基本構想答申書(総合計画審議会)
平成17年12月2日
郡上市長 硲 孝司 様
郡上市総合計画審議会
会長 寺田 澄男
郡上市総合計画基本構想について(答申)
平成17年3月30日付け企調第412号で諮問のありました「郡上市総合計画基本構想」について、下記のとおり答申します。
記
当審議会に諮問された郡上市総合計画基本構想は、新しい郡上市のまちづくりを進めるため、市民の意見を集約して計画に反映させたこと、また、市民が自ら考え行動するとともに、行政と協働しながらまちづくりに取り組むことを基本的な方針としたことは、新しい試みとして評価できます。 しかし、本計画を推進するにあたって、現在郡上市のおかれている財政状況は非常に厳しく、長期展望にたった新たな取り組みの展開が期待されているところでもあります。
当審議会では、諮問を受けた基本構想案について、こうした視点に立ち、どのようにまちづくりに取り組んでいくべきかという観点から、5回にわたって慎重に審議を行いました。その結果、本基本構想については、適正な計画であると評価しました。
今後は、速やかに基本計画および実施計画を策定されるとともに、市民の理解と協力のもとに、その実現に向け、格段の努力を払われるようお願いします。
なお、提起された審議会の主な意見、要望は次のとおりです。
1.統括的事項
基本構想(案)は、まちづくりの基本理念を「みんなでつくる郡上-人と自然が調和した交流文化のまち-」とし、市民と行政の協働や地域の個性を生かした連携によるまちづくりをめざしている。また、将来像を実現するための戦略的取り組みであるシンボル施策が体系の主要な部分に位置づけられることから、最小のコストで最大の効果を生み出すことが期待できる。しかし、その実現にあたっては、将来を見据えた財政との整合性や、地域の総合力を結集して取り組むことが望まれる。
このことから、市民と行政は、各々の役割分担において、その責務を果たすということを基本にし、将来像に示された「訪ねたいまち郡上」「輝きたいまち郡上」「住みたいまち郡上」が実現できるよう、積極的な施策を展開されたい。
また、人口減少・少子高齢化の対応は、全ての施策において共通する課題として検討されることを要望する。
2.まちづくりの基本理念及び基本方針について
まちづくりの基本理念は、市の将来像を実現していくための基本的な姿勢であり、これからの新しいまちづくりの中心となる考え方である。
こうした考えのもとに設定された理念により、市民一人ひとりの輝きを原動力として、地域資源の融合と創造により、郡上らしい地域個性を発揮するまちづくりに努められたい。また、郡上市の魅力とイメージの定着に努力されるとともに、基本理念に設定された「協働」を基本にまちづくりを進められることを期待する。
なお、「協働」については、昨年度実施された「郡上市まちづくりワークショップ」といった試みなど、実際に具体的事例を積み重ねながら、郡上市にふさわしい協働のあり方を構築していくべきものと考える。このことから、市民の参加・参画の機会を、形にとらわれることなく、幅広くさまざまな手法を用いて設けるとともに、各種分野でのまちづくりについて、意欲ある市民、団体の活動に対し、市としても積極的に支援するよう努められたい。
3.将来像について
郡上市がめざす地域の将来像については、地域の歴史や文化、環境や心の結びつき、また、地域の人々が築き上げてきた暮らしぶりから「郡上らしさ」を位置づけ、地域の暮らしと活力を高めることを目的として設定された。
しかし、基本構想に設定された将来像を実現するにあたっては、まず、市民一人ひとりが地域に誇りをもつことが大切であると考える。このことから、各施策を検討するなかで、市民の参画を基本に、めざすべき成果に将来像が結びつくよう努められたい。
4.シンボル施策の方針について
シンボル施策については、市の将来像の実現をめざした戦略的な取り組みであり、産業活力や市民活力、定住人口の増加を成果としている。 また、地域の価値、活力、暮らしの魅力を、相乗効果によって高めることもねらいとしている。しかしながら、施策の展開方向や方針、推進を行う主要な事業の設定によっては、地域社会への効果が十分達成できないことも考えられるため、郡上らしい方式をしっかり打ち出すとともに、推進体制の構築にあたっては、市民や地域、民間企業等の協働と役割分担を明確にするよう努められたい。
5.分野別施策の方針について
(1)産業・雇用
市の産業振興については、厳しい地域間競争や財政の硬直化が進むなか、重要な政策課題として取り組むべきであり、このことは施策方針にも示されている。産業活力を高め、雇用を創出するためには、恵まれた自然や広大な森林を生かした産業振興に積極的に取り組むとともに、合併により広がった貴重な地域資源の連携による効果を最大限に引き出すよう、必要な施策の推進を図られたい。
(2)環境・防災・社会基盤
災害に強く安心して暮らせるまちづくり、また、自然環境に配慮した持続可能な地域社会をつくるため、ハード、ソフトの両面から効果的な施策を講じること。また、廃棄物の減量化、資源化についても、持続可能な地域社会を構築するため、必要な施策展開を図られたい。
(3)健康・福祉
地域総合福祉の理念に基づき、誰もが生きがいと誇りを持って生活できる環境の整備に努められたい。
安心して子どもを生み育てることができるよう、さらなる支援の充実を図られたい。
縦割りで動いていた行政側の施策については、市民の立場にたって横断的に実施されるとともに、市民が地域の生活課題や地域福祉に積極的に関わり参加できる仕組みづくりに早急に取り組まれるよう努められたい。
(4)教育・文化・人づくり
たくましい子どもを育てる環境整備に努めるとともに、教育内容の展開を工夫されたい。
地域の機能と資源を活用した学びの場の提供に努めること。
市民一人ひとりの個性や能力を伸ばし、支えあい助け合って暮らすことのできる地域社会をめざすため、先見性をもった施策の展開を図られたい。
(5)自治・まちづくり
まちづくりの理念を市政に確実に反映するため、行政運営に市民の参画を保障し、行政と市民の責任と役割を明らかにするための施策を講じること。
基本構想は、合併後の新しいまちづくりの指針である。その理念は「みんなでつくる郡上」であり、まさに本格的な協働のまちづくりの時代を拓こうとする郡上市の意思を的確に表現したことばといえる。このため、この理念を市政に確実に反映していくために必要となる施策に早急に取り組まれるとともに、市民各層に広く関心を持っていただくため、広報・公聴機会と連携を図り、市民の意識高揚を促進されたい。
6.将来人口について
基本構想に掲げた将来像を実現するためには、人口対策が重要である。しかし、国全体が人口減少社会に突入したことから、持続的な人口の増加は政策的にも 無理があることは明確になっており、このことから、10年後における市の目標人口を45,000人としたことは、妥当であると判断している。
なお、45,000人という目標人口は、推計値からみると2,400人の増加となることから、積極的な定住人口の増加対策は必要不可欠である。こうした考えのもと、シンボル施策を柱に、暮らしの魅力を高める取り組みに努められたい。
7.地域整備構想について
地域整備構想では、多様な地理的条件によって構成される郡上市の地勢から、情報ネットワークを最大限に活用するとともに、東海北陸自動車道や中部縦貫自動車道の高速交通網を基軸とした、地域間基幹道路の整備等、交通ネットワークの向上に努められたい。また、地域整備の方向性については、設定された7つのゾーンの位置付けを明確にされ、連携による相乗効果が創出できるよう計画的な整備に取り組まれたい。
8.おわりに
審議会の意見・要望等については、審議を重ねる過程で、望ましい方向として打ち出したもので、市は、組織における横断的な連携を図り、その実現に努力されるよう要望する。
また、今後さらに地方分権が進み、主体的なまちづくりに取り組んでいくことが重要になってくることから、このことに対応できるシステムを確立し、実施段階での評価や検証を的確に行うことで、効率的、効果的に計画を実施されることと、市民とともに基本構想(案)に示された方向性にしたがって、将来像の実現に努められることを願うものである。
答申書として提出された意見・要望については、基本計画及び実施計画の策定を進めるなかで、可能な限り配慮されるよう要望する。