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平成31年度施政方針

 施政方針は、平成31年度の郡上市における市政運営に関する所信と基本的施策であり、平成31年第2回郡上市議会定例会において市長より表明したものです。

市政運営の基本方針

 それでは、市政運営の基本方針について申し上げます。
 郡上市は、この3月1日で合併・市制施行満15年を迎えます。これまで受けてきた財政上の特例措置などが終了し、いよいよ一つの都市自治体としての「自立」の度合いを高めて行かなければなりません。平成31年度は、これまでの新市づくりのための歩みを土台として、みんなが安心して暮らし続けられる、活力ある「ふるさと郡上」を構築するため、「防災・減災」、「観光立市郡上」、「産業振興・人材育成・雇用創出」などに重点を置き、取組みを進めてまいります。
 はじめに「防災・減災」について。今年は、八幡北町の大火から100年、和良下沢の大火から70年、伊勢湾台風から60年、奥美濃地震から50年、平成11年9.15豪雨災害から20年など、過去に郡上を襲ったいくつかの大きな災害のあった年から数えて節目の年に当たります。また、昨年は7月豪雨災害をはじめとして、酷暑、強風といった「災害の年」でもありました。これらのことから、「合併・市制施行15周年」を迎えるに当たり、これを一つの契機として今一度防災について考え、市民の皆様と共に「災害に強い郡上市」づくりを進めていきたいと考えております。
 「観光立市郡上」については、平成30年度は地域資源のデータベース化や地域内のキャッシュレス化の推進、観光塾をはじめとした人材の育成、スポーツツーリズムなどに取り組んできました。3年度目となる平成31年度は、観光地の地域経営を担うDMO組織づくりやマーケティング体制の構築、また、スポーツコミッションの設立などを推進することにより、地域経済への波及効果を高め、域内経済循環につなげる取組みを進めます。
 「産業振興・人材育成・雇用創出」については、平成30年度から産業振興の拠点として活動を開始した「郡上市産業支援センター」を中心に、事業者の経営支援、事業承継・起業支援の推進とともに、様々な分野で活躍できる人材の確保・育成に向けた取組みを移住・定住施策と絡めながら進めてまいります。
 このほか、「第2次郡上市総合計画」及び「郡上市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、「子ども子育て・教育」、「地域支え合い」などの重点プロジェクトに取り組んでまいります。
 なお、これらの具体的な取組みについては、後ほど分野別の施策の中で申し述べます。
 さて、国の経済状況に目を移しますと、経済政策「アベノミクス」の推進により、緩やかながら着実な景気の拡大期が続き、本年1月で「戦後最長期間になった可能性が高い」との見解が示されたところです。そして、引き続き雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しが続くと見込まれる中、本年10月には消費税率の引き上げが予定されており、地域経済への影響が注目されるところです。国においては、消費税率引き上げによる需要変動を乗り越えるため、あらゆる施策を総動員するとされており、国の打ち出す経済対策などを注視しながら、必要に応じて迅速かつ的確に対応してまいりたいと考えております。

 

平成31年度の予算編成について

 こうした考え方や背景を基に平成31年度の当初予算を編成した結果、一般会計の性質別歳出のうち、「投資的経費」である「普通建設事業費」では、「防災行政無線整備」や「高鷲庁舎耐震補強改修」が完了したことなどにより、前年度対比5.2%、2億9,193万円減の53億3,490万円となりましたが、道路、河川等のインフラ整備に必要な事業費を確保した上で、「大島工業団地」の造成に関連する道路や調整池の整備事業、「高鷲叺高原スポーツ広場第1グラウンド」人工芝生化、「(仮称)郡上八幡まちなみ交流館」、「短歌の里交流館よぶこどり」の建設工事等を計上しました。また、「義務的経費」の「人件費」は選挙経費等の計上により0.5%、1,865万円増の41億5,499万円、「扶助費」は0.9%、2,924万円増の31億2,938万円、「公債費」は5.2%、2億2,446万円減の40億7,281万円となりました。「その他の経費」の中で、「物件費」は、避難所用資機材の購入等を行う「災害対策施設・設備整備事業」、参議院議員等の選挙経費、事務端末機器の更新経費等を計上した結果、6.9%、2億8,946万円増の44億6,656万円、「補助費等」については、「岐阜県消防操法大会開催事業」の終了等により0.5%、1,257万円減の24億4,264万円、他会計への「繰出金」は0.7%、2,364万円増の33億5,016万円を計上いたしました。
 一方、歳入のうち「市税」では、「法人市民税法人税割」の税収減や、「固定資産税」における土地評価額の時点修正及び償却資産の経年減価による税収減、「たばこ税」の健康志向の高まりによる消費本数の減少による税収減を勘案し、「市税全体」では前年度と比べ0.3%、1,651万円の減額となる48億8,824万円を計上いたしました。
 「地方交付税」については、国において地方交付税総額が、前年度対比で2,000億円増額され16.2兆円とされるとともに、標準団体の面積の見直し等による経費加算の算入増が見込まれはするものの、「合併算定替特例」の終了に伴い「一本算定」になったことによる影響、「地域総合整備事業債」、「臨時地方道整備事業債」償還費の算入減、「辺地債」、「過疎債」の償還費の減少による交付税措置額の減等の要因により、「普通交付税」は前年度対比0.1%、1,000万円減の104億9,000万円を計上いたしました。また、「特別交付税」については、近年の最終決定額の推移を勘案して前年度と同額の7億8,000万円を当初計上し、「地方交付税全体」としては0.1%、1,000万円減の112億7,000万円となりました。
 「市債」におきましては、通常債で18億4,440万円を計上しました。平成30年度予算と比較しますと9億6,350万円下回りますが、平成30年度までで「合併特例債」を発行限度額まで全額活用し終えた影響によるものです。しかし平成31年度においても、「辺地債」及び「過疎債」に加えて「緊急防災・減災事業債」や「防災基盤整備事業債」等を可能な限り有効活用し、防災・減災対策を中心として投資的事業を推進することとしています。ただ今後は、従来活用してきました「合併特例債」と比較して交付税算入率が低い地方債も活用する必要があることから、実質公債費比率は若干上がる見込みを立てています。国の「地方交付税特別会計」の財源不足を補うために発行する「臨時財政対策債」は、国の総枠の減少に伴い、14.3%、1億1,000万円減の6億6,000万円を計上し、「市債全体」では30%、10億7,350万円減の25億440万円を計上いたしました。
 以上の結果、平成31年度当初予算の一般会計の予算規模としては歳入歳出それぞれ280億4,200万円で、前年度当初予算と比較して0.5%、1億3,500万円の減となっております。
 なお、「ケーブルテレビ伝送路等更新」の財源に充てるために「ケーブルテレビ整備事業基金」から3億3,000万円、「大島工業団地造成関連整備」、「ホテル積翠園改修」、「叺高原スポーツ広場第1グラウンド改修」、「都市再生整備」、「短歌の里交流館よぶこどり建設」、「(仮称)郡上八幡まちなみ交流館建設」の財源に充てるために「公共施設整備基金」から8億5,000万円、また「郡上カンパニープロジェクト」、「観光立市郡上」、「雇用対策」の推進、「(仮称)旧越前屋」の活用、「産業連関表」の作成等の財源に充てるために「地域振興基金」から8,900万円を繰り入れることとし、「財政調整基金」からは一般財源の不足を補うために10億8,300万円を繰り入れることにより、予算を編成したことを申し添えます。
 このような方針に基づき編成した平成31年度当初予算の規模は、一般会計280億4,200万円(0.5%、1億3,500万円の減)、特別会計138億3,586万円(0.4%、5,870万円の増)、企業会計72億4,087万円(2.5%、1億8,925万円の減)、合計491億1,873万円(0.5%、2億6,554万円の減)となりました。

 

分野別施策

 続きまして、「第2次郡上市総合計画 前期基本計画」の柱立てに沿って、以下、7つの分野別施策における項目ごとの主な内容を説明申し上げます。

1.産業・雇用(地域資源を活かして産業を育てるまち)

 最初に1つ目の柱である『産業・雇用』についてであります。
 農業を取り巻く環境は、農家人口の減少・高齢化の進展をはじめ、鳥獣や異常気象による農作物被害の発生など厳しい状況にありますが、中山間地域の特性を活かした多様な取組みにより持続可能な農業・農村を目指します。
 担い手対策については、農地利用最適化推進重点地区会議を各地域で開催し、集落営農組織化を促進するとともに、新規就農者の実習指導や就農直後の所得確保を支援して、地域農業を担う人材及び組織の育成に努めます。
 鳥獣被害防止対策については、引き続き鳥獣被害対策実施隊による有害鳥獣捕獲を進めるとともに、恒久柵の設置や狩猟免許の取得等への助成を行い、地域ぐるみの捕獲、防除活動を推進します。
 農産物の安全を確保し、より良い農業生産を実現するため、生産工程を適切に管理するGAP認証の取得を支援するなど、地域ブランド農産物の生産振興と販路の拡大に努めます。また、昨年6月にオープンした「清流長良川あゆパーク」では、子どもたちに親しまれ魅力ある多彩な体験学習を展開して、世界農業遺産の情報発信と利用者の拡大に努めます。
 森林・林業については、平成31年度から森林環境譲与税(仮称)が創設されるとともに、新たな森林経営管理制度が始まります。手入れ不足の人工林の整備保全や人材育成など多様な取組みを進めて、森林の公益的機能を向上させるとともに、地域住民の安全・安心の確保に努めます。
 さらに、市内の森林の一元管理と森林・林業・木材産業関係者の連携強化のために設立された「郡上森林マネジメント協議会」の活動・運営を支援し、森林整備の促進及び木材の生産・流通・消費構造の効率化を目指します。
 農業生産基盤及び農業集落環境の整備を図るため、県営中山間地域農村活性化事業等により継続的に事業を進めるとともに、安定した森林づくりのため、林道整備の計画的な実施と、林道橋及びトンネル点検結果を踏まえた修繕工事の実施、治山対策事業による山地荒廃防止対策など、農林業基盤の整備促進を図ります。
 畜産振興については、高齢化と後継者不足による農家の減少に歯止めをかけるため、担い手の就農支援をはじめ、持続可能な畜産経営を目指した生産基盤の強化を図ります。
 酪農では、性判別技術を取り入れた搾乳牛の確保に努め、効率的な後継牛の生産を推進します。和牛では、県下統一ブランドの「飛騨牛」の生産に不可欠な繁殖牛の更新、保留を支援するとともに、肥育農家の飼養管理技術指導に取り組みます。また、県内で発生した「豚コレラ」など畜産農家以外にも影響を与える家畜伝染病の侵入を防ぐため、家畜衛生管理技術の普及、指導に努めます。
 観光振興については、国を挙げての取組みにより、平成30年の訪日外国人旅行者数が3,000万人を突破(独立行政法人 国際観光振興機構調べ)しました。ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックといった国家的大型イベントを控えている状況から、今後、外国人旅行者はますます増加するものと思われます。平成31年度においては、こうした動向を絶好の機会と捉え、これまで以上にスピード感をもって観光施策に取り組んでまいります。このため、観光立市郡上を推進する上での中核団体として、平成30年に一般社団法人化した郡上市観光連盟の更なる組織強化と、戦略的な観光振興に必要となるデジタルマーケティングシステムの調査研究・構築を支援し、観光庁が認める日本版DMOへの登録を目指します。また、インバウンド対策として、ASEAN諸国を主体とした外国人観光客の誘致事業や岐阜大学留学生と連携した外国人向けモデルコースづくりにも引き続き取り組みます。さらに、2年目となる「日本一のおどりのまち郡上推進事業」では、市民参加の促進、後継者の育成支援を行うとともに、徹夜おどり期間に八幡と白鳥のおどり会場を連絡するシャトルバスを運行し、おどり客の利便性の向上を図ります。
 観光施設整備では、大規模改修中のホテル積翠園が7月にリニューアルオープンをする予定であり、民間宿泊施設のグレードアップへの支援事業と併せて、市内の宿泊環境を充実させます。また、高鷲叺高原スポーツ広場第1グラウンドの人工芝生化を進め、先に人工芝生化を完成した美並まん真ん中広場と連携したスポーツ合宿誘致の環境を整えます。
 産業振興の面では、平成30年4月に開設した「郡上市産業支援センター」において、引き続きワンストップ相談事業などを進めるほか、新たな産業振興策の検討などを行っていきます。また、大島工業団地の整備については、このほど地権者の方々の格別のご協力をいただいて用地取得のうえ造成事業に着手できることとなったところです。今後、道路や調整池の整備も併せ事業が本格化することから、平成32年(2020年)9月の完成を目指して工事全体の施工管理を適正に進めるとともに、進出予定企業との調整もより詳細に行います。さらに、現在の産業界で喫緊の課題である人手不足や人材育成に対応するため、従来の雇用対策事業に加えて、企業向けの資格取得支援補助制度の創設や外国人労働者受入れのための研修会をはじめとする諸施策を進めます。
 このほか、地域の経済規模と経済循環等を明らかにすることで、本市の産業の強みと弱みを把握し、地域の稼ぐ力をより高めるための分析ツールとして産業連関表を作成し、その活用も図ってまいります。
 以上、『産業・雇用』の施策に28億2,902万円(一般会計26億1,722万円、特別会計2億1,180万円)を計上いたしました。

2.環境・防災・社会基盤(美しい水と緑を守り、暮らしの基盤が整う共生のまち)

 次に、2つ目の柱である『環境・防災・社会基盤』についてであります。
 水道事業については、施設の適正な維持管理を行い安心安全な飲料水の供給に努めるとともに、前年度に引き続いて遠隔監視装置の更新・統合事業を推進し、効率的な運営体制の確立を目指します。
 下水道事業については、施設の適切な運用により公衆衛生の向上・公共用水域の水質保全に努めるとともに、前年度に引き続きストックマネジメント事業を推進し、施設の機能確保及びライフサイクルコストの低減・平準化を図ります。また、新年度から下水道統合整備事業に着手し、下水道処理施設の統廃合に伴う事業のスリム化により、効率的な運営体制の確立と経営の健全化を目指します。なお、下水道事業資本費平準化債は、前年度対比4,000万円減の3億円を発行し、世代間の負担の公平化を図ります。
 廃棄物処理事業については、「郡上クリーンセンター」、「郡上北部クリーンセンター」及び「郡上環境衛生センター」において、施設運営の効率化及びコスト削減に努めるとともに、適正で安全な廃棄物処理を実施します。
 環境保全については、「郡上市清流長良川等保全条例」の理念の具現化のため、平成31年度も外来植物の除去活動を継続し、自然環境及び生物多様性の維持・保全に努めます。また、清流環境フォトコンテストを引き続き実施することで環境保全への理解と意識の高揚を図り、「清流長良川」の情報を市内外に広く発信し、郡上の重要な資源である「美しい水と緑」の維持・保全に努めます。
 次に、消防防災については、地域防災力の中核となる消防団の充実強化のため、引き続き自治会や事業所等の協力を得て消防団員の確保に努めるとともに、消防施設整備計画に基づく消防団車輌及び資機材等の更新、耐震性貯水槽や消火栓などの消防水利の整備を行ってまいります。また、道路交通法の改正により運転免許区分が細分化されたことやオートマチック限定免許を所持する団員が増加していることから、消防団車輌を運転できる機関員の育成を目的に、限定解除のための免許取得助成制度を新設するとともに、消防団員が警防活動を遂行する際の活動要領、退避判断基準等を盛り込んだ「消防団員の安全管理マニュアル」を作成し、災害現場における活動が安全に実施できるよう体制を整備します。
 常備消防については、消防防災業務や救急業務を迅速かつ的確に行うため、消防大学校での研修や救急救命士の養成など、職員の資質向上による組織の強化を図ります。救急出場件数が増加する中、救急救命士等による重症傷病者への高度医療処置のため救急救命資機材を整備するほか、救急現場に居合わせた人(バイスタンダー)が速やかに応急手当を行い救急隊に引き継ぐことができるよう、救急講習用の資機材を整備して講習の充実を図ります。また、消防車輌等については、救助工作車の更新と老朽化した救助用資機材の更新整備を行い、多様化する災害対応への機能強化を図ります。
 防災面では、平成30年7月豪雨及び台風第21号に係る対応の検証によって得られた特に重要な課題や問題点について、ソフト、ハード(設備等整備)の両面からの対応を順次図っていきたいと考えております。
 まずソフト面では、気象情報や避難情報等の内容の周知、危険箇所や避難経路の日頃からの確認と早期避難の啓発など、市民の皆様の危機意識や防災意識の向上、さらには自主防災会の組織強化の推進及び機能の充実、地域における避難行動要支援者に向けた支援体制の充実など、自助・共助の強化に取り組んでまいります。
 次にハードの設備等の整備の面では、床マット、ダンボールベッド、間仕切りセット、Wi-Fi機能、テレビ視聴機能、発電機等の整備により、避難所の環境改善、停電時の対応などに資するものといたします。また、市管理の河川に危機管理型水位計を設置し、的確な避難情報の発令に努めます。
 このほか、電力会社との共同によるライフライン保全対策事業を推進するとともに、市民生活の安全対策として、関係機関と連携した交通安全指導の充実、所有者等による適正な空家等管理のための啓発、補助制度を活用した危険空家の除却の推進等を図ります。
 社会基盤整備については、国道156号「大和改良」、主要地方道金山明宝線「めいほうトンネル」など、国道・県道改良に係る継続事業の促進を図るとともに、国道156号「郡上大橋架け替え」、濃飛横断自動車道「郡上工区 八幡~和良間」の早期事業化など、懸案事業推進のため引き続き関係機関に対して強く働きかけを行ってまいります。また、「社会資本整備総合交付金事業」等による道路・橋梁の整備と、災害危険個所の解消を図るための河川改修や急傾斜地崩壊対策事業の実施に努めます。市管理道路では、主に橋梁長寿命化のための補修等を継続実施するとともに、道路新設改良をはじめ、道路ストック総点検結果を踏まえた改良補修について優先度を考慮しながら計画的に整備を行ってまいります。
 本市の豊かな自然景観や歴史的な町並み等の景観形成に対する市民意識の高揚と本市ならではの魅力あふれるまちづくりを展開するため、郡上市景観計画による規制・誘導と併せて、景観百景の認定及び活動支援事業に取り組みます。また、伝統的建造物群保存地区の「無電柱化整備事業」と併せて八幡市街地の交通対策計画策定や由緒書整備事業を実施し、八幡都市計画区域の連綿として引き継がれた歴史と文化を守りながら、郡上八幡の個性を活かした自立型文化都市を目指します。
 住宅等の防災対策については、木造住宅をはじめとした建築物の耐震化の促進により命を守るための取組みを推進します。また、「公営住宅等長寿命化計画」に基づき、市営住宅等の適正な維持管理及び長寿命化工事を実施し、公営住宅本来の目的である住宅困窮者支援に加え移住定住の促進に努めます。
 次に公共交通については、郡上市地域公共交通網形成計画に掲げる「安心して住み続けられる交通ネットワークの構築」を目指し、引き続き公共交通に携わる乗務員確保のための運転免許取得助成及びユニバーサルデザインタクシー導入支援を実施するほか、バスルートの変更による交通空白地の解消や、バス停の増設による利便性の向上に努めます。長良川鉄道については、安全な運行を確保するため、老朽化した施設の修繕や更新に対し沿線市町と連携して支援を行うとともに、観光列車ながら(鮎号・森号・川風号)における企画列車の充実など、常に話題提供や注目度を高める取組みを推進し、利用者の増加を図ります。
 ケーブルテレビ事業については、通信基盤を強靭化するとともに都市部との通信格差是正を図るため、前年度に引き続き拠点間を結ぶ幹線の冗長化並びにセンター設備から各家庭までを光ケーブルで繋ぐFTTH方式による伝送路及びセンター設備の整備を行います。また、更新時期を迎えた自主放送の自動番組送出制御装置、映像及び音声装置を更新し、自主放送の安定運用を図ります。
 以上、『環境・防災・社会基盤』の施策に46億2,776万円(一般会計42億2,896万円、特別会計1億9,284万円、企業会計2億596万円)を計上しました。

3.健康・福祉(支えあい助け合う安心のまち)

 次に、3つ目の柱である『健康・福祉』についてであります。
 結婚から出産、子育てへの切れ目のない支援を充実させるため、結婚支援については、マリアージュ郡上での相談業務をはじめ、趣向を凝らした婚活イベント等の開催により、婚活しやすい環境づくりや男女の出会いの場づくりに努めてまいります。
 子ども・子育て支援については、「日本一住みたいまち、子育てしやすいまち」の実現を目指す「郡上っ子応援宣言」を実行するため、子育て支援策の更なる充実に努めます。
 新年度は、平成32年度(2020年度)からの5年間を計画期間とする「第2期郡上市子ども・子育て支援事業計画」の策定を進めるとともに、保護者が就労等で不在となる家庭の児童を対象に放課後及び長期休暇中に遊びや生活の場を提供する「放課後児童クラブ」を、川合小学校と大和南小学校の2ヶ所に新規開設いたします。また、昨年夏のような酷暑に対応し、良好な保育環境を確保するため、明宝保育園と北濃保育園の2園において保育室を中心に空調設備を設置します。
 地域福祉については、郡上市地域福祉計画に基づいて各種福祉事業を実施するとともに、特に災害時要支援者対策、生活困窮者自立支援事業を重点事業に掲げ、安心して暮らし続けられるまちづくりに取り組みます。
 障害福祉については、障がいのある方の地域生活を支援するため、「地域生活支援拠点等の整備」に向けた取組みを進めるとともに、関係機関の重層的な連携による、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」を目指します。また、医療的ケアを必要とする重症心身障害児への対応を含め、支援が必要な全ての児童に途切れのない療育が受けられる体制づくりを目指します。
 高齢福祉については、認知症の早期診断・早期対応に向けて相談体制をより強化するとともに、認知症への理解を深めるための普及・啓発や地域での見守り体制づくりを進めます。また、「地域包括ケアシステム」の構築を進めるため、在宅医療・介護連携推進事業を推し進めるとともに、介護予防・重度化防止のための事業や介護職員確保対策事業に取り組みます。
 健康づくりについては、健康寿命の延伸を目的に、市民の皆様の自発的な健康行動を盛り上げるため「健康づくりプロジェクト事業」を進めます。平成31年度は、市内の企業に対し、従業員への取組みの働きかけや特典の協賛をお願いするなど、企業との協働により推進したいと考えています。さらに、生活習慣病を予防するための「特定健診・特定保健指導」の必要性や効果を広く周知し、重症化予防と未受診者対策に取り組むとともに、がん対策では、検診による早期発見、早期治療に努めます。また、健康を維持・増進するため、地域に根付いた「郡上の食育」を、関係団体や部局を越えたネットワークにより推進します。
 自殺予防については、各世代に沿ったきめ細かな相談体制をとるよう、関係機関等との相互連携を強化します。また、健康増進法の一部改正に基づき、「望まない受動喫煙防止の対策」を、市内関係組織との協力、連携のもとに進めてまいります。
 公立2病院では、医療サービスを安定的に提供するため、計画的な医療機器の整備・更新や医療従事者の確保対策を進めるとともに、民間医療機関との連携により地域医療体制の強化に努めます。郡上市民病院では昨年10月に新たに血管造影装置を導入し、急性心筋梗塞など緊急を要する対応も一部可能となりました。また、国保白鳥病院と診療所群からなる「県北西部地域医療センター」では、医療機関相互の連携や協調、へき地医療の充実等を目指し、「地域医療連携推進法人制度」の導入を引き続き検討します。
 なお、公立2病院と市内診療所群においては、人口減少や高齢化の進展など、医療需要が大きく変化する中で、地域の皆様が安心して暮らせるよう、急性期医療やへき地医療への対応等に配慮するとともに、岐阜県地域医療構想で示す中濃圏域の医療提供体制の見直しの中で、関係機関とともに市内の公立・民間医療機関の適正な役割分担や病床規模等の調整、急性期医療やへき地医療への対応等について検討を行ってまいります。
 国民健康保険については、被保険者の減少と高齢化という構造的な問題を抱える中で、安定的な財政運営の基盤を構築するために、県が財政の責任主体として市町村とともに保険者となって2年目を迎えます。本市の国民健康保険は、被保険者の高齢化や医療の高度化により1人当たりの医療費が増加しておりますが、公費の確保や基金の取り崩し等により、国保税負担の増加抑制に努めてまいります。
 以上、『健康・福祉』の施策に124億9,733万円(一般会計32億8,848万円、特別会計89億9,628万円、企業会計2億1,257万円)を計上しました。

4.教育・文化・人づくり(香り高い地域文化と心豊かな人を育むまち)

 次に、4つ目の柱である『教育・文化・人づくり』についてであります。
 本市の教育は、「第3期郡上市教育振興基本計画」(平成31~36年度)に掲げるめざす姿、「たくましく共に生きる郡上人の育成・生きがいと希望にみちた社会の実現」に向け、学校・家庭・地域・関係機関が連携を深めながら、各種施策を推進してまいります。
 「郡上市学校体制検討委員会」から答申をいただきました小中学校の適正規模・適正配置については、「(仮称)郡上市学校規模適正化計画」を作成し、保護者や地域の皆様と協議を進めてまいります。
 就学支援については、無利子の奨学資金の貸付や教育ローンの利子補給を引き続き実施するとともに、奨学資金返還の一部免除制度の利用を促進し、卒業後における若者の市内へのUターンにつなげてまいります。
 学校教育では、生命(いのち)と人権の尊重を基盤として、確かな学力と豊かな心を育む教育を推進します。また、誰もがそれぞれに持つ能力や可能性を最大限に発揮できる教育環境の整備に努めてまいります。特に、学力向上事業では、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等の強化とともに、学びに向かう力や人間性等の涵養を目指した教育を推進します。夢づくり教育事業では、「郡上学」でのふるさと体験学習と併せてキャリア教育の推進を図るとともに、本物に触れる「夢教室」を充実させます。心の教育推進事業では、「命の教育カリキュラム」を改訂し道徳教育の推進を図るとともに、不登校やいじめの未然防止と早期発見・早期対応を目指した事業を推進します。
 社会教育については、公民館を中心に各種行事や講座等を開催し、市民の生涯学習活動を支援します。また、身近に起きた災害を振り返り、防災について考えることを目的に、市内に残されている資料や写真等の巡回展示等を予定しています。
 文化施設整備については、短歌活動の拠点として、島津忠夫文庫と多目的交流スペースを有する「短歌の里交流館よぶこどり」が8月に完成することから、特別展示や記念講演、現代歌人対談などの開館記念事業を計画しております。また、重伝建地区に隣接する旧八幡公民館(積翠荘)の跡地を活用して、郡上八幡の歴史的町並みや伝統文化を紹介・体験できる施設を「(仮称)郡上八幡まちなみ交流館」として整備し、情報発信や来訪者と地元住民の交流等を行う拠点としての活用を目指します。昭和48年に県の史跡に指定された大和町の篠脇城跡や、隣接する東氏館跡(昭和62年に国の名勝に指定)については、有識者による検討委員会の設置や地形測量等、総合的な調査を推進し、一体として国史跡名勝の指定を目指します。
 スポーツ振興については、市民が自発的に健康や体力の維持増進に取り組み、より豊かな人生を送るために、ライフステージや体力に応じたスポーツへの参画を提案し「1市民1スポーツ」を推進します。また、少年スポーツ活動に対する支援を行うとともに、郡上市スポーツアドバイザーを活用した指導者研修等を実施し、スポーツ指導者の資質向上を図ります。
 スポーツツーリズムの推進については、ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機とした国際的なスポーツ交流や、全国レベルの大会、合宿の誘致を推進して地域の活性化を図るとともに、トップアスリートとの交流を通じて子どもたちが夢を持ち、生涯を通してスポーツに親しむことができるよう取組みを進めます。また、大会や合宿誘致を前進させるために、運営に係る支援、ニーズ調査、情報発信などを総合的に行う組織として「郡上市スポーツコミッション」を設立し、関係団体と連携して合宿地としてのブランド化を図ってまいります。 以上、『教育・文化・人づくり』の施策に9億2,149万円(一般会計8億8,593万円、特別会計3,556万円)を計上しました。

5.自治・まちづくり(市民と行政が協働でつくるまち)

 次に、5つ目の柱である『自治・まちづくり』についてであります。
 少子化、高齢化、人口減少社会の中にあって、持続可能な地域社会を創るためには、住民自治基本条例に定める協働によるまちづくりを引き続き推し進めていく必要があります。「魅力ある地域づくり推進事業」や「団体提案型協働事業」の推進等、郡上市市民協働センターを中心に市民力を引き出し、そして共に育てる取組みを推進します。また、昨年8月に初めての開催となった市民参加型の「地域づくり交流会」や、中高生からまちづくりに対する提案を募る「Good 郡上プロジェクト」などを通じて、地域づくりを「自分事」として捉え、行動する人材や担い手づくりに取り組みます。
 交流移住推進事業では、地方創生総合戦略の基本目標のひとつである「郡上市への新しい人の流れをつくる」を実践するため、社団法人化された郡上・ふるさと定住機構に移住・定住に関するワンストップ窓口を設置し、空き家バンクの利用促進やUターン潜在層に向けた動画を活用した郡上らしい働き方の提案などに取り組み、郡上への人の還流を目指します。
 郡上カンパニープロジェクト推進事業においては、郡上の人やコト、モノにつながりながら起業を目指す、ベンチャーパートナー第2期生が新たなプロジェクトをスタートするほか、郡上カンパニーや郡上藩江戸蔵屋敷等を拠点として、郡上を応援する新たな担い手でもある関係人口の創出にも力を注ぎ、多様な人材を取り込みながら地域づくりの実効性を高めていきます。
 現在改修工事を進めている「旧越前屋」については、歴史的建造物として町屋の暮らしぶりが見学できる施設として、また、郡上のものづくり文化等を発信する場所として活用するほか、人々が集い交流するまちづくりの拠点となるよう運営体制を整え、魅力あるまちづくりにつなげます。
 男女共同参画の推進については、昨年4月に施行した郡上市男女共同参画推進条例に基づき、市民や事業者の皆様、教育や保育に携わる皆様と基本理念を共有し、一丸となって男女共同参画社会の実現に向け取り組んでまいります。また、第2次男女共同参画プランが平成31年度末をもって終了することから、市民の皆様の意見をいただきながら第3次となる男女共同参画プラン策定に取り組みます。
 人権啓発については、本市の人権施策を総合的に推進するための方向性や方策等を示す「郡上市人権施策推進指針」の策定に着手します。
 国内の都市交流については、友好都市との産業、文化、スポーツ等を通じた民間交流の活性化を図るとともに、本市の情報発信と地域資源の販売展開等、経済交流の推進に引き続き取り組んでまいります。なお、フランス アルザス地方のカイゼルスベルクとの交流については、相互に写真展を行うなどして、引き続き交流・連携の方策を探ってまいります。また、郡上市合併・市制施行15周年にあたり、今後も継続した市政の発展を目指し、「ふるさと郡上」に寄せる市民意識の醸成を図るよう、「15周年記念事業」を市域で連続的に行います。併せて「郡上市白書」ともいうべき各分野の15年間の行政記録や記念冊子を取りまとめ、これまでの取組みの検証とこれからの市政運営への活用を図ります。 以上『自治・まちづくり』の施策に1億9,521万円(一般会計1億9,521万円)を計上しました。

6.地域振興(個性あふれる地域づくりを推進するまち)

 次に、6つ目の柱である『地域振興』についてであります。
 個性あふれる地域づくりに向けて、引き続き振興事務所長の裁量(所長枠予算)において、それぞれの地域の伝統文化や自然などの地域資源を活用した振興施策を、地域協議会、各種地域づくり団体等と連携して推し進めます。
 また、自治会や地域づくり団体等が行う活動を支援し、魅力ある地域づくりを進めます。

7.行財政運営(健全な行財政運営を実行するまち)

 最後に、7つ目の柱である『行財政運営』についてであります。
 平成31年度には、地方交付税の合併算定替特例や合併特例債の発行といった合併に伴う財政上の特例措置が無くなり、市の財政は依然として厳しい状況にあります。現在、策定を進めている第3次行政改革大綱では、「市民協働による自治力の向上」、「公共施設等の適正な管理」、「社会情勢の変化に対応した行政運営」など5項目を基本方針に掲げ、身の丈に合った行財政の確立を目指して取組みを進めることとしています。特に公共施設については、個々の施設の将来的な方向性を示す「公共施設適正配置計画」の策定に当たり、昨年8月から12月にかけて各地域で市民ワークショップを、今年2月初旬には利用者団体によるワークショップを開催し、現時点での市の考え方を示しご意見を頂戴してきたところです。今後においては、公共施設適正配置計画検討会議で検討をいただきながら、9月末の計画策定を目指すとともに、策定過程で出された課題等の解決に取り組み、公共施設の計画的な適正配置、保全に努めます。
 また、第2次郡上市総合計画前期基本計画の計画期間が平成32年度(2020年度)までであることから、後期基本計画の策定に着手します。 歳入面では、自主財源確保のため適正かつ公平な課税を心がけるとともに、滞納税額の削減に一層努力します。また、歳出面では、経常的経費の抑制など、可能な限りの経費削減に更に取り組んでまいります。
 職員給与費については、平成30年人事院勧告により、給料や諸手当がプラス改定となりましたが、予定数の新規採用が確保できなかったことによる職員数の減や職員の定年退職等に伴う若年層職員との入れ替わりなどの理由により、一般会計で2,208万円の減、特別会計では、4,801万円の減となりました。なお、病院事業会計においては、医師等医療職の確保等による給料及び時間外勤務手当の増が見込まれることから、9,988万円の増となり、全会計では2,979万円の増となりました。職員の給与については、民間給与や国家公務員給与との均衡の原則、職務と責任に応じて支給する職務給の原則を踏まえ適切に措置するとともに、定員適正化計画(第3次改訂版)に基づき、定年退職者の再任用、定年延長等の動向に留意しつつ、引き続き定員の適正な管理を進めてまいります。
 一般会計における公債費では、「中期財政試算」に基づくこれまでの地方債の借入額抑制や繰上償還により、元利償還金は40億6,981万円で、平成30年度当初予算からは2億2,446万円の減となっています。また、平成29年度決算による実質公債費比率は12.7%となり、着実に財政健全化への取組み効果が表れています。ただし、冒頭の「予算編成について」で申し上げたように、この実質公債費比率については、今後若干の上昇が見込まれるところです。なお、平成31年度末の市債残高見込みは334億2,351万円となり、平成30年度末見込みに対して、13億5,814万円の減額となる見込みです。
 これらの、『行財政運営』の分野の施策に、人件費や公債費を別にし9,120万円(一般会計9,120万円)を計上しました。

 

 以上、市政運営の基本的な考え方と、新年度当初予算案の編成方針並びに諸施策の概要を申し上げました。引き続き財政運営の健全化に努めながら、市が直面する多くの課題の克服と市民サービスの一層の向上、そして地方創生の推進に向けたこれらの施策を着実に実行してまいりたいと考えております。
 今後とも、議員の皆様並びに市民の皆様の市政全般に対するご支援とご協力をお願い申し上げます。

 平成31年2月26日

郡上市長  市長:日置敏明

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0575-67-1147

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