現状と課題
国・地方ともに厳しい財政運営を迫られている現在、国においては、地方交付税制度や国庫補助金の見直しを進めており、今後の自治体運営は、さらに厳しさを増すことが予測されます。
一方、地方分権の推進が求められるなか、効率性に優れ、投資効果の高い地域経営を進めるため、行政経営の発想に立った自治体改革が求められています。
本市では、合併時に総合支所方式を導入し、市民の利便性の確保を図るなど、公共サービスの維持に努めています。
しかし、財政制度をはじめとする自治体を取り巻く環境の変化は、予想を上回る速さで進行しています。今後は、財政状況と市民ニーズを十分勘案し、行政機能の見直しを含めた効率的な組織改革を進めることが求められます。加えて、複雑化・多様化する地域課題の解決に取り組み、より市民の満足度を高めていくには、行政がサービスを提供し、住民が受益者となってきた従来の行政と市民の関係を、協働と補完の原則に基づく、市民と行政の協働の関係へと転換することが必要です。
このため、情報公開によるまちづくり情報の共有、目的志向・成果重視の行政づくり、住民が主体となって行うまちづくりへの支援、協働のまちづくりを確実に進めるための仕組みづくりが求められています。
また、市民主体のまちづくりを進めるためには、市民が人としてお互いに認め合い助け合いながら、男女がともに参画できるまちづくりを進めていくことも必要となっています。
施策方針
1.市民主体のまちづくりを支える協働の仕組みを整えます
分権型社会に求められる「協働と補完の原則」とは、地域(集落)の課題は、まず、住民自らが認識し、考え、解決のために行動し、それでも解決できない領域については、行政とともに考え、行動しようという考え方です。同時に、それぞれの地域の将来のあり方について住民がみんなで考え、調整を行い、計画的に地域づくりを進めていくことが求められています。
この「協働と補完によるまちづくり」を進めていくために、地域(集落)単位でのコミュニティ活動の充実を図るとともに、住民自治組織として機能が発揮できるよう 育成に努めます。また、行政組織にコミュニティ担当部署を設置し、住民自治の支援に取り組みます。
また、本市には多くのNPOが設立されるなど、従来の地縁にとらわれない、自由な市民活動が育ちつつあります。関心領域やまちづくりのテーマごとに、多くの市民活動が展開されることを支援するため、地域の枠を超えた市民活動に対する支援制度の充実を図ることとします。
2.男女共同参画社会の形成をめざします
人々の価値観やライフスタイルは多様化しており、性別にかかわりなく自分の持っている個性や能力を十分に発揮したいと考える人が増えています。
男女のあり方が見直される中で、これからは、人としてお互いに尊重しあい、責任を分ち合いながら社会に参加することができる環境づくりが必要です。まちづくりの過程や意思決定の場へ男女が等しく参加できる機会を作ることや、育児や介護が負担とならないような社会システムを作ることなど、男女共同参画社会の形成をめざすうえで必要な取り組みを推進するとともに、その実現のために市民意識の高揚に努めます。
3.市民主役のオンリー・ワンプロジェクトを進めます
市民一人ひとりの価値観や生活様式が多様化している今日、地域課題の解決にあたって、より柔軟な発想で対応していく必要があります。 あわせて、協働と補完のまちづくりを推進する上から、地域の課題はまず、地域住民自ら解決にあたる努力が求められます。
そこで、「市民が自ら考え、自ら行動する」ことを基本に、地域の資源と市民の自由な発想を生かして、身近な地域の生活環境の向上に取り組む、地域自治プロジェクトである「オンリー・ワンプロジェクト」を促進します。
市民が自主的に取り組むオンリー・ワンプロジェクトの支援をとおして、住民が主役となるまちづくりの実現をめざします。あわせて、その成果をシンボル施策「交流のまちプロジェクト」と融合させることで、コミュニティ・ビジネスや身近な地域環境の充実など、多様な相乗効果の創出を図ります。
4.市民にとって身近な市役所をめざします
ICTの普及を背景として、本市をはじめ全国の自治体では、インターネット等を活用した行政サービス機能の充実を図っており、利用者の便益が向上しています。また、市民と職員の信頼を築き、あらゆる世代に安心してもらえる市役所づくりには、市民にとって気軽に訪れることのできる身近な市役所であることが一層求められます。
このため、電子自治体の整備を進める一方で、市民にとってわかりやすく、利用しやすい一元的な窓口サービスの提供に取り組みます。
5.市民の行政参画機会を広げます
まちづくりに住民の参画機会を広げるとともに、「協働と補完の原則」を具体的に進める視点から、市民による行政参画を進めるためのルールづくりや、仕組みづくりを進めることとし、まちづくり基本条例の制定や住民合意手続きのルール化の検討などに取り組みます。
6.成果を重視する効率的な行財政運営を進めます
厳しい財政運営が続くなか、最小コストで最大の効果を生み出すことで、住民満足を高める「行政経営」の視点に立った行財政運営が必要になっています。
財政運営と政策推進を最適化し、効果を生み出す仕組みとして、行政の内部管理を合理化する事務事業評価制度と、本計画に基づくまちづくりの取り組みを効率化する政策評価制度の導入を図ります。
あわせて、行政組織のあり方についても、より効率的で有効な体制づくりを検討するなど、自律する郡上市をめざし、市民起点、目的志向、成果重視による自治体改革を進めます。
7.情報公開を推進します
市民・地域・民間・行政が、力をあわせ、協働のまちづくりに取り組んでいくには、各種行政情報を積極的に提供、公開していくことで、誰もが同じ情報を共有できる環境をつくっていかなくてはなりません。
このため、郡上ケーブルテレビやインターネットの活用による行政情報の提供や、広報誌の充実を図るとともに、積極的に公聴会を開催するなど、多様な広報公聴活動に取り組みます。
また、市情報公開条例の適正な運用に努めるとともに、条例が、市民自治の向上に結びつくことをめざして、制度の趣旨や利用方法などについての啓発を進めます。
一方、ICTの利用拡大に伴い、個人情報保護の重要性が高まっています。市民の個人情報の保護に万全を期すため、セキュリティー対策をはじめとした情報管理体制の充実を図ります。