本日ここに「令和3年郡上市成人式」を挙行するにあたり、式辞を申し上げます。
　ご来賓の皆様方には、ご多用の中、ご臨席を賜りまして誠にありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。
　本来でありましたら、この式典は新年1月10日に開催を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の全国的な感染拡大により、式典に参加される新成人の皆様やそのご家族、関わってくださる方々すべての安全の観点などから熟慮した結果、5月2日に開催を延期しました。しかし感染拡大は収まらず、2度目の延期を余儀無くされ、本日11月21日に開催することとなったところです。新成人や関係者の皆様には、ご迷惑をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。
　なお、本日の式典も、新型コロナウイルス感染防止の観点から、通常であればご出席いただく方々の数を制限をさせていただきましたが、どうぞご理解のほどよろしくお願いいたします。

　さて皆さん、「成人」おめでとうございます。本日晴れて成人式を迎えられました郡上市の新成人は、南部（八幡会場）211名、北部(白鳥会場)244名の合計455名です。郡上市民を代表して心よりお祝い申し上げます。
　また、皆さんを今日まで愛情深く育ててこられましたご両親をはじめ、ご家族の皆様にもお慶び申し上げます。学校においてご指導いただきました諸先生方や、温かく見守っていただきました地域の方々にも、改めて敬意と感謝の念を表したいと存じます。

　今年の新成人の皆さんは、平成12年4月2日から翌13年4月1日までに生まれ、平成28年3月に中学校を卒業された方々であります。
　「『成人』になる」とはどういうことであるのか。今日は、お一人おひとりが自分自身にそのことを問いかけてみてください。そして、これまで生きてこられた20年余を振り返りながら、今日を節目としてこれから迎える歳月に想いを馳せてください。「自分はこれからどう生きていくのか」問いかけてください。
　未だ終息が見えない新型コロナウイルス感染症の影響によって、日常生活のあり方が変化し、従来にはなかったような新しい生活が生まれています。この極めて異例な状況の中で成人を迎えられる皆さんにとっては、時代が大きく変わりつつある中で大人の一員としての一歩を踏み出すこととなります。
　これからの時代は、「生きる力」、それ以上に「生き抜く力」が必要であると言われています。多くの困難も予想される新しい時代を生き抜いていくことは容易なことではないかもしれません。生き抜くためには、めまぐるしく変化する社会に対応できる柔軟性、また高い志や意欲をもって、自ら考え行動する主体性が必要となります。この「生き抜く力」を養っていくことが、自分自身のたった一度の人生を豊かなものにしていこうとする信念や自信へと繋がっていくのではないでしょうか。
　母方の祖父が白鳥町の出身であるというご縁で、2018年から「郡上市スポーツ親善大使」を務めていただいている、水泳の池江璃花子選手も、今年皆さんと同じく成人を迎えられました。
　彼女は、2018年にアジア大会で日本人初となる六冠を達成し、大会MVPに輝くなど、エースとしての期待を一身に浴びる存在でしたが、2019年2月に白血病と診断され、競技生活から一時離れることを余儀無くされることになりました。激しい副作用を伴う抗がん剤治療などによる治療中の自身を支えたのは、「何があっても水泳を続けたい」という強い意志と、「これを乗り越えたらまた一段と強くなった自分が待っている」という希望だったそうです。ネガティブ思考になるときもあったようですが、「大丈夫、大丈夫、いつか終わる」と自分を励まし、ポジティブな感情を持ち続け、約10か月の闘病生活を経て、2019年12月に退院されました。本年開催された東京2020オリンピック競技大会では、3種目に出場し、その内「競泳女子4×100メートルメドレーリレー」では、第3泳者として予選1組に出場し、全体順位6位で予選を突破、決勝では8位入賞という輝かしい成績を収められました。現在は2024年のパリオリンピックを目標に練習に取り組んでおられます。白血病との闘いという本当に辛い状況を経験し、乗り越えてきた彼女の努力には、とても勇気づけられ、目標に向かって突き進む池江選手の「生き抜く力」を見るとともに、尊敬の念を抱くものであります。

　人生は、楽しいことばかりではなく、時には壁に突き当り、悩み、辛い思いをすることもあるものです。そんな時、あなたの周りには、いつでも見守ってくれる家族や仲間、人生の先輩がいるはずです。助けてもらうこと、支えてもらうことは決して恥ずかしいことではありません。池江選手のように、何事もプラス思考で前向きに捉えていける考え方を磨き、逆境にくじけず、強く生き抜いてください。

　皆さんが生まれ育った自然豊かで文化の香り高い郡上市は、少子高齢化、人口減少など様々な問題に直面しながらも、「ふるさと郡上」を守り続けるために各種の施策に取り組んでいます。「郡上人」が持つ温かさ、優しさ、強さが次代を担う皆さんに受け継がれていくことを願っています。そして、一人でも多くの人が、これからの「ふるさと郡上」に関わっていただくことを期待しています。

　今日の佳き日に当たり、皆さんのご家族だけでなく、多くの郡上市民の方々が新成人の皆さんを祝福しています。そして、これからの国や地域社会を担う若い皆さんの力に大きな期待を寄せています。本日お配りしました記念品の中に「国際ソロプチミスト岐阜-郡上」様からのお祝いとして「オリジナルコンビニエコバッグ」（買い物袋）が贈られています。このバッグは、美並町にある障がい者福祉施設「すみれ作業所」の皆さんが、一つひとつ心を込めて作られたものです。皆さんに少しでも環境や福祉について関心を持っていただきたいとのメッセージが込められています。その他にも、郡上地区交通安全協会、郡上食育応援隊、郡上市雇用対策協議会など団体から数々のお祝いの品や資料をいただいております。これらの品々には、周囲の方々の温かな見守りの気持ちと、皆さんへの熱い期待が込められていることを忘れないでいただきたいと思います。

　また、本日の成人式を挙行するに当たっては、昨年9月から、新成人の皆さんで構成される実行委員会のメンバーが中心となって準備を進めていただきました。日程やアトラクションの中止など、計画の変更という曲折があった中での今日までのご尽力に対し、御礼を申し上げます。
　皆さんの洋々たる前途に幸多からんことを祈念し、併せて、ご参集の皆さまのご健勝をお祈り申し上げ、私の式辞といたします。

　令和3年11月21日

郡上市長