23年の新春を迎え、本日ここに「郡上市成人式」を挙行するに当たり、式辞を申し述べます。

 まずもって、ご来賓の皆様方には、大変寒い中、そして公私ともご多用のところをご臨席いただき、新成人を励まし、祝ってくださいますことに対し、主催者として厚く御礼を申し上げます。誠にありがとうございます。

 さて、本日晴れて成人式を迎えられました郡上市の新成人は、全部で593名(南部八幡会場315名、北部白鳥会場278名)であります。新成人のみなさん、成人おめでとうございます。郡上市民を代表して、心からお祝いを申し上げます。そして、みなさんを今日まで愛情込めて育ててこられましたご両親はじめご家族の皆様方、ご指導くださいました学校の諸先生方に対しましても、敬意を表しますとともに、お慶びを申し上げたいと存じます。

 今年の新成人のみなさんは、平成2年4月2日から平成3年4月1日までの生まれの方々であり、「平成」という新たな時代の幕開けとともに生を享けられた方々であります。悲惨な戦争と驚異的な戦後経済復興、それに続く高度成長を体験した、激動の「昭和」の時代に代わって、新しい年号「平成」には、「国の内外ともに平和・平穏であって、世の中が進歩充実していって欲しい」という国民の切実な願いが込められておりました。

 しかしながら、みなさんが成人される今日までの20年間を振り返ってみますと、年号に込められた願いとは程遠い現実が待ち受けておりました。丁度まさに20年前の平成3年1月には湾岸戦争が勃発したのをはじめ、昨年の朝鮮半島での北朝鮮・韓国の紛争に至るまで、世界のどこかで戦火の絶えることはありませんでした。平成に入ってから始まった、いわゆる「平成バブル不況」は、当初「失われた10年」と言われていたものが、最近では「失われた20年」という言葉も聞かれるほど、今日なおその経済的低迷から脱却するに至ってはおりません。社会的にも、情報通信をはじめとして科学技術の大いなる進歩をみたものの、その一方で、平成7年1月の阪神・淡路大震災、平成16年10月の新潟中越大地震などの大災害、少子化による本格的な「人口減少社会」の到来、さらには昨年の「高齢者所在不明問題」に見られる、家族や社会の絆の稀薄化に至るまで、様々な問題に直面してまいりました。国内政治では、一昨年夏、選挙による「政権交代」というわが国民主政治の歴史上新しい体験もいたしましたが、国政は、なかなかその針路が定まっておりません。

 新成人のみなさんは、政治・経済・社会ともに、このような先行き不透明な、なかなかに多事多難な時代に、「成人式」という人生の大きな節目を迎え、社会の一人前の構成員として今日まさに船出しようとしておられます。これからの道のりは、人生の喜びや楽しみとともに、悩みや苦労も多いだろうと思います。しかしながら、だからこそみなさんの「若さ」で頑張って欲しい。心からそう思います。私は、今日みなさんに次の三つのことをお願いしたいと思います。

 その一つは、先に述べたような困難な時代だからこそ、みなさんには夢や希望や志を持って欲しい、ということです。「夢や希望」は周囲の誰かから与えられるものではありません。自分で探して、自分でつくるものです。また、「夢や希望を持つ」ということは、願望をただ漠然と夢想することではありません。しっかりと、「具体的な目標」を持って、それを実現するためにはどうしたら良いかを考え、「具体的な行動」を日々継続して積み重ねていくということです。私は、このことを、昨年の暮れ、たまたま出張先のホテルで聴いたラジオの深夜番組で改めて教わりました。それは、先の北京オリンピックでシンクロナイズドスイミング日本代表選手として活躍した石黒由美子さんの話しでした。小学校二年生の時に、交通事故で瀕死の重傷を負った彼女は、入院先の病院のベッドで観たあるテレビドラマがきっかけで、「シンクロでオリンピックに出る」という夢を抱き、様々な挫折を繰り返しながらも、十数年後にとうとう夢を実現します。その夢の実現を支えたものは、自分の夢と、その夢の実現のための行動計画を毎日毎日「夢ノート」に書き付け、弛まぬ努力を積み重ねることだったというのです。彼女の書いた『奇跡の夢ノート』という本を私は早速買って読んでみましたが、みなさんにも是非読んで欲しいと思います。みなさんにも、自分の夢や希望の実現に真剣にチャレンジをして欲しいと思います。

 二つ目は、自分の身のまわりの、地域社会をはじめとして、「公共的なるもの」、言い換えれば、「自分も含んだみんなの幸せにかかわること」に関心を持ち、そうしたことに積極的に参画していって欲しい、ということです。若いうちは、自分の学業や就職や、恋愛や結婚のことなど、まずは「個人的なるもの」「自分のこと」で手一杯かも知れません。しかし、人間は社会を構成し、お互いに支えたり、支えられたりして生きていくものです。地方自治や国政において、「お任せ民主主義」にならないようにするためにも、また、地域社会において、今盛んに言われている「新しい公共」を創り出し、それを支えるためにも、「公共的なるもの」への関心と参画(例を申し上げるならば、皆さんがこの度成人になることによって獲得した「選挙権」の確実なる行使、消防団への積極的参加や各種のボランティア活動などですが)を強く期待したいと思います。

 三つ目は、みなさんには、ふるさと郡上と、将来ともに是非とも生き生きとした関わりを持って欲しい、ということです。1914年、大正3年につくられて一世紀近く日本の小中学校で歌い継がれて来た唱歌、あの「うさぎ追いしかの山」で始まる「故郷」の歌詞の三番には、「志を果たして いつの日にか帰らん 山は青き故郷 水は清き故郷」とあります。また、ある詩人は「故郷は遠きにありて思ふもの そして悲しく歌ふもの」と詠いました。きょうだいがたくさんいた時代には、多くの若者が好むと好まざるとにかかわらず故郷を出て、どこか他郷で生計を立てる。そして遠く故郷を偲びつつ、いつかは成功して「故郷へ錦を飾って」帰りたいと思う。これが、これまでの多くの日本人の「ふるさと観」、ふるさとを巡る心象風景であったろうと思います。しかし、今や、厳しい人口減少に直面している日本の多くの「地方」「ふるさと」は、「志を果たしに いつの日にか帰らん」「果たして而る後に」ではなく、志を果たすためにこそ故郷に帰ろうという若者を、そして、志を故郷で果たし、「故郷で錦を飾る」若者を必要としております。郡上でも、そんな若い人が一人でも多く出てきて欲しいと思います。もちろん、世界や日本を舞台に活躍する、広い世界に、雄飛するという生き方も素晴らしいと思います。ただ、どこで活躍するにしろ、ふるさとの家族や同級生や、ふるさとの山や川を常に気遣い、ふるさとの将来になんらかの関わりを持ち続け、ふるさとの存続発展に貢献をする、ふるさとに自分の人生の根っ子を持つ、そんな生き方をみなさんにはして欲しいと願います。

 これから、「大人の世界」へと旅立とうとしているみなさんに、いろいろなことを申し上げましたが、わたくしたちは、若いみなさんに大きな期待をかけ、そしてその期待に必ずや応えていただけるものと、大きな信頼を寄せております。今日の門出を、重ねて心から祝福し、新成人お一人おひとりの前途に幸多かれとお祈りいたします。どうぞ、勇気を持って、晴れやかに一歩を踏み出していただきますよう切望いたします。

 なお、今日の佳き日に当たり、「国際ソロプチミスト 岐阜・郡上」様をはじめ、各種団体からいろいろとお祝いの品々をいただいております。新成人のみなさんには、社会の多くの方々が期待を寄せ、温かく見守っていてくださることを忘れないでいてください。

 また、本日の成人式を行うに当たっては、昨年の夏から、新成人自らで構成された実行委員会のみなさんに、式の企画・運営のお手伝いをしていただきました。委員会メンバーのみなさんに感謝申し上げます。

 結びに、新成人のみなさんをはじめとして、お集まりの皆様の一層のご健勝とご多幸を、そして新たに迎えました平成23年が佳き年となりますよう祈念を申し上げ、私の式辞といたします。ありがとうございます。

平成23年1月9日

郡上市長 日置敏明

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