◎所得税が軽減されます
◎農業経営基盤強化準備金制度を利用することができます
◎農業者年金制度の政策支援(保険料の国庫補助)を受けることができます
◎所得税が軽減されます
1.青色申告特別控除を受けることができます
不動産所得または事業(農業)所得を生ずべき事業を営む青色申告者で、正規の簿記(一般的には複式簿記)を記帳し、確定申告書に「貸借対照表」や「損益計算書」を添付する場合には、最高65万円を控除することができます。
「貸借対照表」...一定時点における経営の財政状態をあらわす表のこと。この表は、資産=負債+資本の等式(「貸借対照表等式」という)にしたがって作成されます。
「損益計算書」...一定期間における経営の収益と費用の明細を示し、経営成績を明らかにした表のこと。この表は、費用+純利益=収益の式(「損益計算書等式」という)にしたがって作成されます。
※上記以外の青色申告者については、不動産所得の金額、事業(農業)所得の金額または山林所得の金額から最高10万円を控除することができます。
2.専従者給与を必要経費に算入できます
青色申告者と生計を一にする15歳以上の親族で、もっぱら農業に従事している場合(6か月以上)、支払った給与が労務の対価として適正な金額であれば、全額必要経費に算入できます。
※白色申告者の場合には、給与の支払いの有無にかかわらず50万円(申告者の配偶者は86万円)を必要経費とみなすことができます。
※新規で申請する場合は、「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄税務署長に届け出る必要があります。なお、専従者給与を変更する場合は、随時「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を届け出る必要があります。
3.減価償却費の特例があります
減価償却費は農業経営の用に供している建物や機械、車両等の固定資産の取得価額を、一定の方法でその資産の使用可能年数に規則的に配分して各事業年度の費用とします。
青色申告者の場合、特例として、その事業年度の減価償却費に加え、一定の要件により取得価額の一定割合を償却する「特別償却費」を必要経費に算入することができます。
◆詳細については、少額減価償却資産の取得価格の損金算入の特例(新しいウィンドウが開きます)をご覧ください。
4.中小企業等投資促進税制を利用することができます
農業用機械等を取得した場合、特別償却または税額控除の特例を受けることができます。対象機械等の限定が少なく、使いやすい税制です。
◆詳細については、中小企業等投資促進税制(新しいウィンドウが開きます)をご覧ください。
5.家事関連費を必要経費に算入できます
青色申告者の家事関連費は、取引の記録等によって農業経営上直接必要であったことが明らかにされれば、必要経費とすることができます。
6.貸倒引当金を必要経費に算入できます
貸倒引当金とは、貸借対照表に計上される、売掛金や貸付金等の金銭債権に対する将来の取立不能見込額を見積もったものです。必要経費については、通常減価償却費を除き原則として債務の確定したものに限られますが、貸倒引当金は、その年の12月31日の帳簿価額の5.5%に相当する金額を限度として、必要経費に算入することができます。
なお、必要経費に算入された貸倒引当金の額は、その繰入れをした年の翌年分の事業(農業)所得の金額の計算上、総収入金額に算入(繰戻し)することになります。
7.現金主義による所得計算の特例を受けることができます
事業(農業)所得または不動産所得がある青色申告者が前々年の事業(農業)所得と不動産所得の金額の合計額が300万円以下(青色事業専従者給与額や白色の事業専従者控除額を差し引く前の金額)である場合には、その年において実際に入金した売上や雑収入の金額(家事消費等含む)と実際に出金した仕入れや経費の金額(減価償却費等を含む)を基として計算する特例を受けることができます。
★「現金主義」による所得計算について
所得を計算するにあたり、売上や経費はそれらの事実がその年において発生したときに計上するのが原則であり、これを「発生主義」といいます。
これに対して、売上や経費をそれらの事実の発生時ではなく、その年において実際に入金や出金したときに所得を計算する方法を「現金主義」といいます。
(例)12月15日に肥料を購入し、代金は翌年の1月15日に支払った場合、発生主義では12月15日の属する年の経費として計上しますが、現金主義では翌年の経費として計上します。
※現金主義による所得計算を行うときは、「現金主義による所得計算の特例の適用を受けることの届出書」を所轄税務署長に届け出る必要があります。なお、この届出を青色申告の承認申請と同時に行うときは、「所得税の青色申告承認申請書兼現金主義の所得計算による旨の届出書」を提出することになります。
8.純損失の繰越控除を受けることができます。または繰戻しによる還付を請求することができます
・純損失の繰越控除
事業(農業)所得の金額の計算上生じた損失(赤字)の金額を、一定の順序にしたがって損益通算し、なお、控除しきれない金額(純損失の金額)がある時は、純損失の生じた年の翌年以降、個人の場合は3年間にわたり繰越すことができます。
※法人の場合は、「平成23年度税制改正大綱」により、欠損金の繰越控除制度について見直しが行われ、青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間及び連結欠損金の繰越期間を9年(現行7年)に延長することとされました。詳細については、財務省ホームページ(新しいウィンドウが開きます)よりご覧ください。
・純損失を生じた年の前年分も青色申告を実施している場合
その純損失の全部または一部を前年分に繰り戻して、前年分の所得税の額を限度として、所得税の還付を請求することができます。
以上のように、青色申告を実施すると、様々な所得税法上の特典を受けることができます。なお、青色申告を実施した場合には、所得税だけでなく、結果的に住民税も軽減されることになります。
◎農業経営基盤強化準備金制度を利用することができます
農業経営基盤強化準備金制度とは?
- 担い手の方が、水田・畑作経営所得安定対策などの交付金や補助金を農業経営改善計画などに従い、農業経営基盤強化準備金として積み立てた場合、この積立額を個人は必要経費に、法人は損金に算入できます。
- さらに、農業経営改善計画などに従い、5年以内に積み立てた準備金を取り崩したり、受領した交付金などをそのまま用いて、農用地や農業用機械等の固定資産を取得した場合、圧縮記帳(※1)できます。
※対象となる農業用固定資産 〇農用地 農地、農地以外の耕作用地、採草放牧地 〇農業用の機械その他の減価償却資産 農業用の構築物と農業用設備(機械及び装置)など (例)果樹棚、ビニールハウス、用排水路、暗きょ、トラクター、乾燥機、精米器、飼料裁断機など 注)建物、建物附属設備、車両及び運搬具などは、対象となりません。中古品も対象となりません。 |
このように、積立額を必要経費(損金)に算入したり、農業用の固定資産の圧縮記帳を行うことで、税金を軽減することができる制度です。
※ただし、積立てから5年を経過した準備金は、順次、総収入金額(益金)に算入され、課税対象となりますので、ご注意ください。
○特例を受けようと思う担い手の方は、一定の方法で記帳(※2)し、確定申告を青色申告で行う必要があります。
※1 圧縮記帳とは、交付金等により取得した農業用固定資産の帳簿価額を一定額まで減額し、その減額分を必要経費(損金)に算入することにより、その年(事業年度)の課税事業所得(所得)を減額する方法です。
※2 複式簿記による記帳が原則ですが、個人の場合は、現金出納帳、売掛帳、買掛帳等を備え付けて簡易な記帳をするだけでも特例が受けられます。
◆農業経営基盤強化準備金制度の詳細については、コチラ(新しいウィンドウが開きます)をご覧ください。
なお、農業経営基盤強化準備金制度の適用を受けるためには、対象となる金額についての農林水産大臣の証明書が必要です。この証明・申告手続は、地方農政事務所(郡上市の場合「東海農政局 岐阜地域センター」)で行います。お気軽にお問い合わせください。
「東海農政局 岐阜地域センター」
〒500-8288
岐阜市中鶉2-26
TEL058-271-4044
◎農業者年金制度の政策支援(保険料の国庫補助)を受けることができます
認定農業者で青色申告をしているなど、農業の担い手となる方には、国から月額最高1万円の保険料補助があります。
◆農業者年金制度の政策支援の詳細については、コチラ(新しいウィンドウが開きます)をご覧ください。 (P3参照)