個別避難計画(以下、「計画」といいます。)とは、災害発生時等に避難行動要支援者が「どこへ」・「誰の支援を受けて」・「どういったことに配慮しながら」避難するのかをあらかじめ定めておく個人ごとの計画であり、普段からこの計画を関係者間で共有することで、避難行動要支援者に対する避難支援等を実効性・即時性のあるものとするために作成するものです。
なお、この計画は地域全体での速やかな避難行動を実現するために作成されるものであり、計画作成の関係者(近隣支援者等)に対し、計画に基づく避難支援等の結果についての法的な責任や義務を負わせるものではありません。
計画作成の背景 −なぜ作成する必要があるのか−
1.避難行動要支援者名簿の作成の義務化(平成25年)
東日本大震災の教訓として、障がい者、高齢者、外国人、妊産婦等について、情報提供や避難行動、避難生活等の様々な場面での対応で不十分な場面がありました。その後、こうした方々に係る名簿の整備・活用を促進することが必要とされたことから、平成25年の災害対策基本法の改正により、災害時に自ら避難することが困難な高齢者や障がい者等の避難行動要支援者(以下、「要支援者」といいます。)について、避難行動要支援者名簿を作成することが市町村の義務とされました。
2.個別避難計画の作成の努力義務化(令和3年)
令和元年台風19号等の近年の災害においても、多くの高齢者や障がい者等が被害に遭われている状況を踏まえ、災害時の避難支援等を実効性のあるものとするためには、要支援者一人ひとりに対する個別避難計画を作成すること、また、様々な立場の支援関係者が計画の作成段階から関わり作り上げることが有効で実効性が高いとされたことから、令和3年の災害対策基本法の改正により、個別避難計画を作成することが市町村の努力義務とされました。
02_チラシ「個別避難計画の作成にご協力を」(pdf・1,666KB)
計画を作成する対象者
計画の作成対象となる方は、避難行動要支援者名簿に掲載された方のうち、真に避難支援が必要な方(危険箇所に居住している、または自ら避難することが極めて困難な方等)を優先的に作成します。なお、作成にあたっては、計画の作成、及び関係者間での情報共有に同意いただける方が対象となります。
03_作成共有に係る同意確認書(pdf・1,558KB)
計画作成の流れ
計画の作成に同意をいただいた要支援者に対しては、計画を送付し、必要な情報をご本人、またはそのご家族により記入いただきます。
ただし、ご自身で記入することが困難な場合や、記入する事項(自分では近所で支援いただける方が分からない等)が不明な場合は、福祉専門職(介護ケアマネジャー・相談支援専門員)や自主防災組織(自治会・地区会)等と協力して作成することが有効です。
05_「個別避難計画(記入例)」(pdf・910KB)
06_「個別避難計画(様式)」(pdf・243KB)
<注意事項>
- 計画に記載される「避難支援等実施者」(以下、「支援者」といいます。)については、支援者やそのご家族の安全が前提のうえでの避難支援となるため、要支援者に対し、必ず支援が行われることを約束するものではありません。また、避難支援に関し、支援者が法的な責任や義務を負うものでもありません。
- 計画が必要な要支援者本人においても、普段からの防災対策を可能な範囲で行うことはもとより、計画に記載された支援者や地域の皆さんとのつながりを積極的に持つことが重要です。
計画作成にあたり、対象者の自宅へ訪問し聞き取りを行うことがあります
計画の作成にあたっては、要支援者本人のみならず、様々な立場の避難支援等関係者(自主防災組織、民生委員児童委員、福祉事業者等)が関わることが重要です。そのため、計画の作成段階において避難支援等関係者が要支援者への聞き取りのため、自宅へ訪問することがあります。要支援者の皆さんにおいては、計画の重要性をご理解いただくとともに、地域の防災体制の構築のため、計画作成にご協力をお願いします。
地域の皆さんにお願いしたいこと
計画は要支援者本人の命を守ると同時に、そのご家族や近隣に住む地域の皆さんが安心して暮らし続けるために非常に大事な計画です。
地域の皆さんには、計画の作成にあたり、下記事項についてご協力をお願いします。
1.計画に記載される「避難支援等実施者」の配置
要支援者(避難支援を必要とする方)ご本人だけではどうしても避難支援等実施者(避難支援を行う方)の選定ができない場合があります。その際は、自主防災組織が中心となり、地域の話し合いの中において避難支援等実施者を検討いただきますよう、お願いします。
2.個別避難計画が完成したからといって命が助かるものではありません
計画の作成段階から様々な支援関係者に関わっていただき、実効性のある計画を作り上げることは記しましたが、計画が完成し、支援関係者間で共有された後も、できるだけ多くの場面(地区の防災訓練時や地区の会合等)において、計画の内容の精査、新たな作成対象者の検討など、要支援者に対し継続的に地域の中でのつながりを維持していただきますよう、お願いします。