施政方針は、平成23年度の郡上市における市政運営に関する所信と基本的施策であり、平成23年第2回郡上市議会定例会において市長より表明したものです。
本日は、平成23年第2回郡上市議会定例会を招集いたしましたところ、議員各位にはご参集いただき、厚く御礼申し上げます。
定例会の開会に当たり、市政運営に関する基本的な考え方と新年度予算の編成方針、またこの予算案に盛り込みました主要施策や主要事業、さらには条例改正等の各議案の概要につきましてご説明申し上げ、議員各位並びに市民の皆様方のご理解、ご協力を賜りたいと存じます。
市政運営の基本的方針
現下の国内外の政治・経済・社会の情勢を概観いたしますと、いずれも先行き不透明で、ともすれば全般的に手詰り感や閉塞感に圧倒されそうな気持ちになりがちです。しかし、こういうときにこそ、わたくしたちは、郡上というふるさとの大地にしっかりと根を張って、みんなで力を合わせて将来への活路を切り拓いていきたいものだと考えます。その意味で、市政運営の基本的な方針につきましては、引き続き「安全、安心、活力、希望」を基本理念とし、それに加えて市民自治の推進による「ふるさと再生・コミュニティの活性化」に積極的に取り組んでいく所存であります。
平成22年度において、総合計画審議会をはじめ、市民の皆様のご提案やご意見を伺いながら、平成23年度から平成27年度までの5年間を計画期間とする「郡上市総合計画後期基本計画」を策定すべく、作業を進めてまいりました。現在、その大詰めの検討をいたしているところでございます。新年度はその後期基本計画のスタートの年でもあります。昨年の10月に行われました国勢調査の速報結果にも見られますように、急速な人口減少(5年間で約3千人減少)や高齢化が進む中にあって、「誰もが地域に愛着と誇りを持ち、安心して元気で暮らし続けられる郡上」を目指して、計画に掲げる諸施策を実現するために市民の皆様とともに取り組みを進めてまいります。
行政組織につきましては、職員定数の計画的な削減を進めている中、将来の姿を見据えながら、段階的な部課等の再編・統合を進めます。新年度は市民環境部を廃部して、市民課の機能は総務部へ、環境課の機能については水道部を名称変更した「環境水道部」へ移行します。また、地域ごとの特色ある振興策を推進し、政策推進の機動性を高めるため、6つの振興事務所長及び総務部内に新たに設置する八幡振興統括を次長級の職に位置づけます。
財政面においては、現在、国会において新年度予算の審議中であり、特に予算関連法案については、その成否が極めて流動的ではありますが、平成23年度の地方交付税総額が増額されました。このことを受けて、本市の新年度の地方交付税も若干の増額を見込むことができました。しかしながら、この交付税の増額が特例措置であること、地方交付税の財源不足を補うために発行する臨時財政対策債の総枠が大きく減少したこと、さらに本市においては合併支援措置終了後の地方交付税の大幅な減額が予定されていることなどを考慮すると、今後とも厳しい状況が見込まれます。よって、引き続き財政の健全化を最重要課題として取り組んでまいります。
予算編成
厳しい財政状況のもとでの国予算の編成作業が進む中で、心配をしておりましたが、幸いにして地方交付税総額が、前年度比で2.8%、4,799億円増額され、17兆3,734億円が確保されたため、郡上市の歳入の柱である地方交付税も若干の増額を見込むことができました。しかしながら、合併支援措置の段階的縮減が始まる平成26年度以降は普通交付税が減少し、平成31年度には、人口の減少分も含めると30億円以上減少する見込みです。一方、歳出では公債費のピークは過ぎたもののここ数年は高い水準で推移するほか、高齢者、障がい者福祉などの社会福祉費の大幅な増加と学校施設の耐震化及び改築費の増大などに加え、国民健康保険特別会計における医療給付費の急増による繰出金の増など、市財政は極めて厳しい状況にあります。また、平成21年度の実質公債費比率は21.7%であり、依然として高い水準にあるため、起債発行額の抑制と繰上償還を柱とした「公債費負担適正化計画」に沿った財政運営を行っております。こうした状況から、今後も財政の健全化を最重要課題として、行政改革に取り組んでいく必要があります。
平成23年度の予算編成におきましては、前年度に引き続き公債費負担適正化計画で示した起債(臨時財政対策債を除く通常債)発行額28億円以内を堅持しつつ、1.『安全、安心の郡上づくり』、2.『活力、希望のある郡上づくり』、3.『ふるさと再生・コミュニティの活性化』、4.『身の丈に合った財政規模への取組み』、5.『雇用対策』の5つを予算編成の柱と位置づけました。さらに、知恵と工夫でそのための特段の予算を用いずに市民サービスを提供するなど、『ゼロ予算事業』にも引き続き積極的に取り組むこととしました。
こうした柱によって編成した結果、一般会計の性質別歳出では、普通建設事業に前年度対比21.2%増の55億835万円、扶助費に3.6%増の28億5,564万円、人件費に2.1%減の47億2,551万円、公債費に2.2%減の58億7,471万円、物件費に1.0%減の39億3,775万円を計上しました。
一方、一般会計歳入では、人口減少に伴う納税義務者の減等により、個人市民税が730万円の減額、企業収益の回復傾向により法人市民税が1億3,605万円の増額、固定資産税は償却資産の投資鈍化等により1,058万円の減額となりましたが、市税全体では49億4,702万円を計上し、8,005万円の増額となりました。普通交付税については、国において「地域活性化・雇用等対策費」に1兆2,000億円が計上されたことや平成22年10月1日に実施された国勢調査による人口減による減少分、公債費の算入増分を勘案し、前年対比1億4,000万円増の123億3,000万円を計上しました。しかしながら、特別交付税については制度改正(地方交付税総額の6%分から5%分に変更)に伴い、前年度より9,000万円減の5億3,400万円の計上とした結果、交付税全体としては128億6,400万円で、5,000万円の増となりました。臨時財政対策債を除いた市債(通常債)は、27億5,000万円を計上し、公債費負担適正化計画の28億円以内を堅持しました。国の地方交付税特別会計の財源不足を補うために発行する臨時財政対策債は、国の総枠の減少に伴い、前年対比3億9,000万円減の11億1,000万円を計上しました。
以上の結果、平成23年度の当初予算は、学校建設に伴う事業費増の財源不足を補うため、3億6,100万円を公共施設整備基金から、国民健康保険特別会計の医療給付費急増に伴う財源不足を補うために1億1,869万円を財政調整基金から繰入を行うことなどにより編成することができました。
このような方針に基づき編成した平成23年度予算規模は、
一般会計:288億1,100万円
特別会計:148億4,728万9千円
企業会計:49億4,935万9千円
合計:486億764万8千円
となり、平成22年度当初予算に比べ、一般会計は1.1%の増、特別会計は0.6%の減、企業会計は3.4%の増となっています。
続きまして、予算編成方針で申し上げました五つの柱と重要施策につきまして、項目ごとの内容をご説明申し上げます。
1.安全、安心の郡上づくり
最初に一つ目の柱である『安全、安心の郡上づくり』についてであります。
一般廃棄物の処理に関する事業では、郡上クリーンセンター施設の修繕事業費(2億円)、環境衛生センター施設の修繕事業費(5,107万円)、北部クリーンセンター施設の修繕事業費(2,563万円)などを計上し、施設の適切な維持管理に努めます。また、ごみの排出が少ない世帯や高齢者世帯などで使用できるよう、20リットル容量の小さいごみ袋を作成します。ごみの減量化や不法投棄防止対策等にも引き続き取り組んでまいります。
旧可燃物焼却場の中部清掃センターは、その取り壊しが課題となっており、平成22年度には解体の事前調査を実施したところです。新年度には、今後この事業が国の交付金の対象事業として事業実施できるよう、跡地の利用計画と循環型社会形成推進地域計画を策定するため、150万円を計上しました。また、地球温暖化防止対策の一環としてカーボン・オフセット調査研究事業(16万円)を行います。こうした環境対策推進事業に12億4,868万円を計上しました。
消防・防災対策につきましては、自主防災組織の充実のための研修会の開催や毛布等の備蓄をはじめ、消防ポンプ自動車や防火水槽の整備など消防施設の整備(9,811万円)、安心安全メールの配信(177万円)、IP音声告知放送システムの更新(2億4,186万円)などを実施します。
住宅用火災警報器については、本年6月からすべての住宅において設置が義務化されるため、その普及に努めます。また、現在のアナログ方式の消防救急無線をデジタル方式に移行するための調査設計費832万円を計上しました。これらの防災体制の充実に5億8,471万円を計上しました。
昨年度から取り組みを開始した自殺予防対策につきましては、新たに相談支援員を1名配置するとともに、市民講座の開催やこころの健康キャンペーンの実施などの事業(445万円)に積極的に取り組みます。こうした地域安全・防犯・生活安全対策に1,124万円を計上しました。
基盤整備においては、危険箇所の防災工事の促進や急傾斜地崩壊対策事業に取り組みます。白鳥市街地の水害対策として岐阜県で進められていた曽部地川河川改修事業については、新年度に完了の見込みとなっています。
市有林については、105haの施業(2,625万円)を実施することにより水源かん養林造成、水源の森保全等、森林の公益的機能の向上を図って参ります。また、市内公有林の今後の活用を含めて、経営的観点から調査・研究を行う公有林経営研究事業(12万円)に着手します。これらの治山、治水、急傾斜地整備事業に8,210万円を計上しました。
野生鳥獣による農作物への被害対策としまして、恒久柵の設置やモンキードッグの導入支援などにより被害防止対策の充実強化を図るとともに、郡上市鳥獣被害防止計画に基づき、郡上市鳥獣被害防止対策協議会等と連携して総合的な被害防止体系を確立し、鳥獣被害の軽減を目指します。これらの鳥獣被害防止対策に3,863万円を計上しました。
児童生徒の安全を確保するための学校施設整備につきましては、平成22年度より着手しております白鳥中学校改築事業について、新年度には引き続き校舎棟・屋内運動場・格技場の整備(19億4,191万円)を行い、平成24年度に既設校舎棟・屋内運動場の解体及びグラウンド整備を予定しています。また、大和中学校整備事業につきましては、平成23年度に既設技術棟の解体とテニスコートの整備(7,723万円)を行い、平成26年度の完成を目指します。その他、石徹白小学校屋体外壁補修工事(1,476万円)など施設の修繕を進めてまいります。これらの教育環境を推進する事業に、20億5,689万円を計上しました。
子育て支援の取り組みとして、子育て支援センターが核となり、支援団体等と連携し子育てサロンの充実を図ります。また、子ども手当給付事業(8億8,981万円)や安心こども基金を活用した子育て従事者研修、親子の集う場所の環境整備、複雑多様化する育児不安に対応するための家庭相談員の配置など支援の充実を図ります。食育の推進については、「郡上市食育推進基本計画」に基づき、関係する組織や団体と行政が緊密に連携して取り組んでまいります。これらの子育て支援の充実事業に16億8,361万円を計上しました。
保健医療対策として、乳児から義務教育終了時までの学童に対する通院及び入院医療費を無料にする医療費助成事業(乳幼児6,632万円、小中学生8,315万円)を継続して実施します。こうした子どもや母子の保健医療体制の充実に2億180万円を計上しました。
高齢者、生活弱者サービスの充実について、郡上市介護保険事業計画(第4期)に基づき、特別養護老人ホームを新設(50床)する社会福祉法人に対し施設整備補助金(1,460万円)を計上しました。がん検診におきましては、女性特有のがんである子宮・乳がん検診は、特定年齢の受診料免除措置を引き続き講じます。また、平成24年度から26年度までの郡上市高齢者福祉計画・介護保険事業計画(第5期)の策定に取り組みます。
長引く景気低迷により本市においても生活保護受給者が増加していますが、ワンストップ・サービス・デイの開催をするとともに、面接相談や就労支援を行う相談員を新たに設置し、自立支援に努めます。これらの高齢者、生活弱者サービスの充実等に18億5,612万円を計上しました。
次に、障がいのある方が安心して暮らせる施策については、聴覚障害者用住宅火災警報器設置助成(324万円)を行います。施設整備については、八幡町小野地内に保健センター及び児童療育機能を有する保健福祉施設(2億1,594万円)を建設するほか、市内の社会福祉法人が行うケアホーム整備に対し助成(200万円)を行います。これら障がい者サービスの充実に5億6,768万円を計上しました。
また、新たに障害者相談支援活動助成事業(60万円)を創設し、相談援助活動を強化します。これら高齢者、障がい者の社会参加の充実に7億1,339万円を計上しました。
保健医療対策につきましては、乳幼児や児童のインフルエンザ予防接種2回目の公費助成(463万円)制度の創設をはじめ、子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン、小児肺炎球菌ワクチンの任意予防接種の公費助成を引き続き実施します。特定健診・特定保健指導の実施にあたっては、制度の周知活動を継続することにより受診率の向上を目指し、健診結果に応じた保健指導に引き続き取り組みます。これら国民健康保険特別会計繰出金をはじめとする保健医療対策の推進事業に7億5,575万円を計上しました。
直営診療所群を構成する地域医療センターは、へき地医療の第一線を担うとともに、保健や福祉を包括的に展開することを目的として、引き続き特定健診や介護予防事業にも積極的に係わってまいります。
公立二病院では、市民の命と健康を守るため、救急や小児・母子医療の拠点として医療体制の充実、維持に努めるとともに、訪問看護など市民に寄り添う医療の推進を図り、公立病院改革プランに掲げる目標の達成を目指します。また、地域医療を安定的かつ継続的に提供するため、地域医療確保検討委員会の意見や提言を踏まえ、民間医療機関との連携や人材の育成など地域医療の体制強化を目指してまいります。これら病院事業会計繰出金を含む医療機関、在宅医療サービスの充実に5億2,200万円を計上しました。
国民健康保険特別会計は、近年の少子化と高齢化や低迷する経済状況の中、保険税収入が減少する一方で医療給付費は年々増加しており、単年度収支では毎年度赤字を計上している状況です。特に平成21年度、22年度はその赤字額が大きく、財政調整基金も底を突く状態となりました。この赤字の要因は、社会的不況と無職者などの社会的弱者を多く抱える国保の構造的な 問題に起因するものであり、この問題の解決に向けては、国の経済政策並びに新たな医療制度改革の動きに大きな期待を寄せるものでありますが、本市における当面の措置としては、全体で約10%の国保税の増税にご理解いただくとともに、なお不足する財源につきましては一般会計財源の繰り入れをもって被保険者の皆様の負担の緩和をできる限り図りたいと考えております。
2.活力、希望のある郡上づくり
次に、二つ目の柱であります『活力、希望のある郡上づくり』についてであります。
農業振興の分野では、新年度から「食」と「地域」の再生にむけて、農業者戸別所得補償制度が本格実施となり、郡上市では制度の普及・推進に努め、農業経営の安定と生産力の確保に取り組んでまいります。また、郡上市農業振興ビジョンの実現に向けて、農業の持続的発展とその基盤である農村の振興を図ってまいります。
集落や農地の多面的機能を確保するための中山間地域等直接支払制度交付金(1億6,047万円)、農業施設の長寿命化や農村の環境保全を図る農地・水・環境保全向上対策事業(568万円)など、地域共同活動を推進いたします。
また、地域農業の活性化に向けましては、地産地消を積極的に推進し、地元農産物の学校給食への提供や青空市場間の連携を強め、安心・安全の意識徹底のため研修会の開催及び農薬の自主検査を行なうことにより、質の高い農産物産地としての地位を確立し、消費拡大が出来るよう努めてまいります。
畜産振興につきましては、「口蹄疫」や「鳥インフルエンザ」など畜産物の安全供給をおびやかし、地域社会・地域経済に深刻な打撃を与える伝染性疾病の侵入防止に全力を尽くします。畜産農家の経営環境が厳しい中で、個々の農家の繁殖・肥育技術の向上、病気の予防や死廃事故の低減、自給飼料生産の拡大によるコスト低減等、総合的な施策や支援の実施により、飛騨牛及び乳用牛の生産の振興を図ります。また、有機質堆肥の利用の拡大を図り、耕畜連携を推進します。
森林・林業については、良好な自然環境と安心・安全な生活環境を創出するため、これまでどおり間伐を主体とした森林整備に努め、水源かん養や山地災害防止など、森林の多面的機能発揮のための施策を推進します。また、郡上市産材の有効利用と雇用の創出などを目的に、郡上市産材住宅建設等支援事業(1,000万円)を推進し、加えて木質ストーブ購入補助事業(520万円)を創設します。
地産地消推進には76万円、農・林・畜産・水産業振興には6億869万円を計上しました。
次に商工振興についてでありますが、円高とデフレにあえぐ日本経済の 厳しい状況の中、深刻な影響を受ける本市の地域経済においては需要の創出と雇用の確保が喫緊の課題となっています。新年度も厳しい経済環境を乗り切るため、引き続き企業の経営改善や技術力の強化への支援を行うとともに、企業誘致や新規事業に挑戦する事業者への支援などを積極的に進めて、雇用の場の確保に取り組んでまいります。新年度に国のセーフティネット保証制度による緊急経済借入資金の資金利息に対する補給金300万円を計上しました。
また、地域ブランド産品による「売れるものづくり」を進めるため、農・林・商・工が連携した新商品開発支援事業(328万円)に取り組みます。さらに、商店街における商業空間の回遊性と市民生活の利便性を高めるため、空き店舗の有効活用を図るとともに、商工会と連携して「賑わいのある商店街づくり」を推進します。こうした商工業振興費には、1億8,298万円を計上しました。
本市の特性と強みを最大限に活かして交流人口による市内消費の拡大に繋げるため、食の祭典の開催支援など「食」を切り口とした「食の王国づくり事業」を推進します。こうした交流産業の推進に3,955万円を計上しました。
観光振興につきましては、郡上市観光振興ビジョンに掲げる「訪ねたい、滞在したい郡上づくり」を基本理念として諸施策に積極的に取り組み、通年型・滞在型の観光地づくりを推進してまいりたいと考えています。
国内誘客については、東海北陸自動車道のアクセスの利便効果を最大限に活かすため、郡上市観光連盟と連携して広域的な観光キャンペーンを強力に実施します。また、長良川鉄道の活用を軸として、郡上の多様な観光資源や魅力を提案・発信する「着地型旅行」を推進していきます。新規事業としては、中学生の提案による観光マップコンテスト事業をはじめ、岐阜市・下呂市と共同で首都圏での情報発信事業を起こすとともに、「越前美濃街道観光交流推進協議会」の結成により美濃市から福井市に至る街道沿線の観光交流の拡大を推進してまいります。
海外観光客の誘致については、これまでの活動成果が出てきている台湾、シンガポールに加えて、韓国、中国等への観光PRを市観光連盟や民間事業者と連携して効率的に展開します。
また、温泉施設、道の駅をはじめとする各観光施設は指定管理者制度の継続実施により、民間の経営ノウハウを最大限に活かしたサービス向上に取り組んでまいります。なお、日本まん真ん中温泉「子宝の湯」については、引き続き指定管理者制度の導入に向けて準備を進めてまいります。こうした観光振興事業には、2億3,368万円を計上しました。
社会基盤整備につきましては、国において既成の補助金を見直し、一括交付金化とする議論が目下進められており、より地方の裁量強化が見込める方向にありますが、一方で予算総額の抑制も議論されていることから、今後の国の動向を注意深く見極めながら郡上市としての的確な対応を心がける必要があります。
郡上市内の国、県等の事業については、まず、市民の日常生活と地域活性化にとって最も重要な社会資本である、東海北陸自動車道の四車線化の早期事業着手に向けた取り組みを関係団体と連携して積極的に働きかけてまいります。また、現在継続的に進めていただいている大和改良などの直轄国道事業や、濃飛横断自動車道和良金山道路をはじめとする県事業の促進はもとより、県道金山明宝線の「めいほうトンネル」の事業着手など懸案事業の推進に向けても、より一層の働きかけを行ってまいります。
郡上市の基盤整備事業としましては、これまで進めてきた安全・安心の確保と地域活性化に向けた基盤整備を引き続き、着実に事業を推進していく所存であります。
合併特例道路整備事業などによる道路基盤整備に20億899万円、土地改良事業等の農業基盤整備には9,979万円、林道等の林業基盤整備には1億5,487万円、都市計画事業などのまちづくり整備に1,160万円、住宅、除雪対策に2億1,419万円をそれぞれ計上したところであります。
特に、新年度が最終年度となるまちづくり交付金事業白鳥中央区域の事業完了や白鳥中学校移転に併せた市道中学校線の整備をはじめ、現在継続的に進めている事業の早期完了に向け、計画的な事業推進に取り組んでまいります。また、郡上市の良好な景観を保全、創造し、快適な環境づくりと活性化につなげるために、景観計画、景観条例に基づいた規制、誘導などの景観形成の取り組みを新年度より進めてまいります。
さらには、低迷する経済対策の一環として平成22年度補正予算で1,000万円を計上した住宅リフォーム促進事業については、新年度においても引き続き4,000万円を計上し、地域経済の底上げと住宅環境の向上に努めてまいります。その他、道路、河川、農林業施設をはじめ、市営住宅等の適正な維持管理や市有分譲宅地の販売などについても積極的に対応してまいりたいと考えています。
ケーブルテレビ事業につきましては、地域に密着した「地域掘起し番組」の制作を行うとともに、市民にわかりやすい行政情報番組の充実に努めてまいります。また、平成22年度からサービスを開始した自主放送番組のデータ放送について、デジタルの双方向性機能を活かした買い物支援サービスの実証実験などを行い、積極的な活用を図ってまいります。また、市内で携帯電話が通じない集落において鉄塔基地局の整備(3,318万円)を行います。これらケーブルテレビ活用等の事業に4億2,560万円を計上しました。
公共交通につきましては、平成22年度に平成23年度から27年度を計画期間とする「郡上市地域公共交通総合連携計画」を策定しました。市民の日常生活の足としての公共交通を確保し、利用実態とニーズに即した運行形態・ダイヤ・ルートへ転換することで、安心して生活できる交通ネットワークの構築を目指してまいります。新年度は高鷲、美並、和良地域の福祉バスを、誰でも利用できる自主運行バスに転換するとともに、市民病院、白鳥病院等へのルート拡大、運行ダイヤ改正による高速バスや長良川鉄道との乗り継ぎ向上を進めていきます。長良川鉄道については近代化整備事業を進め、新たに地域公共交通調査事業に取り組みます。これら、市民の足を確保する公共交通対策には、2億503万円を計上しました。
次に、水道事業につきましては、平成21年度より水道使用料金・加入分担金を統一しましたが、市内には59箇所と多くの水道施設があり、この維持管理費が経営面で大きな負担となっていることから、徹底したコスト削減と効率的な水道施設統合を目指します。
また、引き続き有収率の低い施設を中心に、計画的に夜間等の漏水調査を実施し、漏水箇所の把握を行うとともに、布設替え等の修繕による有収率の向上に努めます。
新年度における事業としては、八幡地域では、現在事業を進めております相生農業集落排水事業に併せて老朽管の布設替えを行うことを目的に、相生簡水基幹改良事業(2,253万円)を実施します。大和地域では、水道未普及地域解消事業として、中神路の一部と下古道の一部の未普及地域を対象とした神路簡水拡張事業(8,859万円)を実施し、両事業ともに平成25年供用開始に向け推進してまいります。
また、市内全域に亘る水道施設統合について平成22年度に調査業務を終え、新年度において、老朽化が著しい施設から水源水量調査・認可申請の変更業務(2,650万円)に随時着手し、財政状況も勘案しながら計画的に統廃合を進め、安全・安定供給による持続可能な事業形態と健全経営の確立を目指します。
下水道事業は、市民の皆さんの快適な住環境の整備とともに、公共用水域の水質保全に欠かすことのできない重要な生活基盤事業であり、今後とも事業の積極的な推進を図ってまいります。
新年度の事業として、大和地域では加入対象件数の増加に伴う特環大和中央処理区建設事業として、平成25年度完成に向け処理場増設(5,400万円)工事に着手します。継続事業の特環美並中央処理区の建設事業については、昨年度に引き続き処理場増設(1億4,140万円) を実施し、平成24年度完成に向け推進してまいります。八幡相生地区においては、平成20年度より着手しております農業集落排水事業の早期供用開始に向け、積極的に推進してまいります。
市内には34箇所と多くの下水道施設があり、この維持管理費が経営面で大きな負担となっておりますが、効率的な運用とコスト削減の徹底を図りながら健全経営を目指します。下水道使用料金の統一につきましては、平成22年3月に料金の条例改正を行いました。平成26年度に市内統一となるよう5年間の経過措置を設け、合併後の市民負担の地域格差を解消すべく進めてまいりたいと考えております。
なお、下水道施設の耐用年数約45年と、その建設財源として借り入れた地方債の償還期間約25年との年数の差により生じる資金不足を解消し、世代間の負担の公平化を図るため、下水道事業資本費平準化債(4億3,500万円)を発行することとしました。
これら下水道特別会計繰出金を含む上下水道事業に16億702万円を計上しました。
次に、学校教育につきましては、生命と人権の尊重を基盤とした「自立・共生・創拓の教育」を推進するとともに、子どもたちが、ふるさとへの誇りと愛情を持ち、心豊かでたくましく「生きる力」をより一層育むことができるよう努めてまいります。また、保育園・幼稚園と小学校、小学校と中学校、中学校と高校が連携し、基礎的・基本的な学習内容の定着や個性・才能の伸長を図るとともに、家庭や地域とも連携し挨拶や家庭学習等の基本的な 生活習慣が定着するよう努めてまいります。さらに、平成23年度から小学校で、また、平成24年度からは中学校で新学習指導要領の全面実施となります。そのための職員研修や教材整備を進めていきます。これらの学校教育には、7億7,797万円を計上いたしました。なお、これまで西和良中学校と和良中学校との統合中学校の建設を進めてまいりましたが、いよいよこの4月に、「郡上市立郡上東中学校」として新しい中学校を開校する運びとなりました。
社会教育では、歴史や文化を大切にし、支え合って共に生きようとする地域社会を創造していきたいと考えております。そのため、どの地域でも 活発な生涯学習事業(1,193万円)と市民のアイデアを活かし市民主導で行っていただく講座を開催するとともに、活発な地域活動が展開できるよう新公民館体制の定着と公民館活動(3,457万円)の充実を図ってまいります。
また、郡上市についての理解と認識を深めるための「郡上学講座」(417万円)をはじめ、「郡上かるた」(420万円)の制作、「白山文化フォーラム」(91万円)など、市民の一体感を高める「郡上学」の計画的な推進を図ってまいります。
文化、芸術の振興につきましては、短歌や俳句などの文芸を郡上市民の特色ある文化活動として市全体に広げ活動の充実を図るとともに、市民一人が一文化に親しみ、生活を豊かにできるよう文化活動団体の育成や活動支援を行ってまいります。
また、ふるさとの歴史文化の認識を高める文化財につきましては、現状を的確に把握し、保護・活用の体制を確立していきます。平成22年度に調査を行った「伝統的建造物群保存対策事業」についても、新年度は条例制定作業や審議会設置など、さらに具体的に取り組んでまいります。
図書館事業では、市民の読書活動の充実を図るため、市民が利用しやすい図書館の体制づくり(4,755万円)や図書館活動を推進します。
スポーツ振興では、「市民一人一スポーツ」の推進を目標として、市内のスポーツ施設の有効活用を図り、市民へのスポーツ機会の提供、青少年スポーツ活動の活性化、競技力向上のための各競技団体の育成強化を推進します。
「2012年ぎふ清流国体」については、今年の夏に郡上市合併記念公園 特設相撲場で開催される「第50回全国教職員相撲選手権大会兼第67回国民体育大会相撲競技リハーサル大会」に万全の体制で臨み、本大会に向けて組織的な活動を推進するとともに、国体PR活動としての市民スポーツイベントを推進します。これら、文化振興事業やスポーツ振興事業に、5億3,404万円を計上しました。
3.ふるさと再生・コミュニティの活性化
次に、三つ目の柱であります『ふるさと再生・コミュニティの活性化』についてであります。
市民協働の推進につきましては、市民と行政の間に立って課題等を調整する第三者機関としての役割をもつ「(仮称)市民協働センター」の設置に向けて検討会を行います。
コミュニティの維持と活性化につきましては、集落の課題と現状を把握し課題の解決に向けた取り組みを進めるため、「集落総点検・夢ビジョン策定モデル事業」(272万円)を引き続き実施します。また、少子化と高齢化が進行し人口の減少が著しい地域において、コミュニティの活性化と地域 資源を活用した特産品開発等を行うため、市外から意欲のある人材を募集し、その地域に派遣する「地域おこし協力隊派遣事業(1名)」(350万円)を新たに実施します。
過疎地域対策につきましては、明宝地域において身近な里山資源を活用した地域ビジネスモデルの創出を目指す「めいほう里山もくもく市場開設実証調査事業」を継続実施し、和良地域では「日本一の和良鮎PR事業」を実施します。さらに両地域に「地域おこし応援隊派遣事業」として人材派遣(3名)を行うなど、これらの事業を総合して過疎地域自立促進事業(1,649万円)を展開します。
また「地域振興推進事業」として、地域課題を解決するため市総合計画後期基本計画に位置づけた事業、及びその他地域活性化に資する事業等を推進するため、各振興事務所あたり280万円、総額1,960万円を計上し、個性を活かした地域づくりを推進してまいります。
さらに、平成22年度に検討した自治会組織等活性化方針にもとづき、自治会内の助け合い、支えあい活動など地域の絆の再生を支援するため自治会組織等活性化事業(地域の絆再生応援事業)(100万円)に取り組みます。
郡上学の体系的な整理と構築のための「郡上学構築懇談会」を引き続き実施するとともに、「郡上ふるさと考現学市民講座事業」(129万円)を実施し、市政の現状や市民生活の課題等について理解を深めていただく機会づくりを進めます。また、男女共同参画推進会議を中心に、フォーラムの開催などを通じて男女共同参画社会の形成に努めます。
市民自治の推進につきましては、自治体運営の基本原則や市民の市政への参画の仕組みなどについて定める「(仮称)自治基本条例」の制定を中心としながら、本市の市民自治のあり方や今後のコミュニティ活性化などについて検討を行う「市民自治推進懇談会事業」(28万円)に取り組みます。
これらの地域づくり推進事業には、8,781万円を計上しました。
国内の都市交流につきましては、都市交流調査研究事業(56万円)において、三重県志摩市との友好都市交流協定締結に向けた取り組みを行うとともに、文化活動等にかかる都市交流の調査研究を行います。石川県七尾市につきましても、引き続き教育文化交流、観光交流について調査研究を進めます。都市交流推進事業(30万円)では、東京都港区との交流について青少年交流や物産出展などの交流を継続実施するとともに、港区が青山に建設を計画している地方都市との交流施設、「(仮称)青山地域交流館」の郡上市としての活用方策について協議を進めます。
4.身の丈に合った財政規模への取組み
次に『身の丈に合った財政規模への取り組み』であります。
歳入面におきましては、税源移譲により自主財源確保が重要性を増す中、適正かつ公平な課税の推進と滞納税額の削減に一層の努力をするとともに、納税環境の充実を図るため、平成22年度に軽自動車税で開始したコンビニ収納を、個人市民税及び固定資産税にも拡充する事業費として402万円を計上しました。
予算編成にあたっては、可能な限りの経費削減に取り組んだところであります。人件費については、定員適正化計画に基づき全会計で26人、普通会計で21人の削減を行いました。定員削減や人事院勧告を踏まえた月例給及び一時金の減額改定による効果がある反面、職員共済費負担率や議会議員年金制度の廃止に伴う給付費負担率が増加した影響もあり、人件費総額は全会計で9,689万円、普通会計で9,910万円の削減となりました。
一般会計における公債費では、公債費負担適正化計画に基づく、これまでの地方債の借入額抑制や繰上償還により1億3,066万円の減となり、徐々にではありますが効果が表れております。平成23年度末の起債残高は、466億4,655万円となり、平成22年度末に対して、臨時財政対策債の残高が6億8,030万円増額となる中、その他の通常債残高は、19億3,215万円減少し、全体としては12億5,185万円の減額となる見込みであります。
5.雇用対策
次に『雇用対策』についてであります。
地域経済を取り巻く情勢は依然として回復の足取りは遅く、本市においても製造業、商業、建設業をはじめ各分野において厳しい経営環境が続いて います。こうした中で、市では雇用対策協議会、商工会、公共職業安定所等の関係団体と緊密に連携して雇用対策、新規学卒者の就職支援などを推進して、雇用の確保を図ってまいりたいと考えております。新年度は、商工会や市雇用対策協議会が行う経営支援や雇用対策の諸事業を支援してまいります。
また、雇用関係では、森林病害虫調査事業などの緊急雇用創出事業に1,004万円(12人)、観光キャンペーンメイト事業を行う重点分野雇用創出事業に175万円(1人)、長良川鉄道運転手養成事業を行う地域人材育成事業に945万円(3人)、交流移住推進事業などのふるさと雇用再生事業に1,428万円(5人)、合計で3,552万円(21人)を計上しました。
6.ゼロ予算事業への取り組み
次に、『ゼロ予算事業への取組』として、地域づくり情報番組制作事業、自治会等活性化事業(自治会組織の強化)、地域見守り支援ネットワーク事業、観光振興対策事業(民宿体験受け入れ体制支援事業)、生涯学習振興事業(市民アイデア講座事業)など、新年度も48事業を実施することといたしております。
以上、平成23年度の市政運営に対する指針や予算編成の考え方などを申し上げました。激動する厳しい経済社会情勢なればこそ、一つひとつの施策に希望を持って、粘り強く、一歩一歩着実に前進させていきたいと考えております。議員各位のご指導と、市民の皆様のご理解とご協力を心からお願いするものであります。
平成23年3月4日
郡上市長 | ![]() |