(1)「家族経営協定」とは
家族経営協定とは、家族農業経営にたずさわる各世帯員が、意欲とやり甲斐を持って経営に参画できる魅力的な農業経営を目指し、経営方針や役割分担、家族みんなが働きやすい就業環境などについて、家族間の十分な話し合いに基づき、取り決めるものです。
(2)「家族経営協定」を結ぶ目的
わが国の農業は、家族単位で農業を営む家族経営が大半を占めています。
家族農業経営は、家族だからこその良い点がたくさんありますが、経営と生活の境目が明確でなく、各世帯員の役割や労働時間、労働報酬などの就業条件が曖昧になりやすく、そこから様々な不満やストレスが生まれがちです。
農業経営を経営主だけでなく、配偶者や後継者にとっても、魅力的でやり甲斐のあるものにするためには、家族みんなが主体的に経営に参画でき、意欲と能力を存分に発揮できる環境を整備することが重要です。
家族経営協定の締結をきっかけとして、目指すべき農業経営の姿や、家族みんなが意欲的に働くことが出来る環境整備について、家族間で十分に話し合うことが、農業経営の改善につながります。
(3)「家族経営協定」を結ぶ手順
- 家族で話し合います
わが家の経営の現状や課題を整理し、今後の経営方針、家族の就業条件、生活の目標など要望を話し合い、明らかにします。 - 対策を考えます
話し合いを踏まえ、わが家の経営課題の解決方法や、経営方針や生活目標を実現するための具体的対策について、どのような取り組み(協定)が必要かを検討し合い、項目をあげます。 - 協定を結びます
家族で話し合った結果を文書にすると、取り組む内容がより明確になりますので、まず協定書の試案を作ってみます。何から取り組むか家族間で検討、普及指導センターや農業委員会などの指導機関からの意見もきいてみます。協定を結ぶときは家族員だけでなく、指導機関の立ち会いがあると、さらに確かなものになります。 - 協定を実行し内容を見直します
結んだ内容が実行されているか見直し、必要があれば新たな項目や内容を追加しましょう。できれば定期的に(年に1回は)見直し更新するようにしましょう。
(4)「家族経営協定」を結んだときのメリット
家族経営協定を結び、経営に参画している女性農業者・農業後継者には、農業者年金、農業改良資金等の制度の中で、つぎのような便ぎが図られています。
- 認定農業者制度(平成15年6月~)
実質的に共同経営を行っている場合、収益の配分と経営方針決定への参画が明確にされている家族経営協定が結ばれていること等を要件に、夫婦等による認定農業者の認定の共同申請が認められています(女性農業者や農業後継者も、パートナーとともに認定農業者となることが可能)。なお、平成20年より、同一世帯に属する者に加え、かつて同一の世帯に属していた者(後継者、その配偶者を含む)が世帯を独立した場合でも、共同申請が認められるようになりました。 - 農業者年金(平成14年1月~)
青色申告をしている認定農業者等と家族経営協定を締結して、経営に参画している配偶者、後継者に対しては、基本となる保険料(20,000円)のうち一定割合の国庫助成(政策支援)が行われます。 - 農業改良資金・農業近代化資金・経営体育成強化資金(平成14年7月~)
女性農業者や農業後継者が当該資金の貸付を受けようとする場合、家族経営協定を結んでいることを要件の一つとしています。 - 農地のあっせん(平成15年度~)
家族経営協定において、経営内での役割分担が明確化され、夫婦共が経営方針の決定に参画しており、かつ以下のような協力関係があって、両者共が共同経営主であることを確認できる場合には、あっせん名簿にその両者を登録することができます。- 農産物の出荷者名が共同名義となっているか、若しくはそれぞれが出荷者となっている経営部門が実際にあること
- 収入の分配について明確に規定され、かつ実施していること
- 果実等生産出荷安定対策(平成19年度~)
「認定農業者又は果樹園経営計画の認定を受けた者と同等の果樹農業の担い手と認められる者であって、家族経営協定を締結し経営に参画している配偶者」も対象生産者となることができ、果実計画生産推進事業の支援を受けることができます。 - 農林水産祭参加の表彰行事における夫婦連名表彰(平成13年度~)
経営への配偶者の貢献度が高いことが明らかな場合には夫婦連名で表彰が受けられます。その際、下記ののいずれかで確認することとなっています。- 家族経営協定書
- 作業日誌等、当該表彰に係る部門における経営主の配偶者の部門分担、従事日数等が概ね5割に達していると確認できる書類
- 農業普及指導センターなどの現場指導組織による意見書
(5)「家族経営協定」を結んだときの効果(実際の農業者の声より)
- 経営理念や経営方針を家族みんなで共有できるようになり、家族全員の経営意識が向上した。
- 経営のこと以外についても話し合う機会が増え、家族みんなで協力し合い、結束が強まった。
- 役割分担や就業規則の取り決めを通じて、経営の合理化が進んだ。
- 共同申請制度を利用して、後継者や配偶者も認定農業者になった。また、配偶者や後継者が利用できる制度的なメリットもあるので経営にゆとりができた。
- 部門を任されるようになって、以前よりも責任とやりがいを感じる。
- 決まった給与を貰えると、将来設計が立てやすくて助かる。
- 気持ちと時間の余裕が生まれ、研修や地域活動に参加しやすくなった。
- 後継者へ経営移譲がスムーズにできそうだ。
詳細については、「家族経営協定」のすすめをご覧ください。
「家族経営協定」のすすめP1~P4(pdf・4.3MB)
「家族経営協定」のすすめP5~P10(pdf・3.3MB)
家族経営協定を結びたい方は、いつでも相談に応じます。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
【お問い合わせ先】
郡上市 農林水産部 農務水産課 TEL 0575-67-1835(直通)
郡上農林事務所 農業普及課 TEL 0575-67-1111(代表)