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平成27年 郡上市成人式 市長式辞

 平成27年の新春を迎え、本日ここに「郡上市成人式」を挙行するに当たり、式辞を申し述べます。

 ご来賓の皆様方には、大変寒い中、そして公私ともご多用のところをご臨席いただきまして誠にありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。

 新成人の皆さん、「成人」おめでとうございます。

 本日晴れて成人式を迎えられました518名(南部八幡会場238名、北部白鳥会場280名)の皆さんに心からお祝いを申し上げます。きっと、新成人の皆さんも、晴れやかな、そして、凛とした気持ちで今日の日をお迎えになったことと存じます。

 また、皆さんを今日まで愛情深く育てて来られましたご両親をはじめご家族の皆様にもお慶びを申し上げます。おめでとうございます。学校で教育に当たっていただきました恩師の先生方や、温かく見守っていただきました地域の方々にも感謝と敬意の念を表したいと存じます。ありがとうございます。

 今年成人式を迎えられた皆さんは、平成6年(1994年)4月2日から翌7年(1995年)4月1日までの間に生まれられた方々であります。ここ数年、毎年成人式の折に、その年の新成人が生まれられた20年前にはどんなことがあったのだろうかと振り返ってみるのが私の習慣となりました。

 年表などを頼りに当時のことを思い起こしますと、平成6年の日本の政治は大きく変動しました。その前年の8月に発足した非自民八党派連立の細川内閣が1年も持たず、4月末には社会党が離脱した七党派連立の羽田内閣に交代しましたが、これも2か月の超短命に終わりました。そして、その後には、自民党、社会党、さきがけという、従来の常識では考えられない組み合わせの「自・社・さ連立政権」の村山富市内閣が6月末に誕生したのでした。戦後約半世紀を迎える中で、予想困難な「なんでもあり」の政治の流動化をまさに目の当たりに見る思いでありました。経済も円高・バブル崩壊後の後遺症に苦しんでいました。そして、忘れることが出来ないのが明けて平成7年1月17日早朝の阪神淡路大震災。あれから間もなく満20年を迎えようとしております。また、社会を驚愕させた「松本サリン事件」「地下鉄サリン事件」なども起こりました。皆さんがこの世に生を享けた一年は、そのような多事多難な一年でありました。しかし一方、日本初の女性宇宙飛行士、向井千秋さんがアメリカのスペースシャトルに搭乗したり、作家の大江健三郎さんがノーベル文学賞を受賞したりと、将来に希望の持てる、嬉しいこともありました。

 それから20年間、あの頃生まれた皆さんがもう成人式を迎える時代になったのかと思うと、歳月の流れの速さにとても感慨深いものがあります。この間、日本は政治的・経済的・社会的にも、また、国内的にも国際的にも、様々な課題を抱えながら歩んでまいりました。今日の情報・通信技術の驚くような進歩もありましたが、かつての昭和の「高度経済成長期」のような、右肩上がりの上昇感を持った平坦な道ではありませんでした。それだけに、皆さんのご両親をはじめご家族の方々が皆さんを今日まで養育されるに当たっては、並々ならぬご苦労があったものと推察をいたします。皆さんもそういう時代をこの二十年間生きて来る中で苦労を味わうことがあったかもしれませんが、今日は、どうぞご両親はじめご家族の方々に心を込めて「ありがとうございました」と、感謝のことばをかけてください。

 さて、成人となった皆さんは、今日から一人前の「おとな」として生きていくことになります。個人的にも、職業、恋愛、結婚などで選択や決断を一つひとつしていかなければいけません。また、社会的にも、一人前の構成員として選挙権などをはじめとして様々な権利を持つと同時に、義務も果たしていくことが期待されます。どうぞ自信と希望と勇気を持って、ご自分の道を進んでいってください。

 古来、人類の歴史の中で、今の私のような年配の「古いおとな」たちは、皆さんのような若い人たちに対して「今の若い人は」「今の若い者は」と、とかく若い人たちのことを危ぶみ、心配したり批判をして来たものです。これは今も昔も変わらぬ世の姿です。しかし、そんな古いおとなたちに対しては戒めのことばであり、若い青年の皆さんにとっては最高の励ましとなることばがあります。それは、あの『論語』の中にある、「後生畏るべし。いずくんぞ来者の今に如かざるを知らんや」ということばです。意味は、「自分よりも後から生まれた青年たちは恐るべきだ。どうしてこれからの若い人たちが今の自分たちに及ばないなどと分かるものか。そんなことは言えない」ということです。このことばは、古いおとなの私たちにとっても、戒めのことばである反面、それと同時に、また「最高の希望のことば」でもあります。なぜならば、そう信じることによって、私たちも安心して若い皆さんに将来を託することができるからです。どうぞ、新成人の皆さん、私たち古いおとなたちを越えて前へ進んで行ってください。

 かの明治の思想家、内村鑑三は、『後世への最大遺物』という講演録の中で、十八世紀のイギリスの天文学者ハーシェルという人が、皆さんと同じような二十歳ばかりのときに、その友人に語ったという、「わが愛する友よ、われわれが死ぬときには、われわれが生まれたときより世の中を少しなりともよくして往こうではないか」ということばを紹介して、「実に美しい青年の希望ではありませんか」と感嘆しています。

 私たちも今、若い頃に抱いたそんな気持ちを胸に頑張っています。どうぞ皆さんも、これからの世界、日本、そして、この「ふるさと郡上」を担う人材として今後も成長し、気概を持って力を尽くしていただきたいと存じます。ご承知のように、わが国の現下の大きな課題の一つは、持続可能な地方の創生ということです。郡上市も市民総ぐるみで懸命の努力をしております。皆さんの中の一人でも多くの方が、私たちと一緒に「ふるさと郡上」の将来を背負って立っていただくことを希望します。

 以上、新成人の皆さんにいろいろなことを申し上げましたが、どうぞ今日から、「しおり」の「贈ることば」にもあるように、「おとなの世界」に勇気をもって飛び込んでいってください。

 今日の佳き日に当たり、皆さんのご家族だけでなく、多くの市民の皆さん方が新成人の皆さんを祝福しております。そして、大きな期待を寄せています。例年のとおり、「国際ソロプチミスト岐阜・郡上」様からは、お祝いとして「KIMINARA DEKIRU」というロゴ入りの「エコ・バッグ」が贈られます。その他、各種団体からいろいろなお祝いの品や資料が贈られます。どうぞ、新成人の皆さんには、社会の多くの方々が熱い期待を寄せ、温かく見守っていてくださることを忘れないでください。

 本日の成人式を行うに当たっては、昨年の夏から、新成人自らで構成された実行委員会の皆さんに、式の企画・運営のお手伝いをいただきました。委員会のメンバーの皆さんに厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。

 結びに当たり、新成人の皆さんをはじめとして、お集まりの皆様方の一層のご健勝とご多幸を祈念し、併せて、新たに迎えました平成27年が佳き年となりますようお祈りして、私の式辞といたします。ありがとうございます。


 平成27年1月11日

郡上市長 日置敏明

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