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令和3年度施政方針

 施政方針は、令和3年度の郡上市における市政運営に関する所信と基本的施策であり、令和3年第1回郡上市議会定例会において市長より表明したものです。

冒頭あいさつ

 本日、「令和3年第1回郡上市議会定例会」を招集いたしましたところ、議員各位には、ご参集いただき誠にありがとうございます。今定例会の開会に当たり、ご審議いただきます諸議案の説明に先立ち、市政運営の基本的な考え方と新年度当初予算の編成方針、また、この予算に盛り込みました主要な施策や事業等についてご説明申し上げ、議員各位並びに市民の皆様方のご理解、ご協力を賜りたいと存じます。

市政運営の基本方針

 それでは、市政運営の基本方針について申し上げます。
 新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、日本においても緊急事態宣言に伴う、店舗等の休業やイベント開催の自粛要請及び学校休業のほか、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」や岐阜県で初の開催予定であった「全国健康福祉祭(ねんりんピック)」の延期などを余儀なくされました。現在、いわゆる「第三波」の感染拡大がやや抑えられつつはあるものの、誰もが経験したことのない事態により社会全体が疲弊し、不安や閉塞感が漂い、先行きが見通せない状況が今なお続いております。
 本市においても感染症拡大防止はもとより、市民の皆様の生活や地域経済への影響を最小限に留めるため、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した各種の対策を講じてまいりました。
 しかしながら、世界規模で広がった感染症は、特に観光関連産業に大きな影響を及ぼし、入国制限による外国人観光客の激減のほか、国内移動の自粛により、郡上を訪れる観光客は例年に比べて大幅に減少いたしました。また、郡上踊りや白鳥踊りをはじめとして多くのイベントが軒並み開催中止に追い込まれるなど、関係の皆様におかれましては苦渋の決断であったと推察いたします。今冬のスキー場関連の産業についても、折角雪には恵まれたものの、緊急事態宣言による外出・移動の自粛などにより入込客数が抑制されるなど、苦しい状況が続いております。
 市といたしましては、現下の市政運営の喫緊・最重要の課題として、市民の皆様の命と暮らしを守るべく、これから全国一斉に始まる新型コロナウイルスワクチンの円滑な接種に万全を期すとともに、地域経済を支える事業者等の皆様への支援に引き続き取り組むなど、一日でも早く日常生活や通常の事業活動を取り戻すことができるよう、切れ目のない対策を迅速に行ってまいります。
 都市部において急速にテレワークが普及しつつあるなか、移住や二地域居住など地方への関心が高まりつつあります。アフターコロナを見据え、これをチャンスと捉えて、都市部の企業や郡上市に関心がある人々を呼び込むことで、新たな雇用先の確保や市内企業等との連携による新産業の創出などを目指します。このため、サテライトオフィスの誘致に向けた支援を新たに実施するとともに、魅力ある郡上の資源を活かし、差別化した郡上らしい「ワーケーション」にも積極的に取り組んでまいります。また、地域の魅力を更に高めるための様々な取組みについて、観光地域づくり候補法人(候補DMO)に登録され、現在、本登録を目指している一般社団法人郡上市観光連盟と連携して積極的なプロモーション活動にも取り組んでまいります。
 現在、国が重要政策としている「グリーン社会」や「デジタル社会」の実現は、郡上市にとっても地域活性化に資する重要課題であります。郡上市としても、2050年においてCO2排出量を実質ゼロとする「脱炭素社会」の実現に向けて、環境保護や環境負荷の軽減はもとより、エネルギーや経済の地域内循環を進めることをここに表明し、そのための施策推進に着手いたします(表明文書)。
 また、喫緊の課題であるデジタル社会の実現に関しては、産業、教育、福祉をはじめ、幅広い分野における利活用を推進するため、庁内に横断的な推進体制を構築します。なお、市民サービスに直結する自治体業務のデジタル化が欠かせないことから、AIを活用した業務改善を進めるほか、オンライン申請の導入等についても検討・推進してまいります。
 このほか、新たに学校と保護者や地域の皆様がともに知恵を出し合い、学校運営に意見を反映させることで、一緒に協働しながら子供たちの豊かな成長を支えていくためのいわゆる「コミュニティスクール」としての体制を整備するとともに、大和地域の4小学校の統合についても遅滞なく準備を進めてまいります。
 現在「後期基本計画」を策定中の「第2次郡上市総合計画」や令和2年度から始まった「第2期地方創生総合戦略」に基づく各種の取組みにも引き続き注力するとともに、国内外で取組みが進んでいるSDGs(持続可能な開発目標)についても、調査研究を進めるとともに、策定中の総合計画にも盛り込んでいきたいと考えております。
 なお、これらの具体的な取組みについては、後ほど分野別の主要施策の中で申し述べます。

令和3年度の予算編成について

 こうした考え方や背景を基に、令和3年度の当初予算案を編成いたしました。その結果、一般会計の性質別歳出のうち、「投資的経費」である「普通建設事業費」では、ケーブルテレビ伝送路の光化等を行った「ケーブルテレビ伝送路等更新事業」が完了することなどにより、前年度対比14.2%、6億3,916万円減の38億5,989万円となりましたが、緊急に実施しなければならない道路、河川等のインフラ整備、不要な電波の規制に対応するための防災行政無線設備整備、畜産主産地の再整備等の事業費を計上しました。また、「義務的経費」の「人件費」は1.4%、6,619万円減の46億8,592万円、「扶助費」は1.7%、5,303万円減の29億8,381万円、「公債費」は3.3%、1億2,473万円減の37億315万円となりました。「その他の経費」の中で「物件費」は、新型コロナウイルスワクチン接種の影響などにより7.8%、3億589万円増の42億612万円、「補助費等」は1.3%、5,000万円減の37億3,194万円、他会計への「繰出金」は工業団地事業特別会計の造成事業完了により10.4%、2億3,780万円減の20億4,394万円を計上いたしました。
 一方、歳入のうち「市税」では、新型コロナウイルス感染症の影響による「個人市民税所得割」「法人市民税法人税割」の税収減や、「固定資産税」の評価替えによる減少分を勘案し、「市税全体」では前年度と比べ5.4%、2億6,594万円の減額となる46億7,368万円を計上いたしました。
 「地方交付税」については、国において地方交付税総額が、前年度対比で5.1%、8,503億円増額され17.4兆円とされており、デジタル化を推進する新たな需要額算定項目の創設などによる増加要因もありますが、「辺地対策事業債」、「過疎対策事業債」の公債費(元利償還費)算入額の減少、国勢調査に伴う人口減などの影響により、「普通交付税」は前年度対比0.9%、1億円減の106億円を計上いたしました。また、「特別交付税」については、近年の最終決定額の推移を勘案して前年度と同額の7億8,000万円を当初計上し、「地方交付税全体」としては0.9%、1億円減の113億8,000万円となりました。
 「市債」におきましては、「通常債」で14億2,280万円を計上しました。ケーブルテレビ伝送路光化等の事業が完了することで令和2年度予算と比較しますと4億6,500万円減額となりますが、令和3年度から5年間延長される「緊急防災・減災事業債」や「緊急自然災害防止対策事業債」については、災害に備えるための防災・減災対策に引き続き活用することとしています。「臨時財政対策債」は、国の総枠の大幅増加に伴い、49.3%、2億9,400万円増の8億9,000万円を計上し、「市債全体」では6.9%、1億7,260万円減の23億1,520万円を計上いたしました。
 以上の結果、令和3年度当初予算の一般会計の予算規模としては、歳入歳出それぞれ264億7,300万円で、前年度当初予算と比較して2.7%、7億3,100万円の減となっております。
 なお、「電線類無電柱化整備事業」の財源に充てるために「公共施設整備基金」から2,000万円、また「産業支援センター活動経費」、「2020スポーツツーリズム推進事業」、「郡上八幡 町屋敷越前屋活用事業」等の財源に充てるために「地域振興基金」から1億円を繰り入れることとし、「財政調整基金」からは一般財源の不足を補うために2億3,800万円を繰り入れることにより、予算を編成したことを申し添えます。
 また、財政調整基金については、新型コロナウイルス感染症対策等によりこれまで投入を余儀なくされている一般財源を、令和2年度の補正において新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金等と財源の入替調整をすることで今年度の繰入金を可能な限り減額し、基金残高の確保に努めたいと考えております。
 このような方針に基づき編成した令和3年度当初予算の規模は、一般会計264億7,300万円(2.7%、7億3,100万円の減)、特別会計110億6,902万円(6.2%、7億3,690万円の減)、企業会計118億2,127万円(4.8%、5億4,406万円の増)、合計493億6,329万円(1.8%、9億2,384万円の減)となりました。

分野別主要施策

 続きまして、「第2次郡上市総合計画」の柱立てに沿って、7つの分野別施策における項目ごとの主な内容をご説明いたします。

1.産業・雇用(地域資源を活かして産業を育てるまち)

 最初に1つ目の柱である『産業・雇用』についてであります。
 農業を取り巻く環境は、農家人口の減少・高齢化の進展、鳥獣や異常気象による農作物・農業施設被害に加え、コロナ禍の影響により厳しい状況にありますが、「観光立市郡上」の根底を担う基盤産業として、中山間地域の特性を活かした多様な取組みを進め、持続可能な農業・農村を目指します。また、「がんばれ郡上の農水産物応援事業」や「農産物等流通ネットワーク構築事業」により市内消費・流通を促進するとともに、外国人労働力に代わる新たな労働力確保に取り組みます。
 担い手対策については、引き続き、生産基盤整備事業と連動した集落単位での人・農地プランの実質化を進め、集落営農組織の設立や農地集積を図るとともに、移住・定住対策を兼ねて新規就農者・農業後継者・女性の農業参画を支援し、地域農業を担う人材及び組織の育成に努めます。
 鳥獣被害防止対策については、有害鳥獣捕獲を進めるとともに、恒久柵の設置や狩猟免許の取得等への助成を行い、住民主体の捕獲、防除活動を推進します。
 森林・林業については、森林環境譲与税及び森林経営管理制度を活用し、森林整備の推進や境界明確化、人材育成、木育、災害防止を目的とした生活保全林整備など多様な取組みを加速させ、森林の公益的機能向上と地域住民の安全・安心の確保に努めます。さらに、郡上森林マネジメント協議会と連携し、木材の生産・流通・消費構造の効率化を目指すとともに、「脱炭素社会」の実現に向けて、植林や保育の推進、木材利用の拡大を図ります。
 また、農業・林業の振興を図るため、農業生産基盤及び農業集落環境の整備を進めるとともに、林道網の計画的な整備、点検結果を踏まえた林道橋及びトンネルの修繕工事の実施、治山対策事業による山地荒廃防止対策など、安定した森林づくりのための基盤整備事業を推進します。
 畜産振興については、後継者確保や自給力向上を目的とした畜産公共事業を推進し、持続可能な畜産経営に必要な生産基盤の強化を図ります。酪農では、性判別技術を取り入れた搾乳牛の確保に努め、和牛については、「飛騨牛」の生産に不可欠な繁殖牛の更新等への支援と肥育農家の飼養管理技術指導に取り組みます。また、豚熱や鳥インフルエンザなど家畜伝染病の侵入を防ぐため、県・事業体と連携して防疫体制の強化に努めます。
 続いて、商工振興については、飲食店をはじめ市内商工業者の多くは、新型コロナウイルス感染症の影響により売上げが減少するなど経営面でのダメージは大きく、また、状況の改善には長期を要すると考えられます。市では、こうした事業者の皆様の事業継続を支援するため、資金面では、災害復旧資金利子補給制度により借入金の利子補給を令和2年度の借入れから3年間実施します。また、後継者等による事業承継を応援し、市街地の賑わいづくりや店舗が存続することでの市民生活の利便性を確保することを目的に、新たな事業承継支援事業を行います。そのほかにも、商工会や産業支援センターへの事業費の一部支援や負担を行い相談窓口の充実を図り、販路拡大など事業者の様々な相談に対応してまいります。なお、議案第49号において、財産処分の議決をお願いしておりますが、これまで進めてまいりました白鳥地内の大島工業団地の造成事業が完了したことに伴い、同土地を地元企業に売却することにより製造業の生産基盤の強化と雇用の拡充を図ることといたします。
 観光振興については、コロナ禍の下においても「日本一のおどりのまち郡上」を推進するよう、企業版ふるさと納税を活用して踊りの技術の継承と多様なメディアに対応した情報発信を行うため、高画質動画による記録と活用に取り組みます。また、全国の郡上の踊りファンへの情報発信と新たな踊りファンを獲得するため、SNS等を活用した情報発信を引き続き実施します。
 観光立市郡上を実現する取組みとして、地域経済と地域社会の活性化を図りながら官民の協働による観光地域づくりの具現化を図るため、(一社)郡上市観光連盟が登録申請する「観光地域づくり法人(DMO)」の取組みをさらに加速化します。また、マーケティング機能を搭載した郡上市観光連盟のホームページ「TABITABI郡上」を最大限に活用することにより、多様なデータの収集とその分析結果に基づく明確な目標を持った観光地域づくりに取り組みます。
 なお、コロナ禍により、インバウンドの環境は、欧米豪、アジア圏を問わず先行きが直ぐには見通せない状況にあることから、マイクロツーリズムに対応した国内の身近な旅行客や教育旅行を獲得するため、多様なアウトドア体験や奥深い歴史文化等により、四季を通じて何度も体験したくなる郡上独自の観光商品づくりを行います。さらに、事業者自身が実施するプロモーションを支援することによりコロナ収束後の観光産業の早急な回復を図るとともに、インバウンド受入れに遅滞なく対応するため「国際的競争力の高いスノーリゾート形成促進事業」を活用した受入れ環境の整備を継続して推進します。
 観光施設整備では、郡上市の観光振興の重要な拠点施設となっている温泉施設の重点的な改修・整備を実施し、スキーや踊り等と併せて長期にわたり市内に滞在できる環境を整えます。
 以上、『産業・雇用』の施策に22億8,487万円(一般会計22億8,487万円)を計上いたしました。

2.環境・防災・社会基盤(美しい水と緑を守り、暮らしの基盤が整う共生のまち)

 次に、2つ目の柱である『環境・防災・社会基盤』についてであります。
 豊かな森と水を育み、やさしい人々が暮らす郡上を次世代に継承するため、身近な環境負荷削減を目的に、令和2年度から新たな取組みとして環境保全推進事業を実施しています。令和3年度からは、近年、地球規模の問題とされている「国連気候変動枠組条約」への対策として、温室効果ガス排出量を2050年に実質ゼロにする目標に向け、郡上市においても市民・事業者・行政が一丸となり、温室効果ガス排出量の削減に向けた取組みや調査研究に着手するとともに、森林整備等による吸収源の保全・強化や、地域の特性を活かした再生可能エネルギーの導入・利活用を推進します。これらの取組みにより、郡上の豊かな環境を未来に継承するとともに、国際社会の一員として「脱炭素社会」の実現を目指してまいります。
 廃棄物処理事業については、郡上クリーンセンターほか2施設における施設運営の効率化及びコスト削減に努め、適正で安全な廃棄物処理を実施するとともに、今後の廃棄物処理施設のあり方についての検討を進めます。
 水道事業については、安全安心な飲料水を供給するため、施設の適正な維持管理を行うとともに、引き続き、国庫補助金を活用した老朽管路の更新・耐震化事業を推進し、効率的・安定的な供給が可能となる運営体制の整備を進めます。下水道事業については、施設の適切な運用により公衆衛生の向上・公共用水域の水質保全に努めるとともに、ストックマネジメント事業により、施設の機能確保及びライフサイクルコストの低減・平準化を図ります。また、下水道処理施設の統廃合による事業のスリム化を推進し、効率的な運営体制の確立と経営の健全化を目指します。なお、下水道事業資本費平準化債を3億8,000万円借入れし、世代間の負担の公平化を図ります。
 次に消防・防災については、県が公表した洪水浸水想定区域図等を基に郡上市版の洪水ハザードマップを作成し、対象地域に配布して増水時の危険箇所の周知、避難経路の日頃からの確認と早期避難の啓発など、市民の防災意識の向上と自主防災組織機能の充実を図り、自助・共助の強化に取り組みます。また、新型コロナウイルス感染症対策として指定避難所の定員を見直したことから、これを補完する避難先を確保するため、市内の宿泊事業者の皆様と協定締結に向けた協議を引き続き行ってまいります。
 地域防災の要である消防団員を確保するため、自治会組織や事業所等に対して「消防団を知ってもらうPR活動」を行います。消防団車両や資器材等は、導入後の経年に応じた整備計画に基づき計画的な更新を行うとともに、水利確保のための消火栓設置や耐震性貯水槽を整備します。
 常備消防については、消防防災及び救急業務を迅速的確に行うために、消防大学校での研修や救急救命士の養成を行い、職員の資質向上及び現場活動力の強化を図るとともに、消防力の充実強化のため、各種消防資器材を計画的に整備・更新いたします。また、災害発生時の情報収集や各部局の多岐にわたる現場調査に対し、安全・迅速・確実な活動を行うための小型無人飛行機ドローンを導入するとともに、併せて操縦者の育成を図ります。このほか、救急需要の高度化や多様化に対応するため、新型コロナウイルス感染症等に対応した高規格救急自動車1台を更新するとともに、119番通報の通報位置を特定するための統合型位置情報システムの更新を行い、機能向上に取り組んでまいります。
 防災行政無線については、引き続き国の電波規制への対応と老朽化した機器の更新を行い、法令に則った適切な運用と災害時等の情報伝達手段の確保に努めます。
 交通安全対策では、令和2年度に新設した後付けのペダル踏み間違い時加速抑制装置設置への補助金を当面継続することとし、交通事故のない地域を目指します。
 社会基盤整備については、現在施工中の主要地方道金山明宝線「めいほうトンネル」の早期供用開始に加え、事業着手された「国道156号郡上大橋架替」の事業推進、さらには濃飛横断自動車道「八幡~和良間」の早期事業化等の懸案事業を推進するよう、引き続き関係機関に対して強く働きかけてまいります。市事業では、社会資本整備総合交付金、道路メンテナンス事業補助金等による道路・橋梁の整備と、社会基盤インフラの老朽化に対応していくための改良・改修事業に取り組みます。また、想定外の豪雨等による護岸の損傷や山腹の土砂崩壊を防ぐための河川改良事業及び急傾斜地崩壊対策事業の推進に努めます。加えて、沿道林修景整備事業や河川維持改修事業等により、道路や河川の環境整備にも継続して取り組んでまいります。
 住環境整備については、本市の良好な景観を保全するための景観計画の見直しを図るとともに、老朽化した舗装の再整備や主要道路沿いに系統立った案内誘導看板を整備するための調査・設計を行い、景観に配慮した安全で快適なまちづくりを推進します。また、防災対策及び予防的な空き家対策として、木造住宅をはじめとした建築物の耐震化に対する助成や市街地における歴史的建築物整備のための計画策定のほか、土砂災害特別警戒区域内での住宅建替等に対する助成を行うとともに、大和町島奥田洞谷の土砂災害による避難先を確保するため、引き続き、避難されている皆様への支援を行うなど、安心安全な住環境の形成に努めます。なお、空家対策については、空家対策協議会の所管課をこれまでの総務部総務課から建設部都市住宅課に移すことにより、総合的かつ体系的な住宅対策の一環として取り組んでいくことといたします。
 市営住宅については、公営住宅等長寿命化計画に基づき、適正な維持管理に努めるとともに、長寿命化及び耐震化工事を実施します。
 次に公共交通については、コロナ禍による学校休業や外出自粛のほか、観光客の減少などの影響で、その利用者が大きく減少するなど、厳しい状況が今なお続いています。地域に欠かせない公共交通の維持に向けては、地域の声を伺いながら自主運行バスの継続運行や民間事業者路線への支援など、引き続き路線の確保に努めます。また、施設の老朽化が顕在化している長良川鉄道については、安全な運行を確保するため、施設の修繕や更新に対する支援を県や沿線市町と連携して行うとともに、将来を見据えた鉄道運営のあり方についても検討を進めます。
 ケーブルテレビ事業については、この3月で伝送路の光化整備が完了します。通信基盤の強靱化が図られるとともに、快適かつ安定的な情報通信サービスの提供が可能となったことで、企業のテレワーク、ワーケーション、オンライン会議や学校のオンライン授業への活用に寄与するものと期待しています。
 以上、『環境・防災・社会基盤』の施策に41億6,921万円(一般会計33億1,450万円、特別会計56万円、企業会計8億5,415万円)を計上しました。

3.健康・福祉(支えあい助け合う安心のまち)

 次に、3つ目の柱である『健康・福祉』についてであります。
 結婚から出産、子育てへの切れ目のない支援に向け、結婚支援については、引き続きマリアージュ郡上での相談業務をはじめ、「マリカフェ」や「魅力アップセミナー」などの婚活イベントの開催により出会いの場の創出を図るとともに、郡上市婚活応援団の会員の皆様への個別訪問を実施するなど連携の強化を図ります。このほか、結婚新生活のスタートに当たり、住宅の賃借費用や引っ越し費用などを経済的に支援する「結婚新生活支援事業」を新たに実施します。
 子ども・子育て支援については、郡上市子育て世代包括支援センターを中心とした相談体制の充実を図り、支援が必要な児童や保護者の包括的な支援体制を強化します。また、「日本一住みたいまち、子育てしやすいまち」の実現に向けては、地域における子育て支援の拡充と環境の整備に努めてまいります。このほか、子育てと仕事の両立支援についても、保育園の運営に加え、放課後児童クラブやファミリー・サポート・センター事業を実施し、女性の就労支援を図るとともに、若い世代への経済的支援の柱として、引き続き「がんばれ子育て応援事業」を実施します。
 社会福祉については、生活困窮者自立相談支援体制の充実を図り、コロナ禍を受けて収入が減少するなどして生活に困窮されている方に対し、適切な支援を行います。
 障害福祉については、各種の障害福祉サービスを実施し、障がいのある方の地域生活を支援するとともに、特に複雑化・複合化した課題に対応できるよう、事業所と連携し相談支援体制の強化や各事業所の機能を活用した地域生活拠点の充実を図ります。また、子ども発達支援センターにおいては関係機関との連携を強化し、支援が必要な児童及びそのご家族が安心して通所、子育てができるよう支援を行います。
 高齢福祉については、深刻化する介護人材不足への対応として、新たに介護職員となった方に対して奨学金返済支援事業を始めます。また、外出に際して支援が必要な高齢者と福祉有償運送などの事業者の支援を目的として、これまで直営で行っていた外出支援サービスを民間サービス活用による事業内容に転換し、利用時の費用の助成を行います。さらに、昨年から延期され、本年秋に開催を予定する「第33回全国健康福祉祭(ねんりんピック岐阜2021)郡上市大会」に向けて、全国から参加される方に万全の感染防止対策を行いつつ、おもてなしの心で大会の成功を目指します。
 郡上偕楽園については、円滑な移転に向けて、基本構想と基本計画を策定いたします。
 健康づくりについては、健康寿命の延伸を目指し、市民の自発的な健康行動を盛り上げるため「健康づくりプロジェクト事業」を引き続き進めます。コロナ禍により延期とした郡上北高校生の「まちづくりフェスティバル」における提案である健康ウォーキングコースの設定等を、新年度に改めて生徒と協働で行い、健康づくり活動が取り組みやすい環境を整備します。
 健康診査、がん検診等については、未受診者対策に取り組むとともに高血圧及び糖尿病による腎症の重症化予防対策事業を推進し、市民の健康を守るとともに医療費削減を目指します。また、「望まない受動喫煙防止の対策」について、「郡上市受動喫煙防止対策ガイドライン」をもとに市内関係組織と協力、連携を図りながら推進していきます。
 自殺予防については、特にコロナ禍により、これまでになかった生活環境や社会情勢の変化などによる件数の増加が懸念されるため、各世代に対するきめ細かな相談体制を整えるなど、関係機関等との相互連携を強化します。
 新型コロナウイルスワクチンの接種に当たっては、郡上市医師会と連携して接種体制を整え、迅速かつ円滑に予防接種を進めるとともに、市民及び各事業者等への感染防止策の徹底を促し、早期収束を目指してまいります。
 公立2病院では、安定的な医療サービスを提供するため、積極的な医療従事者の確保対策の推進、計画的な医療機器の整備・更新を行うとともに、民間医療機関との連携強化により、地域医療体制の充実及び新型コロナウイルス感染症患者への対応強化を図ります。国保白鳥病院と診療所群からなる「県北西部地域医療センター」では、地域医療連携推進法人の制度を活用し、医師をはじめとする医療スタッフの確保・人材育成を図り、在宅支援、へき地医療を守る体制を整えてまいります。また、人口減少による医療需要の変化や岐阜県地域医療構想を踏まえ、市内の公立・民間医療機関相互の適正な役割分担、病床機能及び規模の見直しや、市民が安心して暮らすことができるよう急性期医療やへき地医療にも配慮した医療体制づくりについて、引き続き協議、検討を行ってまいります。なお、国保白鳥病院については、病院の改装工事及び透析移転工事を行い、病院内環境の改善整備を図ります。
 国民健康保険は、被保険者の高齢化、減少に加え、医療の高度化により1人当たりの医療費が増加していくという構造的な問題を抱えておりますが、特定健診等による予防活動と健康づくりを一層進めることにより医療費の抑制に努めてまいります。また、コロナ禍の下での経済状況に鑑み国保税率を据え置き、基金を取り崩して対応するとともに一層の公費の確保に努めます。このほか、今年8月から、高齢受給者証を被保険者証と一体化することにより、利用者の利便性の向上を図ります。
 以上、『健康・福祉』の施策に128億9,125万円(一般会計35億7,519万円、特別会計89億9,956万円、企業会計3億1,650万円)を計上しました。

4.教育・文化・人づくり(香り高い地域文化と心豊かな人を育むまち)

 次に、4つ目の柱である『教育・文化・人づくり』についてであります。
 本市の教育は、「第3期郡上市教育振興基本計画」に掲げるめざす姿、「たくましく共に生きる郡上人の育成・生きがいと希望にみちた社会の実現」に向け、学校・家庭・地域・関係機関が連携を深めながら、引き続き各施策を推進します。
 学校の適正規模・適正配置については、「郡上市学校規模適正化計画」に基づき推進してまいります。大和地域の4つの小学校の統合に向け、保護者や地域の皆様との対話を重ね意識の醸成と共有が図られたことから、昨年7月には統合準備委員会を設置し校舎等の基本設計に必要な協議を行い、今年に入って2月に開催した第4回目の準備委員会において最終的な合意をいただいたところであります。新年度は、令和6年4月開校目標の推進スケジュールに基づき、統合に係る準備事項等について具体的な協議を進めるとともに、基本設計の内容を反映させた実施設計を行います。
 就学支援については、無利子の奨学資金の貸付や教育ローンの利子補給を引き続き実施するとともに、奨学資金返還の一部免除制度の周知により利用を促進し、卒業後における市内へのUターンに繋げてまいります。また、市内2高等学校の存続と教育環境の充実に向けて、通学費に対する支援を継続するとともに、新たに寄宿舎への入寮及び下宿に要する経費を一部支援するために制度を拡充いたします。
 学校教育では、生命(いのち)と人権の尊重を基盤として、「ふるさと郡上を誇りに思い、未来を切り拓く、たくましく共に生きる郡上人の育成」を目指すべく、確かな学力と豊かな心を育む教育を推進します。新学習指導要領の趣旨を踏まえ、主体的・対話的で深い学び、ICTを活用した学習を通して、確かな学力を身に付けるとともに、学びに向かう力や人間性等の涵養を目指した教育を推進します。また、令和2年度で整備が完了する児童生徒等へのタブレット端末については、それを効果的に活用した教育への転換を目指し、教職員のICT活用指導力の育成を図るとともに、児童生徒の情報活用能力を高めます。なお、各校においては、徹底した新型コロナウイルス感染防止対策を引き続き講じてまいります。
 地域とともにある学校づくりを進める「コミュニティスクール」に関しては、学校運営協議会の設置によって令和3年度からスタートさせるとともに、「郡上学(ふるさと体験学習・キャリア教育)」の推進に当たっては、協議会の機能を活かし、地域の教育力を学校運営に活かす実践を進めていきます。心の教育推進事業では、「命の教育カリキュラム」を活用し道徳教育の推進を図るとともに、不登校やいじめの未然防止と早期発見・早期対応を目指した事業を推進します。
 社会教育については、家庭や地域の教育力の向上を目指し、家庭と学校が連携した家庭教育学級の開催、青少年育成市民会議等による青少年の健全育成を図ります。また、地域の生涯学習の拠点である公民館を中心とした各種行事・講座等の開催による生涯学習活動への支援や、郡上学の一環として、「郡上人に学ぶ講座」や郡上かるたの普及を推進するなど、継続して地域資源を活かした魅力発見に繋げてまいります。
 図書館では、「郡上市子ども読書活動推進計画(第三次)」に基づき、社会全体での読書活動への取組みや、「家読(うちどく)」の普及・啓発を通じて家庭における家族での読書活動を推進するなど市民の皆様の学びを支え、暮らしに役立つ図書館づくりを目指します。
 文化財関係では、市内の貴重な文化財や特色ある歴史文化を市民の皆様に周知し、文化財等の保存に対する理解と活用の認識を深めていただくとともに、市外への情報発信も強化しつつ、コロナ禍の下においても工夫を重ね文化施設の利用促進を図ってまいります。
 大和町の県指定史跡篠脇城跡(昭和48年指定)については、継続して発掘調査及び総合的な調査を進め、国名勝に指定されている隣接の東氏館跡庭園(昭和62年指定)と一体的な国史跡名勝指定を目指します。また、国選択無形民俗文化財・県指定無形民俗文化財である「白鳥の拝殿踊り」の価値付けに向けた調査を引き続き行います。
 令和3年は、東氏が郡上郡山田庄を加領されて800年、東常縁が連歌師宗祇に初度の古今伝授をしてから550年の節目の年にあたることから、さまざまな事業を計画し、中世の郡上の礎を築いた東氏の歴史や文化遺産を検証して広く市民の皆様に紹介し、地域振興に繋げていくスタートの年にしたいと考えます。
 スポーツ振興については、「スポーツに参画できる環境の整備」を目指し、心身ともに健康であるためにそれぞれのライフステージに応じて市民の皆様が自発的に健康や体力の保持増進が図れるよう、「1市民1スポーツ」を推進します。少年スポーツの支援に向けては、活動を支える指導者の育成として郡上市スポーツアドバイザーを活用した指導者研修等により人材確保と指導力の向上を図ります。また、新年度においては、相撲、剣道、スキーを郡上市の特色ある強化種目として支援をしていきます。
 スポーツツーリズムの推進に向けては、スポーツの交流会、大会、合宿の誘致及び豊かな自然やスポーツ施設を活かし、郡上市を訪れる交流人口の拡大を図るよう、郡上市スポーツコミッションが主体となり各種活動を進めてまいります。なお、「東京2020オリンピック・パラリンピック」については、コロナ禍の影響で現時点では不確実な要素がありますが、開催可能となれば、その成功に向けて聖火リレー等の事業を適切に実施して盛り上げを図ってまいります。また、ホストタウンに登録されているコロンビア共和国とマダガスカル共和国の大会出場に向け、市を挙げて応援するとともに、今後も継続した交流に努めてまいります。
 以上、『教育・文化・人づくり』の施策に6億7,107万円(一般会計6億4,557万円、特別会計2,550万円)を計上しました。

5.自治・まちづくり(市民と行政が協働でつくるまち)

 次に、5つ目の柱である『自治・まちづくり』についてであります。
 自分たちの地域をより良くしたいという思いを実現するため、郡上市市民協働センターを中心に、地域づくり団体などと連携しながら「魅力ある地域づくり推進事業」や「団体提案型協働事業」を推進するなど、協働によるまちづくりを進めます。また、各地域に設置しているサブセンターにおいて定期の相談日を設け、自治会やまちづくりに関わる団体の皆様が気軽に相談できる体制を整えるとともに、地域の課題の把握や情報収集を積極的に行うなど、機能の強化を図ります。
 このほか、「魅力ある地域づくり交流会」や「Good郡上プロジェクト」に加えて、多くの皆様にまちづくりに関心をもっていただけるよう「まちトーク」を開催するなど、地域づくりを「自分事」として捉え行動する人材や担い手づくりに取り組み、地域課題の解決に繋げます。また、まちづくりの拠点となる「郡上八幡 町屋敷越前屋」についても積極的な利活用を図ります。
 都市部から移住者を迎え入れて、郡上の人と一緒になって起業を目指す「郡上カンパニープロジェクト推進事業」では、3年の事業期間を終了する第1期の皆さんが、いよいよ本格的に事業展開することになります。これまで育んできた人や地域との繋がりを大切に、郡上の地で活躍されることを期待しています。また、第2、第3期の9つのプロジェクトについても実現に向けたサポートや、定住に係る暮らしや地域との関わり方を含めた人的支援を積極的に行ってまいります。
 令和2年度にスタートした「郡上の未来を創る人材育成プロジェクト事業」では、「郡上の未来に向けて行動する人たち」を増やしていくため、講座の開催とともに多様な分野の方々と意見を交わしながら引き続き人材育成の指針となるビジョンづくりを進めます。
 郡上を応援する新たな担い手である「関係人口」を創出・拡大するため、東京郡上人会、郡上藩江戸蔵屋敷の参加者やふるさと寄附をいただいた方に向けて、ふるさと郡上の情報を横断的かつ効果的に発信するとともに、仕事と休暇を組み合わせて都市部の企業や人を呼び込むための新たな取組みである「ワーケーション」を推進してまいります。新年度においては、モニターツアーの開催や積極的なプロモーションを展開するなど都市部企業の誘致に取り組み、早期の受け入れを目指します。
 このほか、移住・定住を促進するための取組みとして、相談窓口における従来からの対面や電話・メール等の相談手段に加え、オンラインでの相談に対応できる体制を確立することで、更なる移住者の増加を目指します。
 男女共同参画の推進については、男女共同参画サポーターと連携し、男女がともに暮らしやすく、個性と能力が十分発揮できる社会の実現に向け、「ともいきフェア」やセミナー等の開催を通じて、意識改革やワーク・ライフ・バランス等の周知・啓発に努めます。
 都市交流事業については、コロナ禍の下においても途切れることのない関係性の維持・醸成に向け、友好都市とのWeb懇談や各都市の魅力(観光、食、文化、人等)情報の発受信に力を入れ、市民間交流の促進に努めます。国際交流についても、市民と在留外国人とのコミュニケーション向上により地域の支え合いに繋がるよう、市内の国際交流団体とともに「日本語ボランティア養成講座」、「英会話教室」やその他の言語教室等、語学支援をはじめふれあいの場の創出に取り組んでまいります。
 以上『自治・まちづくり』の施策に1億9,903万円(一般会計1億9,903万円)を計上しました。

6.地域振興(個性あふれる地域づくりを推進するまち)

 次に、6つ目の柱である『地域振興』についてであります。
 人口減少や高齢化が進む中にあって、持続可能な地域社会を創るため、小学校区など複数の集落が集まる基礎的な生活圏の中で、分散している様々な生活サービスや地域活動の場を繋ぎ、地域全体の日常生活の維持と活性化を目指す「小さな拠点とネットワーク」の考え方に基づくまちづくりを進めます。新年度は、廃校舎や空き家を活用した地域づくり活動を進めている八幡町西和良地区と、「小さな拠点とネットワーク」の仕組みづくりに向けて懇談会開催などの取組みを始めている白鳥町牛道地区をモデル地域とし、その取組みを支援してまいります。
 また、令和2年度、コロナ禍により実施を延期した白鳥IC周辺の防災物流拠点等としての適地可能性調査については、改めて新年度において実施いたします。
 なお、過疎対策については、新年度から施行される第5次の「過疎新法」に基づく地域指定に基づいて、持続的発展を目指した対策を進めてまいります。

7.行財政運営(健全な行財政運営を実行するまち)

 最後に、7つ目の柱である『行財政運営』についてであります。
 少子化や高齢化に伴う人口構造の変化を背景に、担い手の不足や社会保障関連経費の増大、税収の伸び悩みなど多くの課題を抱えるなか、今般のコロナ禍をはじめとした社会経済情勢の変化や行政ニーズを的確に捉えつつ、引き続き「第3次行政改革大綱」に基づく行財政改革を進めます。
 とりわけ、令和2年3月に策定した「公共施設適正配置計画」の着実な推進が重要課題であり、現在、公共施設の統合や廃止等の実効性を高めるため、施設分類ごとに具体的なスケジュールや実施手順などを示す「行動計画」の策定を令和3年度内を目途に順次進めています。また、今後も継続していく施設については、良好な状態を長く保つための「保全計画」の策定に着手しており、令和4年度中の完了を目指しているところです。このため、引き続き公共施設アドバイザーを委嘱するなど、専門的な分野における技術的な助言等を得ながら進めてまいります。
 第2次郡上市総合計画については、平成28年度から始まった前期の基本計画5年間の計画期間が令和2年度までとなっており、令和3年度から後期基本計画の計画期間が始まりますが、コロナ禍により、市民の皆様からの意見を伺う機会や協議等が十分に実施できなかったことから、策定作業を新年度秋頃まで延伸することとしております。現在、総合計画審議会等での議論を進めており、引き続き策定作業を進めてまいります。
 コロナ禍の下での「新たな日常」の構築には、行政のデジタル化が必須となります。まずは、市民の皆様からのスマートフォンやパソコン等によるお問い合わせに対し自動応答する「AIチャットボット」を県と連携して整備するとともに、システム上の定型的な作業を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や手書き文字を高い認識精度でテキスト化するAI-OCRを導入し、効果的に業務時間の削減に繋げ、そこで得られた時間やコストを市民サービスの一層の向上に繋げていきたいと考えております。なお、新年度は一部の事務作業において実証実験を行い、効果を検証した上で本格導入を進めることとします。また、マイナンバーカードについては、取得の促進に向けて、平日の勤務時間内に受け取りに来られない方を対象にした、休日と平日の勤務時間外での受け取り窓口の開設を引き続き実施します。
 行政手続きにおける押印の見直しに当たっては、現在、市が取り扱う各種手続きについての全庁的な調査を進めており、今後、国や県が主体となる事務の動向と併せて見直しを進めます。
 市税は市財政の根幹であり、適正かつ公平な課税とともに、滞納税額の縮減に努めます。また、歳出面では、可能な限り経費の削減に取り組んでまいります。
 正職員の職員給与費については、令和2年人事院勧告による期末手当のマイナス改定に加え、新規採用職員が確保できなかったことによる職員数の減や職員の定年退職等に伴う若年層職員との入れ替わりなどの理由により、一般会計では7,652万円の減となりました。また、特別会計においては、職員数の増、職員の会計間の異動や職員の入れ替わりなどの理由により全体では136万円の増となり、公営企業会計においては、若い医師の割合が増加したことなどから全体で3,515万円の減となり、全会計では1億1,031万円の減となりました。職員の給与については、民間給与や国家公務員給与等との均衡の原則、職務と責任に応じて支給する職務給の原則を踏まえ適切に措置するとともに、定員適正化計画(第3次改訂)に基づき、定年退職者の再任用、定年延長等の動向に留意しつつ、引き続き定員の適正な管理を進めてまいります。
 一般会計における公債費では、「財政中期試算」に基づくこれまでの地方債の借入額抑制や繰上償還により、元利償還金は37億315万円で、令和2年度当初予算からは1億2,473万円の減となっています。令和3年度末の市債残高見込額は、306億4,039万円となり、令和2年度末見込みと比較して12億5,525万円の減少となり、ピーク時の平成17年度末の市債残高538億4,108万円と比べて43.1%、232億69万円の減少となる見込みです。
 これらの、『行財政運営』の分野の施策に、給与費、公債費、施設管理費等を除く政策的経費として2億706万円(一般会計2億706万円)を計上しました。

 以上、令和3年度の予算編成に当たり、市政運営の基本的な考え方と重点施策の概要について申し上げました。喫緊の課題であるコロナ禍による影響を最小限に抑えるための対策に万全を期すとともに、市民サービスの向上や地域の課題解決に的確に対応してまいります。議員の皆様並びに市民の皆様とともに、この難局を乗り越えていくため今後ともご支援とご協力をお願い申し上げます。

 令和3年2月26日

郡上市長 市長:日置敏明

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0575-67-1147

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