本文は、ここからです。

平成29年度施政方針

 施政方針は、平成29年度の郡上市における市政運営に関する所信と基本的施策であり、平成29年第1回郡上市議会定例会において市長より表明したものです。

市政運営の基本方針

 それでは、市政運営の基本方針について申し上げます。
 平成28年度は、市民の皆様とともにみんなで考え、みんなでつくった「第2次郡上市総合計画」がスタートし、同時に地方創生のための「郡上市 まち・ひと・しごと総合戦略」も本格的に動き出しました。平成29年度は、郡上市の明るい未来を築くため極めて重要なこの2つの計画に盛り込まれた取組みを、より強力に加速させていく年にしなければなりません。私は、これからの郡上市が魅力にあふれる「まち」として持続的発展を続けていけるよう、これらの計画に掲げた諸施策を、「観光振興は地域づくりそのものである」との総合政策的な視点のもとに「観光立市郡上」を旗印に掲げて推進してまいりたいと考えます。
 郡上ケーブル・テレビでの「新年のあいさつ」でも申し上げましたが、私たちの郡上市には、ともすれば郡上に住んでいる自分たちにとっては「当たり前」と思いがちな、貴重な歴史や伝統文化、例えば「郡上おどり」「白鳥おどり」「石徹白の民謡と踊り」「地歌舞伎」「各種神社の祭礼」など、それに、美味しい農水産物やそれを材料にした料理・食べ物、清流長良川や和良川などの美しい自然、古い町並み、世界に通用する伝統工芸品や新しい工業製品、そしてなによりも長い歴史と風土に育まれた「郡上人」という「人的資源」などなど、地域の「宝もの」がいっぱいあります。これら郡上の「宝もの」、言わば郡上の「光」を更に磨いて、それを内外に観(しめ)し、人を呼び込む、或いは良いモノを生産し、売り出し、域外へも移出・輸出することによって「稼ぐ力」をつけ、郡上の活性化を図る。そんな本来の広い意味での「観光立市郡上」を、今こそ真剣にみんなで進めたいと思います。そこで、これらのことを実行性のある取組みとして実施していくため、分野を横断して重点プロジェクトを推進するための新たな体制を庁内に構築します。
 また、平成29年、西暦2017年は、郡上の歴史・文化に関わりの深い「白山開山1300年」の年になります。この記念すべき節目の年に当たり、悠久の歴史を見つめ直し、白山の自然と信仰が育んだ白山文化を次の世代へとつなげる機会とするとともに、白山を通じた関連地域との交流の推進など、多くの皆さんが白山文化に触れていただく事業を、「白山ユネスコエコパーク」の啓発等とともに積極的に展開します。加えて、昨年の12月議会定例会で制定していただいた「郡上市清流長良川等保全条例」の理念の普及、啓発とともに、教育活動や環境保全事業等にも力を入れてまいります。
 さて、わが国の財政は、国・地方の債務残高がGDPの2倍程度に膨らみ、今後も更なる累増が見込まれます。また、国債の元利償還費が毎年度の国一般会計歳出総額の2割以上を占めるなど、依然として厳しい状況にありますが、政府が平成28年11月29日に閣議決定した「平成29年度予算編成の基本方針」では、「経済再生なくして財政健全化なし」を基本とし、誰もが生きがいを持って充実した生活を送ることができる「一億総活躍社会」の実現に向けた施策を推進するとしています。郡上市におきましても、国が掲げる「経済の好循環をより確かなものとし、少子高齢化社会を乗り越えるための潜在成長率を向上させる新たな施策」と連動するよう、「地方創生推進交付金」の積極的な活用や、発行可能な期間が残り2箇年となりました「合併特例債」などの活用も含め、引き続き人口減少対策を軸として、「産業・雇用」、「定住・移住・交流」、「子ども子育て・教育」、「地域支え合い」といった重点的な取組みを進めてまいります。

平成29年度の予算編成について

 平成29年度の当初予算をこうした考え方を基に編成した結果、一般会計の性質別歳出では、「投資的経費」である「普通建設事業費」において、「(仮称)郡上市北部斎場」や「(仮称)郡上市歴史資料・文化財収蔵施設」の建設などの継続事業に加え、体育施設の充実に向けた美並町の「まん真ん中広場芝生化事業」や、施設の老朽化に伴う更新を行う「環境衛生センター堆肥化施設整備事業」などに必要な事業費並びに道路、河川等のインフラ整備にかかる事業費を確保したため、計上額は前年度対比26.6%、13億5,305万円増の64億4,719万円となりました。また、「義務的経費」と言われる三経費のうち「人件費」は2.3%、9,644万円減の41億3,642万円、「扶助費」は1.6%、5,050万円減の30億4,907万円、「公債費」は6.0%、2億8,845万円減の45億3,542万円となりました。「その他の経費」の中で、「物件費」は「観光立市郡上」実現のための「観光振興2次交通対策事業」、「外国人観光客誘致事業」の計上などにより5.5%、2億2,056万円増の42億49万円、「補助費」についても「観光立市郡上」実現のための「宿泊施設改修支援事業」の計上などにより2.7%、5,947万円増の22億3,884万円、他会計への「繰出金」は0.4%、1,690万円増の38億5,690万円を計上いたしました。
 一方、歳入のうち「市税」では、景気回復傾向に伴う所得水準の若干の改善による「個人市民税」の税収増や、「軽自動車税」の新税率対象車両等の増による伸びといったプラス要素と、「法人市民税」の法人税割税率改正の影響や、「たばこ税」の健康志向の高まりによる消費本数の減少による税収減等といったマイナス要素を勘案し、「市税全体」では49億1,865万円と、前年度と比べ10万円の増額となるほぼ横ばいの歳入額を計上いたしました。
 「地方交付税」については、郡上市一本算定における消防費、保健衛生費、地域振興費(支所経費)、標準団体の面積の見直しに伴う経費加算の算入増は見込まれるものの、「合併算定替特例措置」の段階的縮減が4年目となり、合併算定替と一本算定による差額の7割が減額となることや単位費用の見直し、「地域総合整備事業債・臨時財政対策債」の償還費の減による交付税措置の減などの要因により、「普通交付税」は前年度対比4.8%、5億6,000万円減の110億7,000万円を計上いたしました。また、「特別交付税」については、国の「地方財政計画」により3.2%、1,900万円減の5億8,000万円を計上し、「交付税全体」としては4.7%、5億7,900万円減の116億5,000万円となりました。
 「市債」におきましては、臨時財政対策債を除いた通常債で30億円を計上しました。これは、「公債費負担適正化計画」おいて従来設定していた「平成27年度以降23億円」という通常債の限度額を、平成28年度に2億円増額して「25億円」とする見直しを行い、平成29年度は更に5億円を増額して、23.1%、5億6,310万円増の「30億円」とし、「合併特例債」などの可能な限りの有効活用により投資的事業への積極的な取り組みを行うこととしたものであります。このことにより実質公債費比率を、今後の年度において若干押し上げることともなりますが、最高でも15%以下程度に留まると想定しています。また、国の「地方交付税特別会計」の財源不足を補うために発行する「臨時財政対策債」は、国の総枠の減少に伴い、3.1%、2,600万円減の8億円を計上し、「市債全体」では16.5%、5億3,710万円増の38億円を計上いたしました。
 以上の結果、平成29年度当初予算の一般会計の予算規模としては291億2200万円で、前年度当初予算と比較して4.4%、12億1900万円の増となり、3年連続で増加の積極的な予算となっております。なお、「まん真ん中広場芝生化事業」と「郡上八幡総合運動場整備事業」の財源に充てるため、「公共施設整備基金」から5億5000万円を取り崩して繰入れを行うこととし、「財政調整基金」からは一般財源の不足を補うために13億2000万円を取り崩すことにより編成したことを申し添えます。
 このような方針に基づき編成した平成29年度当初予算の規模は、一般会計291億2,200万円(4.4%、12億1,900万円の増)、特別会計158億1,869万円(9.8%、17億1,068万円の減)、企業会計56億9,115万円(4.2%、2億2,702万円の増)、合計506億3,185万円(0.5%、2億6,466万円の減)となりました。

分野別施策

 続きまして、「第2次郡上市総合計画 前期基本計画」の柱立てに沿って、7つの分野別施策における項目ごとの主な内容を説明申し上げます。

 

1.産業・雇用(地域資源を活かして産業を育てるまち)

 最初に1つ目の柱である『産業・雇用』についてであります。
 農業を取り巻く環境は、担い手の高齢化と後継者不足、社会経済のグローバル化の進展など厳しい状況下にありますが、中山間地域の特色を活かした多様な取組みを行い、豊かな農業と美しく活力ある農山村の実現を目指します。
 担い手対策としましては、集落全体で考える「人・農地プラン」を核として、農地の集積・集約化を、新たに設置しました農業委員会の「農地利用最適化推進委員」と一体となって進めます。更に集落営農の組織化、法人化を推進するとともに、担い手や新規就農者が行う機械、施設の整備を支援します。
 鳥獣被害防止対策では、引き続き有害鳥獣の捕獲や恒久柵の設置、獣肉の利活用を進めます。
 また、世界農業遺産の「清流長良川の鮎」を地域振興につなげるため、鮎釣り大会や鮎の放流事業等を展開し、ブランド力の強化を図ります。更に、平成30年度にオープン予定の「(仮称)長良川あゆパーク」が魅力ある施設となるよう、県と連携して開設準備を進めます。
 森林・林業については、大型製材工場の稼働等により増加した木材需要に対応するため、造林推進事業を積極的に進めるとともに、木材搬出時に必要な作業道の改修・拡幅を支援して木材生産量の拡大に取り組みます。利用期を迎えた森林は、適正な主伐と低コスト手法による再造林を推進し、効果的な資源の循環利用を目指します。このほか、市内産材の利用拡大や、森林の大切さ、木の良さを教える「木育」を推進するとともに、森林境界の明確化を呼びかけるモデル事業に着手します。
 また、農業・林業の振興を図るため、農業生産基盤及び農業集落環境の整備を行うとともに、林道整備の計画的な実施に加え、林道橋及びトンネルの定期点検や山地荒廃防止により、安定した森林づくりを促進するための事業の推進を図ります。
 畜産振興については、担い手の確保・生産基盤の強化を図ります。子牛価格の高騰が続く中、優良資質を持つ系統雌牛の保留・導入に努め、繁殖雌牛の増頭・牛群改良を推進します。また、本年9月に宮城県で開かれる「第11回全国和牛能力共進会」への本選出場を目指し、候補牛の技術・衛生管理指導を強化します。このほか、畜産経営に壊滅的な影響を及ぼす「口蹄疫」や「高病原性鳥インフルエンザ」などの伝染病予防対策に努めます。
 平成29年度は、今後の郡上市の産業振興にとって大変重要な年度になります。現在進めております「(仮称)郡上市産業振興拠点施設」の建設に合わせて立ち上げることとしております、商工観光の振興及び移住者の定住環境の整備などを促進するための「(仮称)郡上市産業振興支援センター」の設立に向けた準備を更に進めてまいります。この産業振興支援センターを拠点として、産業振興に関する様々な情報等を集約しワンストップ化を図るとともに、産業分野に特化した振興施策を、強力に推進してまいりたいと考えております。
 ここ数年の郡上市は、年平均の有効求人倍率が「1.0」を超え、労働力不足の傾向が表れていることから、市内の高校生や市外へ転出した若者に郡上の企業情報の提供を続けるとともに、新たにU・Iターン者等を対象とした「就職支援家賃支援事業」を開始します。なお、このような中においても、新規事業所の立地等に向けた企業誘致の促進には引き続き鋭意取り組んでまいります。このほか、「みんなでやらまいか! 郡上の元気・やる気条例」の理念に沿った新たな政策・施策を検討してまいります。
 観光振興については、「第2次総合計画」に定める平成32年の観光入込客の目標値「666万人」及び宿泊客の目標値「60万人」を目指して諸施策を展開する中で、「観光立市郡上」を目指し、これからの観光振興を担っていく人材を育成する事業や、公共交通を利用される観光客の利便性向上のための「2次交通対策事業」、関係機関と連携した「外国人観光客誘致事業」などにも取り組みます。また、今春の完成を目指して改修工事を進めております長良川鉄道「郡上八幡駅」を、新たな観光案内等の拠点として活用するほか、「白山開山1300年」という節目の年に合わせ、徳島県の「阿波踊り」や秋田県の「西馬音内(にしもない)盆踊り」を迎え、「日本三大盆踊り共演イベント」などの記念事業を行います。更に、宿泊滞在型観光の振興を図るため、宿泊事業者が行う市内宿泊施設の改修等に対する補助制度も創設します。なお、観光振興施設においては、「(仮称)長良川あゆパーク」の整備に呼応しての「道の駅白鳥」施設の建て替え工事(平成28年度補正予算に計上して、29年度に繰越し)や「道の駅明宝」トイレ棟の改築等を進めるほか、施設の適切な維持管理と積極的活用に努めます。また、後ほど述べる「教育・文化・人づくり」分野での「スポーツ・ツーリズム振興」と関連いたしますが、「2019年 ラグビーワールドカップ」のキャンプ地の誘致実現等に向けて、高鷲町の「叺高原スポーツ広場」にクラブハウスを整備いたします。
 このほか、観光行政に関し高度なノウハウを有する職員を育成するため、平成28年度に引き続き「国土交通省中部運輸局観光部」へ職員1名派遣を継続します。
 以上、『産業・雇用』の施策に20億2,758万円(一般会計20億2,758万円)を計上しました。

 

2.環境・防災・社会基盤(美しい水と緑を守り、暮らしの基盤が整う共生のまち)

 次に、2つ目の柱である『環境・防災・社会基盤』についてであります。
 水道事業については、施設の適正な維持管理を行い、安全・安心な飲料水の供給に努めるとともに、平成24年度から進めている「水道施設統合事業」の完成を目指します。
 また、将来的な人口減少と水需要減少の時代における水道のあり方を示すため、「持続・安全・強靭」をテーマに「水道ビジョン」の策定に着手します。
 下水道事業については、施設の適切な運転及び維持管理を行い、公共用水域の水質保全に努めるとともに、今後の老朽化の進展状況を考慮した「ストックマネジメント計画」を策定し、計画的かつ効率的な管理を目指します。
 また、人口減少と節水型社会への移行による汚水量の減少等、下水道事業を取り巻く環境は極めて厳しいものとなっておりますが、今後も安定的・効率的な経営を継続していくため、引き続き「公営企業会計」への移行準備を進めます。なお、「下水道事業資本費平準化債」は3億4,000万円を発行し、世代間の負担の公平化を図ります。
 廃棄物処理事業については、各施設の運営の効率化及びコスト削減に努めるとともに、「郡上環境衛生センター」の堆肥化機械設備の更新を行うなど、安全で適正な廃棄物処理を実施してまいります。また、施設統合により休止した「旧高鷲村廃棄物処理場」の焼却施設については、取り壊しのための調査設計を実施します。
 環境保全については、「清流長良川の鮎」の世界農業遺産認定を機に、昨年12月に「郡上市清流長良川等保全条例」を制定したことから、平成29年度は、条例理念の具現化のため、市民の皆様をはじめ市内・外に広く情報発信するとともに様々な取組みを行い、市民生活や産業・観光振興のための重要な資源である美しい水と緑の環境維持・保護に努めます。
 小水力発電施設については、既に稼働中の「石徹白清流発電所」に続き、白鳥町阿多岐ほか2箇所において県営事業による施設整備を進めます。
 消防・防災については、市民の安全・安心を確保するため、地域防災の要である消防団の充実強化を目指し、自治会や事業所等のご協力を得て消防団員の確保に努めます。また、団員が充実した生活環境の中で消防活動に専念できるよう、引き続き「消防団員婚活イベント」を開催するとともに、消防団の装備品の充実に努めます。
 防災面では、平成30年度に保守期間が終了する「音声告知端末」に代えて、停電時にも対応できる同報系防災行政無線の「戸別受信機」の整備に向け、第2期工事として、「デジタル-FM変換再送信局」の設置等を実施します。
 また、地域防災力を高めるため、自主防災会育成研修会の開催、自主防災活動マニュアルの策定支援、防災資機材の購入や防災士の資格取得に向けた補助を行うほか、「郡上市防災士会」の活動を支援します。更には、避難所に指定している地区集会所の耐震補強工事、倒木による停電等の被害を防止するための「ライフライン保全対策事業」を引き続き実施します。
 常備消防については、「山間地救助活動隊」の実践訓練による現場対応力の強化とともに、消防力を維持し機能強化を図るため、「高機能消防指令センター通信系システム」や各種消防資器材等を計画的に整備・更新し、多様化する災害に対する備えを充実させます。
 また、消防団の維持強化を図るため、「消防施設整備計画」に基づき、消防ポンプ自動車、小型動力ポンプ等の計画的な更新を行います。
 交通安全対策については、関係機関と連携して交通安全指導を実施するほか、高齢者の安全運転啓発に努めます。また、生活安全対策については、法に基づく「空家等対策協議会」を設置し、「郡上市空家等対策計画」に基づいた総合的な空き家等対策を推進するとともに、消費生活相談体制の充実、地区防犯灯の設置支援、市管理の街路灯のLED化、公共の場所等への防犯カメラの設置などに引き続き取り組みます。
 社会基盤整備については、「東海北陸自動車道」4車線化の早期完成をはじめ、「めいほうトンネル」建設工事を筆頭とする国道・県道改良に係る継続事業の促進、国道156号「郡上大橋架け替え事業」の早期事業化など、懸案事業の推進に向け引き続き関係機関に対し強く働きかけを行ってまいります。また、市としては、橋梁長寿命化のための補修等を継続実施するとともに、市道等の新設をはじめ、「道路ストック総点検事業」による点検結果に基づいた改良及び補修を、優先度を考慮しながら計画的に進めます。このほか、災害危険個所の解消に向けた河川改修や急傾斜地崩壊対策事業の実施に努めてまいります。
 「沿道林修景整備事業」では、市直営と自治会提案型を併用し、道路環境整備とライフラインの確保も併せ積極的に進めます。
 本市の良好な景観を保全・形成するため、景観計画による規制・誘導と併せて、景観百景の認定及び活動支援事業により、潤いのある豊かな生活環境の創造に引き続き取り組みます。また、八幡都市計画区域の都市機能の充実を図るため、連綿と引き継がれてきた歴史と文化を守りながら、郡上八幡の個性を活かした自立型文化都市の形成を目指します。併せて、伝統的建造物群保存地区の「無電柱化整備事業」を中心に、歴史的風致を活かしたまちづくりを推進します。市民から要望の強い「子どもを遊ばせることのできる公園」の整備に向けての「公園整備計画調査」にも取り組みます。
 住宅については、国等から譲渡を受けた2施設を市有住宅として有効に活用し、移住・定住を促進するとともに、「公営住宅等長寿命化計画」に基づき適正な維持管理に努めます。また、「土砂災害特別警戒区域」に指定された区域内において、戸建て住宅の建替えを行う場合に、安全基準を満たす建築構造への強化経費の一部を助成する制度を創設します。
 公共交通については、市民の日常生活における移動手段の確保と利便性の向上を図るとともに、今後の地域公共交通の最適化と地域の活性化に貢献する交通網を形成するため、「郡上市地域公共交通網形成計画」を策定します。
 長良川鉄道については、観光列車「ながら」をはじめとした企画列車の充実など、鉄道自体が観光資源となるよう魅力づくりを進め、観光面での誘客による利用者の増加を図ります。
 テレワークの推進については、平成28年度の総務省「ふるさとテレワーク推進事業」により「シェアオフィス」、「コワーキングスペース」を整備したことにより、テレワーカーの受け入れ体制が整い、5つの企業が事業を開始します。今後は、進出企業との連携を図り、更なるICT企業の誘致やテレワーカーの移住促進に努めます。
 ケーブルテレビ事業については、指定管理者である「株式会社郡上ネット」において、行政情報、災害情報をはじめ、地域での暮らしに役立つ情報をタイムリーに提供するとともに、市民ニーズに応じた多様な放送・通信サービスがなされるよう努めます。
 なお、市内における携帯電話不感地域を解消するため、美並町白山羽佐古地内において「携帯電話鉄塔基地局」の整備を行います。
 以上、『環境・防災・社会基盤』の施策に52億9,264万円(一般会計42億6,907万円、特別会計7億3,569万円、企業会計2億8,788万円)を計上しました。

 

3.健康・福祉(支えあい助け合う安心のまち)

 次に、3つ目の柱である『健康・福祉』についてであります。
 結婚から出産、子育てへの切れ目のない支援を充実させるため、まず結婚支援については、より多くの市民の皆さんに、男女の出会いについて関心を持っていただけるよう「婚活応援団」を組織化します。更に、結婚しやすい環境づくりを総合的に支援するための仕組みづくりに着手します。
 子ども・子育て支援については、「日本一住みたいまち、子育てしやすいまち」の実現を目指すため、引き続き「赤ちゃんの駅」を公共施設に整備するとともに、授乳やおむつ交換の場所を提供いただける協力店舗を募集します。また、「大和生きがいセンター」内に、子育て中の親子の交流、子育て相談、子育て講習などを行う「子育て広場」を開設します。
 私立保育所に勤務されている保育士の負担軽減と離職防止を目的に、短時間勤務の「保育補助者」の雇い上げに必要な費用の一部を助成します。
 地域福祉については、市民や団体等との協働による地域づくりに取り組み、「みんなで創り、みんなで育む、安心して暮らし続けられるまち郡上」を目指します。また、経済対策として、低所得者に対し1人当たり15,000円を給付する「臨時福祉給付金」の給付を引き続き実施します。
 障害福祉については、障がいのある方やその家族の生活支援、そして活躍の土台となる地域力を醸成するための「第5期郡上市障害福祉計画」と、障がいのある児童の支援を効果的かつ計画的に進めるための「障害児福祉計画」を策定します。
 高齢者福祉については、法改正に伴い4月から新たに実施する「介護予防・日常生活支援総合事業」により、「生活支援コーディネーター」の設置や「配食サービス」の拡充などサービスの充実を図ります。また、深刻な介護の人材不足対策として、引き続き「介護職員確保対策事業」に取り組みます。
 認知症対策については、認知症への理解を深めていただくため「認知症サポーター」の養成を進めるとともに、認知症の方や家族等への支援を強化するため「認知症地域支援推進員」や「認知症初期集中支援チーム」を設置します。
 健康づくりについては、生活習慣病を予防するための「特定健診・特定保健指導」の受診を習慣化する取組みを、引き続き市民協働で進めます。また、がん検診については、「胃内視鏡検診」を新たに導入し、早期発見、早期治療に努めます。健康な心と身体を維持増進するため、地域に根付いた「郡上の食育」を、食育推進会議を母体とする関係団体や部局を越えたネットワークにより推進します。このほか、自殺予防については、働きざかりや高齢者の自死を防ぐため、地元企業や関係機関等との相互連携を強化し、相談窓口の周知やゲートキーパーの育成を継続して行います。
 公立2病院では、医療サービスを安定的に提供するため、計画的な医療機器の整備・更新や医療従事者の確保対策を進めるとともに、民間医療機関との連携により地域医療体制の強化に努めます。また、国保白鳥病院と診療所群からなる「県北西部地域医療センター」では、へき地医療広域連携に「高山市」が新たに加わり、一層の相互支援が図られることにより、広域医療体制の更なる充実を目指します。
 なお、公立2病院と市内診療所群においては、「電子カルテシステム」を活用した診療情報の共有化に継続して取り組むとともに、平成28年度内に策定する「新公立病院改革プラン」や「第2期地域医療を守り育てる郡上市ビジョン」の実現を目指してまいります。
 国民健康保険については、現在、平成30年度からの広域化に向けて県と市町村とにおける具体的な協議を進めております。本市においては、被保険者の減少等により保険税収入は減少傾向にあります。一方、高齢化や医療の高度化により1人当たりの医療費が増加していることから、引き続き一般会計から保険税負担軽減分として3,500万円を繰り入れるとともに、基金から同額を取り崩し、国保財政の健全化に努めます。
 以上、『健康・福祉』の施策に135億5,969万円(一般会計34億4,071万円、特別会計98億7,326万円、企業会計2億4,572万円)を計上しました。

 

4.教育・文化・人づくり(香り高い地域文化と心豊かな人を育むまち)

 次に、4つ目の柱である『教育・文化・人づくり』についてであります。
 郡上市の教育は、平成26年度から平成30年度までを実施期間とする「郡上市教育振興基本計画」に基づく具体的施策によって、充実化に努めております。なお、地方教育行政組織法改正に基づき平成27年度に策定した「郡上市教育大綱」の理念等を踏まえ、市長部局と教育委員会が一層の連携をして教育の振興を図ってまいります。
 まず、学校教育では、生命(いのち)と人権の尊重を基盤として、「確かな学力と豊かな心をもった郡上人を育てる」ことを目標に、引き続きふるさとを愛する心や、学びを人生や社会に活かす力や人間性を高めます。また、これまでの事業を再編した「夢づくり教育事業」、「学力向上事業」、「心の教育推進事業」の3本の柱に沿って、学校教育の充実に努めます。特に、平成29年度においては、「清流教育」を推進するための「清流」をキーワードとした体験学習の推進、ふるさとの産業を知ってもらうための教職員を対象とした市内企業見学や、授業改善のためのICT環境整備にタブレット型端末や大型モニターの導入をいたします。不登校やいじめ対策を充実させるための機動力強化などに市相談員1名を増員するとともに、教職員リーダー研修への派遣などの事業も推進します。
 就学支援については、経済的理由によって就学が困難な高校生や大学生等のため、引き続き無利子の奨学金貸付及び教育ローン利子補給を実施するとともに、奨学資金償還の一部免除制度の利用を促進し、卒業後における市内へのUターン者の増加につなげてまいります。
 社会教育については、地域活動の拠点となる「公民館」において各種行事や講座等を開催し、地域コミュニティの活性化を図るとともに、公民館活動のPRにも努めます。また、文化活動の充実のため、引き続き「短歌」や「円空」など、地域文化の継承活動等を展開します。なお、これらの各講座、催しなどにおいて、可能な限り「清流教育」につながる内容を盛り込めるよう工夫をしてまいります。
 文化施設整備については、昨年9月、建設に着手いたしました「(仮称)郡上市歴史資料・文化財収蔵施設」に収蔵する資料等の収集や、施設運営に係る準備などを引き続き進め、来春のオープンを目指します。
 また、「白山開山1300年」関連事業としまして、「白山文化博物館」においては、白山開山を契機に発展をしてきた「美濃馬場」をテーマとする特別展を開催します。同様に、「美並ふるさと館」においても、関連の特別展示を予定しております。
 郡上学講座については、歴史・文化に関する講座をはじめ、「郡上学地域講座」や「郡上学総合講座」とともに、市役所の若手職員が企画・運営を行う「ふるさと宝さがし講座」などを、引き続き開催してまいります。
 スポーツ振興については、「一市民一スポーツ」を基本目標に、気軽に取り組め、親しみやすいスポーツ種目の研究や普及を引き続き推進してまいります。なお、スポーツ活動における「白山開山1300年」記念事業としまして「長良川清流ツーデーズウォーク」を開催し、「白山信仰」を学ぶ歴史探訪の形式を取り入れたウォーキングを2日間にわたり実施します。
 来年2月には、「全国高等学校総合体育大会スキー競技会」が岐阜県で開催され、郡上市は「クロスカントリー競技」の会場となります。本大会を成功に導くことはもとより、競技会場となる「デイリー郡上・牧歌の里クロスカントリーコース」を、県内・外のチームの練習会場等としても活用いただけるよう、PRに努めます。また、スポーツによる地域づくりにおいては、「2020年 郡上市スポーツ・ツーリズム」と位置付け、「2018年 韓国平昌 冬季オリンピック」、「2019年 ラグビーワールドカップ」、「2020年 東京オリンピック・パラリンピック」など、全国・世界レベルの大会に向けた合宿の誘致活動を推進します。
 スポーツ施設の整備では、美並町の「まん真ん中広場」の人工芝生化及び関連工事を実施します。また、「郡上八幡総合運動場」については、引き続きフェンス、防球ネット等の付帯工事を実施します。更には、観光振興の分野で申し上げましたが、先頃組織委員会の公認キャンプ地に立候補を行いました「2019年 ラグビーワールドカップ」キャンプ地の誘致実現等に向け、高鷲町の「叺高原スポーツ広場」にクラブハウスを整備するなどの施策を進めてまいります。
 以上、『教育・文化・人づくり』の施策に17億9,958万円(一般会計17億6,640万円、特別会計3,318万円)を計上しました。

 

5.自治・まちづくり(市民と行政が協働でつくるまち)

 次に、5つ目の柱である『自治・まちづくり』についてであります。
 設置後4年目となる地域協議会においては、「郡上市住民自治基本条例」の具現化と地域の住民自治確立に向け、平成29年度から「郡上市地域協議会活動交付金」を交付し、7つの地域協議会が行う事業等への財政支援を行います。
 市民協働センターの取組みについては、「魅力ある地域づくり推進事業」や「提案型協働事業」の審査や新規事業の掘り起し、活動への助言などを行いながら、地域づくり活動への関わりを深め、より一層の市民協働を推進します。また、市民協働の啓発や研修の場として、引き続き「まちづくりフェスティバル」を開催し、市民協働の輪を広げていきます。
 男女共同参画の推進については、「第2次郡上市男女共同参画プラン」に基づく施策を進めるとともに、「男女共同参画推進条例」の制定と、女性の職業生活における活躍の推進に関する施策を計画的かつ効果的に進めるための「女性活躍推進計画」の策定に取り組みます。
 交流・移住推進事業については、これまでの取組みにより着実な成果が挙っていることから、引き続き事業の運営を「交流・移住推進協議会」へ委託し、情報発信や窓口相談などの事業に取り組みます。
 Uターン者の増加や空き家バンクの登録件数の増加を図るため、「郡上に帰ろう! 応援事業」、「空き家バンク登録推進事業」を引き続き推進します。また、平成28年度に取り組んだ「インストラクター等養成スクール準備事業」については、郡上らしい働き方を実践形式で学びながら、新たな雇用を創出するという視点に置き換えた「郡上・自然のしごと学校プロジェクト推進事業」として展開し、郡上の未来を担う人材を育成・獲得しながら、戦略的に移住・定住の促進につなげるよう取り組みます。更に、広域連携により多くの交流人口・移住者を呼び込むことを目的とした「関・美濃・郡上『長良川の恵みと暮らそう』プロジェクト推進事業」を引き続き推進し、積極的な事業展開を図ります。
 地域おこし協力隊については、11名の隊員により集落支援、特産品開発、体験型ツーリズムの運営などを行い、より一層の地域振興を図ってまいります。
 このほか、地方創生を推進する新たな事業展開としまして、首都圏を中心に、郡上の歴史・文化、伝統芸能、自然資産など多様な魅力を発信する「ずっと郡上・もっと郡上 都市農村対流戦略的イノベーションプロジェクト事業」として「郡上藩江戸蔵屋敷」事業を実施いたします。江戸蔵屋敷では、「白山文化と郡上の暮らし」をテーマとした連続講座プログラムを実施し、都市住民と郡上市民とが共に学び、交流し合う取組みを行うことで、郡上ファンの増加や移住・定住につながる好循環を生み出すとともに、郡上ブランドの首都圏展開によるビジネスマッチング、販路拡大などを目指します。
 国内の都市交流については、友好交流関係にある都市の集客施設等を有効に活用し、郡上市の観光情報等の更なる発信に努めるとともに、民間主導による経済交流等のきっかけづくりや、産業・文化・スポーツ等、多方面にわたる友好都市との市民間交流の活性化を支援します。
 以上、『自治・まちづくり』の施策に1億7,420万円(一般会計1億7,420万円)を計上しました。

 

6.地域振興(個性あふれる地域づくりを推進するまち)

 次に、6つ目の柱である『地域振興』についてであります。
 個性あふれる地域づくりを推進するため、7つの地域が、それぞれの歴史や文化、自然、産業などの地域資源を活用した振興施策を、本庁、地域協議会、各種地域づくり団体等との連携を図り、より効果的な取組みにより進めます。
 こうした事業を迅速かつ有効に実施するため、一定の規模までの事業については、引き続き振興事務所長の裁量において推進します。また、「魅力ある地域づくり推進事業補助金」を交付し、自治会や市民活動団体等が行う地域づくり活動を支援します。

 

7.行財政運営(健全な行財政運営を実行するまち)

 最後に7つ目の柱である『行財政運営』についてであります。
 今後も、厳しい財政状況が続くものと見込まれるため、計画期間の5年目を迎える「第2次行政改革大綱」に基づく取組みを着実に実施し、身の丈に合った行財政の確立を目指します。
 特に、平成27年度から取り組んできました「公共施設等総合管理計画」では、公共施設等の更新・統廃合・長寿命化等を計画的に行うことにより、財政負担の軽減・平準化を図り、公共施設の最適な配置を実現するため、施設分類ごとの基本的な取組み方針を定めることとしております。
 この方針を基に、平成29年度からの2箇年で、個々の施設の将来的な方向性を示すこととなる「(仮称)公共施設再配置計画」を策定します。持続可能な公共サービスの実現に向け、施設の評価を行って見直しの優先順位を検討するとともに、市民の皆さんとの合意形成を図りながら策定を進めます。
 また、斎場については、「郡上市火葬場整備基本計画」に基づき、南部地域は、平成29年度から「八幡斎苑さつき」に集約します。そして、北部地域には、拠点施設として平成28年度より旧白鳥斎場の跡地に整備を進めてまいりました、最新の火葬炉設備を備え環境にやさしい「(仮称)郡上市北部斎場」の建設を進め、平成29年度中に供用開始いたします。
 歳入面においては、自主財源確保のため適正かつ公平な市税の課税に心がけるとともに、滞納税額の削減に一層努力いたします。また、歳出面では、経常的経費の抑制など可能な限りの経費削減に、更に取り組んでまいります。
 職員給与費については、「定員適正化計画」の取組み等により全会計で4,968万円、一般会計では4,558万円の減額となりました。職員の給与については、民間給与や国家公務員給与との均衡の原則、職務と責任に応じて支給する職務給の原則を踏まえ適切に措置するとともに、定年退職者の再任用制度により経験豊富な職員の能力を積極的に活用しつつ、適切な新規採用枠の設定により職員の年齢構成の計画的な平準化を目指します。
 一般会計における公債費では、「公債費負担適正化計画」に基づくこれまでの地方債の借入額抑制や繰上償還により、元利償還金は45億3,542万円で、平成28年度当初からは2億8,845万円の減となっております。また、平成27年度決算による実質公債費比率は13.6%となり、着実に財政健全化への取組み効果が表れております。平成29年度末の一般会計市債残高見込みは346億9,685万円となり、平成28年度末見込みに対して、4億983万円の減額となる見込みです。
 これらの、『行財政運営』の施策に、給与費や公債費を除き6億7,143万円(一般会計6億7,143万円)を計上しました。

 以上、市政運営の基本的な考え方と、新年度当初予算案の編成方針並びに諸施策の概要を述べさせていただきました。引き続き財政運営の健全化等に努めながら、市が直面する多くの課題の克服と市民サービスの一層の向上、そして地方創生の推進に向けたこれらの施策を着実に実行してまいりたいと考えております。
 今後とも、議員の皆様並びに市民の皆様の市政全般に対するご支援とご協力をお願い申し上げます。

 

 平成29年2月27日

郡上市長  市長:日置敏明

このページに関する
お問い合わせ先

郡上市役所市長公室秘書広報課

0575-67-1147

〒501-4297 岐阜県郡上市八幡町島谷228番地
FAX:0575-67-1711
E-Mail:kouhou@city.gujo.lg.jp

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

Qこのページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は役に立ちましたか

Qこのページの情報は見つけやすかったですか?

このページの情報は見つけやすかったですか

回答が必要な場合は、上記担当部署へ直接お問い合わせをお願いいたします。
問い合わせ先が不明な場合は、「ご意見・お問い合わせ」をご利用ください。
また、こちらの欄には個人情報を含む内容は記載しないでください。

よく検索されているワード